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その5 「あ、すみません、じゃがバターこっちテーブルです、どもども、じゃ、はんぶんこするね~、はいできた、どーぞ」 「すまんな……って、バターのみじゃんッ!」

 かつて、神々は世界をふたつに分けた。

 光が降り注ぐ地上には人類が栄え、闇で覆われた大地には魔族が溢れた。

 ふたつの世界は均衡を保ち、これまで決して交わることはなかった。

 しかし――、


「やーい、やーい、ロリコン魔王~!」

「もぉやめてぇぇぇえええッ!」

「ローリコーンまーおう~は、たーてロール~♪ きーんぱーつたてロールもー好き~♪ あーあー、まお~う♪ まお~う♪ まお~う~♪」

「う、歌うなあああッ!」

 まおうに せいしんてき 大大大大ダメージ!

 やった!

 まおうは 半泣きだ!

「どうだ魔王、参ったか?」

「き、貴様ぁ、勇者のくせに無駄に美声とは……ッ! よ、余計に腹が立つ……うぅぅ」

「ふん、伊達に勇者はしてないぜッ! ……ずっとひとりぼっちだからね。無駄にスキル振り分けしたら、よくわかんない技まで覚えちゃったのさ」

「お、おのれぇぇ……」

 まおうは おもった!

 ……ぐぬううぅ、なんということだ。勇者とは言え、所詮は脆弱な人間如きが、ここまで余を愚弄するとは……ッ! ていうか、この勇者、ぼっちとか言ってたくせに、根は絶対いじめっ子だよぉ、にじみ出てるよ、生き生きしてたもの、顔が! 目が! ドの付くSだよ! ああ、そういえば、あの姫君もこの勇者と同じような目をしていたような……。ああ、そうか、そういうことか……。……だが、しかし……、余は、余は……ぁッ!

「……勇者よ、聴くがよい……」

「ん、なんだい、魔王? 改まった顔して。観念して、ぼくと世界を半分こしてくれるの――」

「ロリコンで悪いかッ!」

「――なにーぃッ?」

 なんと!

 まおうは ひらきなおった!

「よいか勇者よ! 余は別に、金パツだろうと縦ロールだろうと実は14歳だろうと、そんなことはどうでもよいのだ! 余は姫君に、彼女自身に心奪われたのだ!」

「……なん、だとぅ……?」

「わがまま結構、ああ結構ッ! 惚れた相手のそれが受け止められなくて何が男かッ!」

「お、おおぅ……」

 ゆうしゃは じゃっかん ひいている!

「いや、お前、魔王だよね、なに語ってちゃってるのさ……?」

「ああ! 姫君のことを想うと、夜も眠れぬ! 先刻、貴様が現れるその直前までも、余は姫君のことを考えていたのだ!」

「えー……? まぢで? ぜんぜん気が付かなかったんですけどー……。そんな素振りも前振りもなかったよね?」

「この魔宮庭園を見よ! 美しいだろう? 地下とは思えぬほどの光溢れる空間、これこそが! 余が姫君と共に過ごすためだけに作り上げた楽園の第一歩なのだ!」

「ぼくの話、聞いちゃいないし……。あれぇ? 魔王さぁ、お前、魔族で世界支配する~ぅ、とか、言ってたよね?」

「そんなことは、もうどうでもいいッ!」

「えええええッ!」

「これは余の部下にさえ、秘密にしていたことなのだ! だが! もはや、隠すのは無理だ! 意識してしまったからには、もう止まらない! 抑えられぬこの想い! これが、これこそが――、






    





     恋。











 ――なのかッ!」

「思春期かーッ! 魔王のくせにッ! てか、無駄な演出するなッ、勿体無いッ!」


 つづく!

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