表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

その4 「ご飯とおかず、どっちがいい? 世界はんぶんこしたら」 「お弁当感覚ッ? てか、バランス良くどっちも欲しいわ!」

「勇者よ! この魔王である余を、本気で怒らせたなーッ!」

「やーいやーい、金パツ縦ロール好き魔王~!」

「ちょ、それ、やめぇッ! くっそぉ、勇者め……、はらわたを抉り出してやるぅッ!」

「いやだよ! ご飯食べられなくなっちゃうぢゃん!」

「言葉の『あや』だ、バカ勇者!」

「ばっ、バカって言ったな! 魔王! もー許さないぞぉ!」

「え、そこでやる気出すの、貴様……?」

 ゆうしゃの こうげき!

 勇者は魔王に向かって突進した。

「お前がウチの姫さんさらったもんだから、ぼく、大変だったんだぞー、魔王!」

 勇者が巨大な剣を振り下ろす――がきん! っと鈍い音が鳴り響いた。魔王が持っていた杖で弾いたのだ。だが、これで終わりではない。すぐに次が来る! そう直感した魔王は後方へ飛び退く。確かに勇者は二撃目を放っていた、が、見事空振った。読み通りだった。その一瞬を逃さない。

 まおうの こうげき!

 魔王は呪文を詠唱――、

「何を言うか、勇者よ! せっかく幽閉しておいた姫を、余が迎えに行く前に、貴様は奪還したではないか!」 

 魔王が杖に込めた魔力を解き放った! いくつもの光の弾丸が勇者を襲い、彼の身体に触れる寸前で爆発を引き起こす。ひとつひとつの衝撃は大したことはないが、数が多すぎた。全包囲の爆破によって逃げ場を失った勇者はまともに喰らう羽目になってしまった。

 膝を着き、癒しの魔法を自身に掛ける勇者。

「く……ッ。やるな……、金パツ縦ロール好き魔王……!」

「まだ言うかッ! ……だ、だが、まぁよい。姫なら貴様を葬ったあとで余が直々に頂きに参ろう――」

「ああ、そうしてくれると、ぼくも助かる……」

「ん……?」

「なにせ、あの姫さん、ベタ惚れだからね、勇者のぼくに」

「え? なんだって?」

「捕まってた姫さんを救ったら、惚れられてしまったんだ……」

「なん、だと……ッ!?」

「魔王。このまま、お前を倒して帰れば、十中八九、ぼくは婿にされてしまう……」

「う……、そ、それは……!」

 まおうは おもった!

 ……な、なんてうらやましい……! 生まれ変わったら、次は余も勇者になりたいなぁ……、なんてw

 が、

 ゆうしゃは いった!

「正直、困る!」

「ええええ!」

「ぼくは自由でいたいんだ。王宮暮らしなんてまっぴらだ」

「いやいやいやいや!」

「なに?」

「受け入れろよ!」

「え、なんで?」

「貴様は勇者だろーが! 勝って姫と結婚して王族入りなんて、すげー逆玉じゃんか! それがハッピーエンドってもんだろぉが!」

「果たして、それが本当のハッピーエンドなのでしょうか?」

「……あ?」

「ぼくはそんな私利私欲が満たされるエンディングよりも、なんていうか、こう……、平和になった世界中を見届けたあと、かつて滅ぼされた故郷にひっそりひとりで帰って、そこであのとき死んだはずの幼馴染みが蘇ればいい……、それだけで、いいです。そんなハッピーエンドが、うん、いいのです」

「ええッ!……ゆ、勇者よ……、それは、誠か? 貴様の故郷は余の魔物たちによって、すでに……?」

「……その話は、今は、もう……、いいよ……」

「あ……、何と言うか、その、……す、済まなかったな、勇者よ……」

「つぅか、そもそも、ぼく、孤児だし。どこで生まれたか知らないし、地元っつっても育ったのはウチの城の城下町だし」

「ええええ! 違うのーッ? なんだよさっきの話ぃッ! ビックリさせんなよもーぉ! 余のせいで不幸の主人公にしちゃったかと思ったじゃーん!」

「なんかさ、たまたま持ってた『しるし』と『呪われない体質』のせいで勇者にされただけだしね」

「…………」

「…………」

「……勇者よ、いま、さり気なく伏線張らなかったか?」

「え? 魔王、なんの話?」

「いや、気にせんで良い。……それよりも貴様、なおさら姫と結婚したほうが良いのではないか?」

「ええー、ヤダよー! だって、すげーわがままなんだもん、あの姫さん。お城に連れて帰るまで、ず~~~っと、お姫様抱っこさせられたんだよ?」

「まぁまぁ、お姫さまだからな~ぁ。仕方あるまい」

「まんまだよ! てか、宿屋寄ったら『お楽しみでしたね♪』とか言われるし! 絶対誤解してるよ、あの宿屋の主人! するワケないよ! 14歳相手に手ぇ出したら犯罪じゃんか!」

「え、ちょ……ま、待て。待つのだ、勇者よ」

「はい? なぁに、魔王?」

「あのー、そのー、今、なんてー、言ったかなー? えー、14歳がどうのとか……?」

「ああ、そーだよ。ウチの姫さん、まだ14歳だけど、それが何か?」

「ええええええええッ!」

「わっ、ビックリだ! いきなりどったんよ、魔王?」

「ひ、姫が14歳だとぅ……ッ! あ、あの容姿で……ッ?」

「あー、魔王、姫さん、好きなんだっけ? ……ぷぷッ、魔王の、ロ・リ・コ……」

「それ以上、言うなーーーーッ!」


 限りなく魔界に近いと言われている大洞窟の最下層――。

 勇者と魔王は激戦を繰り広げていた。

 ……恐ろしく、くだらない激戦を……!


 つづく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ