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その2 「ドロドロした洞窟を抜け、さっさと城に帰ろう~、思わぬ魔物出現で~赤いウィンドウ眺めりゃ~♪」 「あ~、瀕死のときって戦うか逃げるか迷うよね」

 この世界において、攻略が最も困難且つ凶悪な地下大迷宮の最深部。

 そこには王宮庭園さながらの光溢れた空間が広がっていた。

 ついに対峙する勇者と魔王。いよいよ決戦のときが迫る。

 が。

 魔王は言った。

「勇者よ、貴様に世界の半分をやろう。余と組まぬか?」

 それはほんの余興のつもりだったのかもしれない。

 しかし。

 まおうは おもった!

 まさか、こんなにも……、めんどくさいことになるなんて!


「ゆ、勇者よ、先ほど貴様が言っていた、世界の平和とやらは、どうなる? 貴様は余を倒さねばならんのだろう?」

「うーん、それなんだけどねー」

「ふむ」

「ぼくさぁ、色んなとこ、旅してて気づいたんだよね。なんか、悪いのは全部魔物さんのせいかと思ってたけど、違ったんだよね」

「むむ?」

「確かに悪い魔物さんはいっぱいいたけど、良い魔物さんもちょっとは居るし、むしろ、仕掛けた黒幕張本人はフツーのヒトで、人間同士なのに、騙し合ったり、奪い合ったり、殺し合ったり、してたんだよ。なんか、もう、うんざりなんだよねー」

「ああ……、色々見えてしまったのだな、勇者よ」

「魔王さぁ、お前を倒したら、良い魔物さんは、どうなっちゃうの?」

「うむー、ま、死ぬわな。余が居ないと、魔物は全部な」

「ええー、なんでー?」

「余が死ねば、この世界に満ちている魔力がすべて消える。魔力を糧にしていた魔物たちも当然息絶える」

「そーなんだぁ……」

「魔物にとっての魔力は、貴様らで言うとこの、酸素みたいものなのだ」

「じゃぁ魔王、お前は魔物さんたちの太陽なんだね。なんかすごいなー」

「ついでに言うと、貴様らの魔法も使えなくなる」

「え! そーなの?」

「言っただろう、酸素みたいなものだと。貴様らも知らぬ間に吸収しているのだよ、魔力を」

「だから、【魔王タイヨウ】が死ねば、ぼくらの魔法も消えるんだねー」

「なんだね、その女神が転生しそうな世界においてのボスみたいな言い方は」

「そかそかー」

「んなこたぁどおでもいいわッ!」

「わっ、ビックリだ。魔王ってば、もー、急に大声ださないでよねー」

「ええい! 勇者よ貴様ぁ、本当に余と戦わんのかッ?」

「戦う? そんな話はしてないよ。世界の半分についてだよ。あ! あとさー」

「ぬわんだッ?」

「魔王はぼくを倒してどうするの? 世界を支配とかするの?」

「ぐははは! 何を言うかと思えば。当たり前だ! この世界はすべて魔族のものになるのだ!」

「そのわりには、自分は全く出てこないよね?」

「……あ?」

「うちの王様と同じだね」

「え?」

「はんッ。なんだいなんだい、自分は偉そうにお城でお留守番なんかしちゃってさぁ。汚れ役はいつだって下っ端だよ、あーヤダヤダ」

「ゆ、勇者……よ?」

「死んでも死んでも教会送っときゃいいと思ってんだアイツらは。こき使うったらありゃしない。もはや襤褸雑巾だよ」

「ぼ、ボロぞうきんって……」

「ぼろっぼろだよ、それでも戦わなきゃなんないんだよ、こっちは」


「勇者よ、貴様は一体、なんの為に、戦ってきたのだ?」

「魔王はさ、なんで魔物を暴れさせるの? それが支配につながるの?」


「…………」

「…………」

「よ、余こそが……魔王、……魔族の王で……魔物たちの楽園を……、楽園……?」

「ぼくちょっと、このままドラゴンごとウチの城に突っ込もうか? なんてことまで浮かんできてるよ?」

「ちょいちょいちょいちょーいっ!」

 まおうは おもった!

 貴様がそれ思っちゃ、いかーん!


 つづく!

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