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私は卵が食べたいです。

作者: 超音波8号

めんどりの名前をカペリーちゃんにしたかっただけの話です。

 私はしがない村娘、ティルベル。そしてこちらは私の相棒、カペリーちゃん。めんどりです。

「ここっこ」

 私の好物は、卵。だから私は卵を使った料理が得意なのです。それしか作れませんけど。

 私の家は普通の農家で、私も毎日お仕事です。私は動物さんが好きなので、家畜のお世話をしています。

 このカペリーちゃん、素晴らしく美味しい卵を毎日産むんです。一日五個限定で、ちょっと気難しいめんどりなのです。

 カペリーちゃんの卵は売りには出しません。他人に渡すなんて考えられないので、彼女の卵は家用です。お父さん、お母さん、弟は一個ずつ。私は家畜係なので二つ。正直、かなり得してます。

 そんな卵好きの私は、ある日、とんでもないことを知りました。新聞に、

『世界で一番美味しい卵は、怪鳥の卵‼』

という記事が!

 なんということでしょう。カペリーちゃんのよりも美味しい卵がこの世にあるなんて!

 これは由々しき事態であると、私は親を説得し、怪鳥の卵を食べに行くことにしました。

 さあ、カペリーちゃん!怪鳥の卵を探しに行きましょう!

「ここっこ!」

 ところで、怪鳥の卵はどこにあるのでしょうかね。


 調べてみたところ、怪鳥は魔王様のペットだそうです。魔王様御用達なら、世界で一番と言われるのも納得です。

 という訳で、私とカペリーちゃんは魔王城に行くことにしました。

 魔王城は北の森にあります。私の村は南の湖の近くにあります。むむ、なかなか遠いですね。

 しかし私は怪鳥の卵を食べると決めた女。この決意は距離なんて関係ありませんよね。

「ここっこ」

 そうと決まれば、私は貯めていたお小遣いを全部持って、旅馬車に乗りました。私の全財産でぎりぎり北の森近くに行くことができるそうです。帰りのことなんて、その時に考えればよいのです。


 道中いろいろありましたが、私とカペリーちゃんは無事魔王城に到着することができました。

 旅馬車が魔物に襲われたり、行き倒れていた人にカペリーちゃんの卵料理を振舞ったら魔族が彼女を狙ってきたり。

 まあ、行き倒れていた人が魔王様で、私に劣らず卵好きで、カペリーちゃんの卵に惚れたっていうからだったんですけどね。

 私は魔法とか使えないから、奪われないようにするのが大変でした。

 そんな魔王様ともちゃんとお話しして、カペリーちゃんの卵を魔王城に卸すことが決まりました。五個のうち二個だけ。魔王様だからといってカペリーちゃんの卵を独り占めすることは許しません。

「ここっこ!」

 その代わり、私は怪鳥の卵をもらうことができました。わーい。

 今すぐに味わいたかったので、魔王城の厨房を借りました。魔王様も幹部さんもあきれていたけれど、私は気にしません。

 卵も鮮度が大切ですから。

 怪鳥の卵は大きいので、割るのも分けるのも混ぜるのも大変です。料理長が手伝ってくれようとしましたが、丁重にお断りしました。私が食べるのですから、私が作らないと。


 そんなこんなで、できました。

 私の大好きな卵料理、オムレツです!

 私の好みはふわふわです。

 出来立てのあつあつで食べるのがいいのです。お皿によそって、いただきます。

 その味は至福の味でした。世界で一番というのも頷けます。

 それでも、私は言いましょう。

 世界で一番は怪鳥の卵でも、私の中で一番はカペリーちゃんの卵だと。

 彼女の卵は幸せの味です。

 カペリーちゃんにはいつもよりいい餌をあげました。喜んでくれました。


 なんですか魔王様、物欲しそうにしてもあげませんよ。


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