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2・船長へのインタビュー

説明すると言っていたけれど、船長のインタビューを掲載していきます。

 海軍、そして多国籍部隊も到着した事で{まほろば}の任務は半ば終わっている。

後は臨検と貨物船の曳航だけだ。曳航には専用のタグボートが随伴しているのでもう一時間程度で追いついてくるだろうと思われる。


「さて、ひと段落したところで取材の続きでも答えようか」


船長がタイミングを見計らって私に尋ねてきた。


「はい、お願いします」



貨物船が捕捉されるまで合間を見てインタビューを行っていた。

寄港時に聞けばよいと思うのが普通だが、今回は駆け足の同行取材で、港に帰ればすぐさま次の取材に向かわなければならない。ちょうど今は本来、船長は休息時間だったので、取材をお願いしていた。


「任務の意義は話したから、次は何かな」


ー今しがた直接見ることになりましたが、{まほろば}の装備についてでしょうかー


「{まほろば}の装備は六三式45口径36センチ砲を8門、25ミリCIWSが2基、25ミリ遠隔操作機関砲が2基、12.7ミリ遠隔操作機銃が4基。それ以外には、臨検要員が使用する小銃や短機関銃、臨検支援の放水銃と言ったところですかな」


ー一般的な意見として、戦艦が積んでいた巨砲をなぜ巡視船が積むのかという事に疑問があると思うのですが、いかがでしょうかー


「たしかに、我々も一般的に使用するのは25ミリ機関砲、あるいは12.7ミリ機銃です。対ミサイル防護として備えられたCIWSも、総理大臣権限によって海軍作戦への従事を行う際に備えたもので、普段使用するものではありません。CIWSは回転式多銃身型、いわゆるガトリングガンで、毎分4000発を発射できることから、高速で飛来するミサイルには有効ですが、我々の平時の取り締まりでは過剰な武装であることは否めません。36センチ砲については、今回のような警備任務では専ら六三式停船弾が使用されます。停船弾は炸薬を持たない水中弾であり、射撃装置によって精密に船腹ないしは舵や推進器を狙って対象船を停船させるのが目的です」


「なぜ、36センチ砲が必要かは誰もが知る通り、非武装地帯条約と、その後のソ連、現在のロシアとの関係によるところが大きいですね。軍を配置できない日本海において、破壊活動や武力による威嚇を抑止、排除するためです」


ー36センチ砲は他の弾種も使用するのでしょうか?昔の戦艦のように徹甲弾や榴弾などー


「当然ながら、平時は停船弾の使用が主たるものとなります。しかし、海軍作戦への従事となれば、その目的は上陸支援となるため、徹甲弾や榴弾も当然ながら使用します」


ー今回の海賊対処任務において、ソコトラ島への上陸支援が考えられると思いますが、どのようにお考えでしょうかー


「最終的に、あの島への上陸が必要であることは、国際社会の一致した意見ではありますが、我々が任務にあたっている期間中に実施されるかどうかは分かりかねますね。もし、実施されるとなれば、参加することになるでしょう。その準備は整えてあります」


ーコソトラ島砲撃となれば、往年のツーショットの再来が期待できますねー


「もし実現したなら、ぜひ、わが船に写真を譲ってください。記念として船内に飾らせていただきます」


ーはい、その時はよろしくお願いします。ただ、私としては港での{ナホトカ}とのツーショットも悪くないと思うんですがー


「ぜひ、それも欲しいです(笑」


「ただ、{ナホトカ}側の都合が合わないというのが現状ですね。残念ですが」


ーやはり、ロシアはツーショットを避けているのでしょうかー


「さあ、そういう政治的な事には踏み込めませんが、私はロシア警備隊も朝鮮海軍を取り締まる仲間だと認識しています」


ー少々意地悪な質問ですが、相手が朝鮮海軍でなければ、{まほろば}はこの海域には来ていないと思いますかー


「ああ、確かに意地悪だ(笑」


「それは少々政治的な匂いがするけれど、個人的な感想から言えば、普通の海賊が相手であるならば、野党の方々がおっしゃる様に、PLHの派遣が妥当という意見に賛同しますね。たかがRPGや23ミリ機関砲程度の武器に対してならば、PLHの8センチ砲で対抗できますし、千トン程度の船に対して36センチ停船弾を使用するのは危害行為ですよ。船が沈んでしまいます。相手が数万トンの貨物船に戦車や迫撃砲を備えているからこそ、我々の出番だと思います」


ーありがとうございましたー


「こちらこそ、後一日、良い船旅を満喫してください」



こうして私はインタビューを終えた。


さて、どこから説明すればよいだろうか。


まずは事の始まりから説明していくことにしよう。



読んでいただきありがとうございます。


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