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1・ソマリア沖の咆哮

ネットで大和の巡視船カラーリングなんてものを探し出すことが出来ると思う。


そう、ひょんなことから思いついたのがこれ。ただ、個人的に戦艦の理想形が連装四基なんだよね。


しかも、レーダー装備を前提にすると塔型の艦橋ではなく、高雄型重巡洋艦あるいはイージス艦こんごう型みたいな艦橋になると思うんだが。Xバンドの射撃管制レーダーだけを積むなら、APAR搭載艦みたいなマストを立てれば良いのだから、米戦艦に近くなっちゃうのかな?

「前方の貨物船、停船せよ」


 ブリッジからは玩具のようにしか見えない程遠い船に対して警告がなされていた。


「現在、当該船との距離15㎞です」


 後方のオペレーションルームからそのように声がかかる。


「あの船に積まれている武器はどのくらいの射程があるのかな?」


 船長は隣の人物に尋ねる。


「現在判明しているところでは、戦車や自走砲を積んでいるという事ですが、甲板上で射撃可能となると、コンテナ型迫撃砲だと思われます。その射程は8㎞になります」


 資料を見ながらその人物は返答した。


「ならば、10kmまで近づこう」


 白い船が貨物船の倍近い速度で進み、その差を縮めていく。


「現在、距離10kmです」


「よし、速度落とせ」


「速度落とします。当該船、現在15ノットにて航行中。わが船も15ノットまで落とします」


 そうしている間も停船勧告は続けられている。


「全く応じる気配がないな。{吹雪}は臨検準備出来ているのか?」


「はい、すでにヘリの準備を整えて臨検隊も待機中とのことです」


「わかった。1番砲、停船弾用意、5番、6番砲空砲用意」


「了解、1番砲、停船弾用意、5番、6番砲空砲用意します」

オペレーターが画面前の操作盤を操作し、画面には各砲の状況が表示される、15秒後


「1番砲、停船弾装填完了、5番、6番砲、空砲薬装填完了」


「当該船へ警告」


 船長の指示に従い、通信オペレーターが貨物船へと射撃を警告する。


「前方の貨物船は直ちに停船せよ、停船なき場合、これより威嚇射撃を行う。なおも停船せず場合、実力行使に移る」


 5分ほど待ってみるが停船の兆候は見られなかった。


「当該船、依然15ノットにて航行中」

オペレーターが淡々と告げる。


「1,2,3番主砲塔旋回、射撃警報鳴らせ」


「1,2,3番主砲塔旋回、射撃警報鳴らします」

 言い終わる頃には甲板でサイレンが鳴り響く、そして、巨大な36cm連装砲が動き出した。


「甲板よりの退避完了、主砲塔、旋回終わりました」


「空砲5番発砲の30秒後に6番砲発砲」


「空砲、5番発砲」

 後ろで大きな音とともに船後方を覆うような煙が立ち込める

「6番発砲」

 30秒後、再び煙が船後方を覆う。先ほどと合わせて船の後方にはかなりの煙が立ち込めている。


「当該船、停船の兆候なし」

 再び、5分ほど待ってそう報告が上がる。


「では、警告ののち1番発砲せよ。目標は当該船後部、推進器」

ブリッジには緊張が広がっている。中には貨物船へ双眼鏡を向ける者もいる。


「前方の貨物船、これより船体への射撃を行う。船尾付近、船底より退避せよ。繰り返す、これより船体への射撃を行う」


 警告から5分のち、ブリッジ前方、1番砲塔より砲撃が行われ、ブリッジは煙に覆われる。


「砲弾探知、弾道、当該船後方、船体より5メートル手前着水と推定」

 船に備えられたレーダーが発射した砲弾を捉え、弾道が計算される。

 先ほどから証拠採取用カメラが貨物船船尾を拡大撮影しており、その映像がブリッジのディスプレイにも投影されている。


「着水します、計算との誤差1m以内」

 画面に映る船尾が水柱で半ば見えなくなる。かすかに見える船尾には下から何かが突き刺さる映像が映し出される。


「当該船推進器を破壊した模様。破壊された推進器が船尾を損傷」

 

 しばらく待って、貨物船の推力が失われたことが確認される。

「当該船、減速しています。先ほどの射撃により推進器を損傷、推進力は失われています」


「よし、{吹雪}に停船措置完了の連絡」

 船長は右に見えている軍艦を見ながらそう指示を出した。


「こちら日本海軍、これより当該貨物船の臨検を行う、抵抗すれば戦艦からさらなる攻撃を受けるだろう。大人しく指示に従う事を望む」


 ブリッジのスピーカーから国際周波数での通信が流れている。


「戦艦か。やはり、この船を巡視船とは、誰も見ないだろうね」

 船長は少し離れた位置にいる私服姿の男へとそう語りかけた。


「そうですね。誰もが古き良き時代の戦艦として{まほろば}を見ていると思いますよ。私も21世紀に生きた戦艦を取材するために来ていますから。まさか、捕り物を取材できるとは思いませんでしたが」

 私服の男こと、フリージャーナリストの私は、このほどソマリア沖で行われている海賊対処活動の取材に訪れていた。

 今乗り組んでいるのは巡視船{まほろば}、総トン数4万2千トン、全長215mの巨体に36cm連装砲4基8門という、見るからに古き良き戦艦の姿をしている真っ白い城である。

 我が国が誇る第一船隊の最新巡視船である。


 しばらくして貨物船が目前という距離まで近づいた。

 通報を受けた多国籍部隊のヘリも到着したようだ。そして、ヘリは一度まほろばに近づき、ほんの少しの間ホバーリングしてから貨物船へと向かう。


「今のヘリ、機内からこちらを撮影していましたね」

 私はヘリを撮影してからブリッジへとそう口を開く。流石にヘリから隊員が顔を覗かせてこちらを撮影している姿は雑誌記事に使えないだろう。いや、これに面白いキャプションを付ければ使えるかな?


 知らぬものは居ないと思うが、今一度、第一船隊についておさらいしてみようと思う。






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