第06話 てれれれってれ~異世界の道具「ストレージカード」!
「これは困ったな。」
そう、この家には少しばかり問題があった。まず家具が一個もない。まぁ、買ったばかりなんで当たり前だけど。そして電気、水道が出るのは明日以降。そのこと考えてなかった。今日は水と電気なしで生活しないといけない。
「とりあえず、店主さんが戻り次第、家具を買ってきますかな。」
ちょうどいいタイミングで店主さんが戻ってきた。
「この辺で家具家さん知りませんかね?」
「家具家なら俺の店の近くにあるぞ。」
「ほんとですか!」
これはラッキー。ここからも近いし行こうかな。
「でもお客さん、ストレージの魔法か、ストレージカードを持ってるか?」
「ストレージカード?」
え、なにそれ! クレジットカードとかの類かな? それともポイントカード……んなわけないか。ポイントカードなんて絶対必要なわけじゃないし。
「ストレージカードっていうのは、そのカードに念を送りながら振るととカードの中に念じたものを入れることが出来るカードだ。それがないと家具を買ったところで持って帰る術がないわけだ。」
「なるほど。そのカードはどうしたら手に入りますかね?」
「今回は特別に俺が貸してやるよ。」
「ほんとですか!ありがとうございます。」
おお、流石わかってるー。異世界転生者は優遇じゃないとね。
「お前さんがこの家買ってくれたお礼だよ。ついでに俺の店まで送ってやるよ。」
「それではお言葉に甘えて。」
僕は再び絨毯の上に乗り、不動産屋まで戻った。
「この世界にもホームセンターってあるんだな。」
僕はホームセンターに着いた。この建物もなかなかでかい。さすがにギルドと比べちゃだめだけど、かなり大きい店であった。
「じゃあとりあえず買いに行きますか。ホームセンターだし色々集められそうだし。」
僕はホームセンターに入っていった。
「うわ、広すぎる。」
外の見た目以上に中は広くて複雑だった。
「とりあえず上の看板を見ながら、買い進めるとしよう。ギルドのときみたいな失敗はしないからな。」
僕はとりあえず生活に必要なものを買っていった。買ったものは
●タオル
●ミネラル水
●電気ケトル
●棚
●箪笥
●冷蔵庫
●ソファ
●ベット
●食料
●服(下着や寝間着など)
●掃除機
●洗濯機
お金は全部で金貨5枚ぐらいだった。会計してくれたレジの店員さんには変な目で見られたけど、気にしない。
買ったもの全部ストレージカードにしまって不動産屋に戻っていった。
「お、いいもの買えたかい?」
「まぁそれなりですね。」
「電気と水道だが電機は夜には使えるから、水道は明日の昼頃には使えるはずさ。」
「ほんとですか!ありがとうございます。」
今日は無理だと思ってた電気が使える! これでインスタントラーメンが作れるじゃん。
「じゃあそのストレージカード、明日まで使っていいからそのまま持っていきなよ。あと、自分の家までの道のりを覚えるといいよ。じゃないと帰れなくなっちゃうし。」
「そうですね。」
ちっ。またあの絨毯で移動しようと思ってたのにな。こいつわかってるな。僕は渋々不動産屋を出て自分の家まで帰っていった。迷子になって帰るのに10分の道のりを40分かかってしまった。
「すっかり夜になったな。」
家に帰ってきて、ベットやらソファやらを配置していたら夜になっていた。電気は使えるらしいのでブレーカーを上げた。それで電気のスイッチを押すと、電気がついた。いやーこの世界にも電気があってよかったよ。
さっそく電気ケトルに水を入れて電源プラグに刺し、スイッチオン! この世界のケトルは10分かかるらしい。向こうの世界のほうが性能が良かったな。そこはちょっと残念だけど、まぁ文句は特にない。
10分後。お湯ができて、それそのままインスタントラーメンにどーん! インスタントラーメンは向こうの世界と変わらず3分間。そして完成したのがカップラーメンである。うん、この世界にきてまとも? な食事が食べられる。では、いただきます。
はふっ!
「あぁー、全然味が変わってない。やっぱりおいしいな。毎日食べたいレベル!」
これから毎日インスタント食品をを食べて飽きることになるのはまだ先のことである。
「今日1日で色々なことがあったな。」
僕は今日のことを振り返った。病院の中で目を覚ましたかと思ったら外で、目の前に亜人がいて、優しい店主さんにお金のこと教えてもらったり、変な店主さんにコインを大量にもらったり、ギルドに行って教育機関に入学手続きしたり、家買ったりか。ほんと、長い1日だったな。でもこうやって無事ベットの中で寝れてるっていうのは、本当に最高なんだな。
「明日は何をしようかな……。」
とりあえず町も見て回りたいし、まだ足りないものを色々買わないとな。
「もし、ここで寝て起きたら向こうの世界に戻ってたら……。」
折角ここまでやっといて戻されたくないよね。この世界、魔法とかもあるし絶対楽しそうだからね。
「第二の人生。もっとエンジョイしていきますか!」
僕は明日の出来事に心膨らませながらベットにもぐりこんだ。
希心が寝てるベットの前にマントを羽織った人がいた。
「…………。」
「……予定外ダッタナ。……マァ、イイダロウ。コイツハマタスグニ死ヌカラナ。問題ナイダロウ。」
「…………。」
そのマントを羽織った人はそうつぶやき闇の中に消えていった。もちろん希心は気づくわけもなかった。寝てるし、いびきかいてるし。