第05話 再び一括!?異世界転生者、家を買う!
「そういえば、教育機関に入ってる途中って生活空間って存在するのかな?」
僕はギルド内のベンチに腰掛けて居た。え、酒場? ストリップショー? よくわかんないなー。
「とりあえず、もらった概要書を開いてみるか。」
僕は概要書を開いた。
えーと、最初のページはギルドマスターの名言っと。速攻とばし。次のページに授業風景とかの写真と共に、色々と説明が書いてあった。これはあとでいいかな。ってあれ、目次無いの?
「これは……ページペラペラめくって、目的の場所探したほうが早いな。」
ということでページぺれぺらー。っとあったあった。
「全寮管理1部屋2~3人部屋、っと。え、まさかのベットが1つしかないし。」
さすがにベット1個で2人で寝るとか無理でしょ。3人とかなおさらじゃん。
「食事代、水道代、電気代とかも別途必要で、値段が1カ月銀貨2枚。高いのか安いのかよくわからん。」
うーん、水道代とかは割り勘だけどそれでも割に合わないよなー。
「どーしよっかな。」
僕は考え始めた。これから教育施設で授業を受ける。最低でも半年はかかるだろう。さらにその半年間知らない人との共同生活。うん無理だ。
「なんか解決策はないかな。」
概要欄を読み進めていると、
「なお、近隣に住んでるものは無理に寮に入る必要はない、か。近くに家がある人ならできるんだろうな。」
僕はそういった瞬間閃いた。
「そうじゃん! 家買っちゃえばいいじゃん!」
また声大きく出しちゃった。周りが白い目で見てくる。辛いです。自業自得だけど。
「よし、着いたぞ。ここが不動産屋か。」
ギルドにいた人に不動産屋の場所を教えてもらったのだ。それでも迷ったのですが。
「さて、ギルドの周辺で買えそうな物件ないかな?」
期待を寄せて僕は不動産屋に入っていった。
「へい、いらっしゃい!」
がたいがよさそうな男の店主さんが出てきた。
「家をお探しかい?」
「はいそうです。」
「条件は?」
「ギルドの近くで、日当たりのいいところで。」
「値段は?」
「とりあえずフリーで。」
「……わかった。今からその条件で出すから。」
「お願いします。」
店主さんの顔色が一瞬驚いたのは気のせいだろうか? 気のせいだよね。
店主さんが地図を持ってる。あの地図ってギルド周辺の地図なのかな? 正直日本の地図とは違って、何が書いてあるか全然わかんないけど、ギルドだけ読めた。あと例の質屋も。向かいだからね。
店主さんが地図を置くと、今度は白紙の紙を何枚か持った。
「まず最安値な。ギルドまで徒歩30分。周りには特に何もないから、日当たりは良好。広さは約20坪。1階建ての築50年だ。」
店主さんの持っていた白紙の紙に、だんだんと文字と写真が出てくる。これも魔法なのかな?
「値段は穴銀貨1枚だ。これより安いやつは、この周辺にはない。」
店主さんが魔法で書いた紙は、日本でもよく見る紙に書かれた売り物件情報だった。間取りや地図、値段などしっかり描いてある。
「次に最高値な。ギルドまでは徒歩20分。ちょっぴり高い山の上に立つ別荘だな。日当たりはもちろん良好。広さは約250坪。3階建ての築10年だ。値段は穴金貨10枚。逆にこれよりいい物件はないな。」
また紙に物件情報を書いてくれてた。さすがにこんな別荘みたいな家に住みたくないんだけど。
「最後に俺のおすすめだ。ギルドまでは徒歩10分。日当たりはさっきの2つよりかは悪いが、南と東は空いてるから悪くはない。広さは約40坪。2階建ての築1年だ。この家を建てた人がダンジョンに行って死んでしまったため、誰も買い手がいなかったとてもラッキーな物件だ。1人で済むにはかなり広いだろうが、今後彼女や子供ができたらそれぐらい広くても問題はないだろう。価格は穴金貨1枚のところを金貨8枚まで値下げしている。」
お、この家綺麗だな。誰も住んだことない家だからな。きれいなのが当たり前か。
「ちなみに一番ギルドに近い物件って何ですか?」
「一番近い物件だと賃貸だが質屋の2階だな。」
「あ、そこは結構です。」
あの主人とは暮らしたくないしな。店主さんがほかにも物件を見せてくれた。でもあまりどれも惹かれなかった。正直、一番惹かれたのが、店主さんの勧めてくれた家なんだよな。あの人は商売上手なのかもな。
「店主さんのおすすめの家に行ってみたいんですけど、いいですか?」
こういうものって実際見てみないとわかんないもんだよね。色々とわかるかもだし。
「了解。少々お待ち。」
「はい。」
準備とかしないとだもんね。家の鍵とか、出かける準備とか。
「お待たせしました。ではこのスリッパに履き替えてもらってこの絨毯の上に載ってもらえますか?」
「あ、はい。わかりました。」
あれ、外に出るんじゃないの? とりあえず僕は言われた通りにする。一体何をするんだろうか。もしかしてこの絨毯浮くの?魔法の世界ならありそうだし。魔法の絨毯的な?
「では行くぞ。」
店主さんが絨毯にのり、意識を集中している。
「ワープ!」
「うわ!」
目の周りの風景がぐにゃりと曲がった。気持ち悪い。思わず目を瞑った。
「到着したぞ。」
「え!?」
そこにはさっきとの風景とは異なり、きれいな木の柱が張り巡らされていた。
「綺麗だな。木の匂いもいい感じ。ほんと新築みたいだな。」
日当たりもよさそうだ。窓をのぞいてみるとギルドが見えた。うんギルドからも近そうだ。
「すみません。この家買います。」
「まいどあり。そんでお支払方法は? 」
「一括で。」
「は? は、かしこまりました。」
店主さんの顔が鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてる。え、僕なんか変なこと言いましたか?
僕は財布から穴金貨1枚を取りだした。
「これで買えますよね?」
「あ……あぁ。もちろんだ。ところでお客さん。あんたどっかの貴族かなんかか? その服もこの辺ではみないし。」
「いや、ちがいますよ。ただの旅の人ですよ。」
「そうか。」
うーん、やっぱりこっちの世界の金銭感覚がまだわかんないなー。思ってるより難しい。
「おつりはまた戻ってくるからその時に渡そう。まずこれが家の鍵だ。ここの真ん中の窪みにお前の指をあてれば登録完了だ。お前がこの家の主になる。」
僕は鍵の中心部にあるちょっと窪んでたところに指をかざした。そうすると家の鍵が青く光った。
「これで登録完了だ。お前さんは家を見回ってるといい。」
「はいわかりました。」
異世界にきてさっそく家を購入してしまった。まさか16歳で家を買うなんてな。それもローンなしで。あれ、すごい優遇されてるな。やっぱり異世界転生者は優遇だな。僕最強的な。きっとこれからも不自由なく行けるんじゃないかな。
「こっちの世界ならなんかできる気がしてきたよ!」
僕は買ったばっかの家の中ではしゃいでいた。