第04話 隠し階段の先に宝箱が絶対にあるなんて思った?お支払いは一括で!
巨大迷宮に入って右側のほうに歩いてみる。こういうときは大体右に答えがあるってもんよ。そこには巨大な掲示板みたいなのがあった。
「へぇー。これが依頼掲示板か。」
色々な依頼が紙に書いてあった。どれどれ……。スライム討伐、ウルフ討伐、ツキノワグマ討伐……ツキノワグマ!? この世界にもツキノワグマはいるんだな。それも討伐対象とか。
採取系の依頼もあるみたい。アカタケ採取、アオタケ採取、シイタケ採取……シイタケあるんだね。シイタケの依頼書なんだか赤いけどもしかして高難易度だったりして?
あとは、日雇いバイト的なのもあるね。1日店の管理とかあるし。あんまり見たくなかったけど夜のお供もあったり……。
「まぁ、まだ僕には関係ないものだよね。」
お金あるし。なくなったら……やらなきゃか。さすがに夜のお供は気が動転しててもやらないけど。
その隣にはきれいなお姉さんたちがいる。みんな耳が長い。俗にいうエルフってやつかな。上の看板には”クエスト受付カウンター”と書いてあった。ここでクエストを受けるみたいだね。いずれ使うことになるんだろうな。
さらにその奥には換金所。モンスターの素材とかを売る場所みたいだね。角とか爪とか内臓とか……内臓!? うわ、気持ち悪い。ここでコインも預けられるみたい。今はギルドカード持ってないし使えないけどね。どうやらここは目的の教育施設場所じゃなかったみたい。さて次の場所に行きますか。
僕は入り口に戻りそして今度は左側のほうに歩いてみた。……え、なんで入り口に戻ったかって? 方向音痴だからに決まってるでしょうが! 一回言った道に戻らないと迷子になるじゃん。
少し歩いてみると、目の前にはビールの看板。そしてなんとなく酒臭いような……
「間違いない、ここは酒場……だね。」
大きな声で歌を歌ってたり、はしゃいいでたりと、あれ? 今まだ昼間だった気がするんだけどな。
「お、隠し階段発見!」
奥のほうに下に続く階段を発見した。これはもしやお宝が……。期待して降りてみると目の前には扉が。これはもしかして、マジのビンゴか!
そこにはでかでかと”ストリップショー”って書いてあった。あ、これ、行っちゃまずいパターンじゃん。逃げるように僕はギルド入り口まで戻った。
ギルドの入り口に戻り、最後の選択肢である前に進む。目の前には大きな階段があった。とりあえず途中まで上ってみる。すると左右に分かれた階段が。
「選択肢は2つか……。」
多分どちらかが教育施設でどちらかが宿だろう。
「とりあえず右利きだし右に行こう!」
僕は右の階段を上り始めた。……え、右利きだから右に行くのがおかしい? いや、普通じゃない? 至って普通ですよ!
「……結局繋がってるんじゃん。」
上った先でちゃんと左右の階段は合流していた。結局どっちでもよかったという。なんとも悲しい……。そして看板に←教育施設 宿→とあった。完全に左でした。というか最初から看板見とけばよかったんじゃ……、気にしない、気にしない。
僕は左に向かって歩き始めた。しばらく歩くと受付と書かれてる看板とエルフのお姉さんがいた。ここが教育施設の受付なのだろう。僕はそのエルフさんに話しかけた。
「あの、ここの教育施設に入学したいんですけど。」
「あぁ、新規の方ですか。では……。」
目の前に紙が出された。
「ここに氏名とフリガナ、年齢と希望武器、そしてお支払い方法を書いてくれますか。」
「あ、はい。」
僕は紙を受け取った。よし書くぞ。まずは氏名っと……って書けるものもらってないじゃん! 僕は運よくボールペン持ってたけど持ってない人どーするんだろ?
「書き終わりましたか?」
「え。……ま、まだです。」
「そうですか。なるべく早くお願いしますね。」
もしかして書く魔法とかもあるのかもな。そう思いながら氏名と年齢を書いた。
「希望武器か。」
欄には剣、双剣、太刀、アックス、ハンマー、槍、拳、弓、片手剣、大盾、杖、カード、オーブがあった。うーん。無難なのは剣なんだけどね。せっかく異世界に来たわけだし、魔法も使ってみたいなってのもあるんだけど……。
「大盾か。」
大きい盾を振り回して、時には味方を守り、時にはアタックする……。これ楽しそうじゃない! 僕は大盾の欄にチェックを入れた。のちにこれが後悔を生むことになるとは思ってもいなかったが。
「お支払い方法は……ってあれ、一括の欄がないぞ?」
探してみたけど最低でも5回払いだった。もしかして現金だけで一括払う奴なんていないのか。これは受付のエルフさんにでも聞いてみるかな。
「あ、書き終わりました。」
「はい、お疲れ様。柊希心さんですね。……お支払方法のところが書かれてないんですけど?」
え、もう書いてある情報全部見たの? さすがに早くないか?
「あ、そのことに関してなんですけど。」
「まさか、払わないとか言わないですよね?」
「言いませんよ。一括でお願いしたいんですけど。」
「はい!?」
受付のエルフさんがすごい顔してた。やっぱりそんな奴いなかったんだな。僕は財布から穴金貨コイン1枚取り出した。
「これで。おつりの金貨5枚お願いしますね。」
「あ、はい……。か、かしこまりました。少々お待ちくださいね。」
完全に意識飛んでたな。おつりちゃんと持ってきてくれるかな? ふぅー。息を吐く音が聞こえた。
「お待たせしました。おつりの金貨5枚です。では入学式は2日後になります。入学後、ギルドカードなどはお渡しいたします。あと、こちら概要書です。入学式までには読んどいてくださいね。」
「わかりました。ありがとうございます。」
入学式は2日後か。それまでどうしようか。酒場に行くのも面白そうだな……え、ストリップショー? 絶対行かない! あそこまで僕はまだ落ちぶれたくないぞ!