第29話 この世界のお墓は何かおかしい!学校の帰りにみんなでお墓参り
「では、今日の授業はここまでだ。明日もこの教室で9時集合だ。遅れるなよ。」
小鳥遊先生がそう言って教室を出た。はぁ、今日の授業はめっちゃ疲れたな。途中こたつ入ってたけど。
「さてと、帰りますかな。」
「そうね。」
「うお!」
いつの間にか早絵がこっちに来ていた。早くないか?
「帰るんじゃなかったの?」
「あ……あぁ、帰るよ。」
「じゃあさっさと帰るよー。」
「おう。」
僕が荷物をストレージカードにしまい、席を立つと、
「希心くん、早絵さん。」
御剣に声をかけられた。
「ん、どうした御剣。」
「ちょっと一緒に来てほしい場所があるんですけど、今日大丈夫ですか?」
「? まぁ大丈夫だよな。」
「そうね、これから帰るつもりだったしね。」
「それはよかったです。」
僕と早絵と御剣3人で教室を出た。
「ところで一緒に来てほしい場所ってどこ?」
「それなんですけど……。」
御剣は立ち止まった。なに、風俗店とか言わないよな? だってこっちには早絵という一応女性がいるからな。そんな変態発言はしないと思うけど。
「僕の、ご先祖様のお墓なんです。今日が命日なので。」
「そうだったのか。」
そういえば僕の家庭はお墓参り全然してなかったな。そもそもどこにお墓あるのかも知らなないし。
「でも、私達もそんなところについて行ってもいいの?」
「はい、ぜひついてきてほしいんです。僕にも、ちゃんとお友達ができたんだよって伝えてくて。」
「なら早く言ってあげた方がいいだろ? さっさといくぞ。」
「はい!」
僕らは御剣の先祖の墓のある場所に向かった。
「ここが御剣の先祖の墓がある場所……なのか?」
「はいそうです。」
僕は見たものに驚愕していた。皆さんはお墓と言ったらどのようなものを思い浮かべるであろうか? 墓石があってその周りには花が手向けられてて、墓石に水をかけてあげる……そんなイメージだろう。だけど違った。なんなんだよこの墓は。
「まっ金金じゃん。そしてこれ、プチピラミッドじゃん。」
「全然私達が想像してた場所と違うわね。」
こんな墓地見たことないよ。っていうかこんな金ピカな墓地じゃ死んだ人も安らかに眠れないんじゃないかな。
「この辺ではこれが普通なんですよ?」
御剣が不思議そうな顔で言ってきた。これが普通って。確かにピラミッドは前の世界でも墓だったけどさ。
「ここに御剣の先祖さんの墓があるんだな。」
「そうなんです。ここにある墓は全部冒険者として生涯を終えた人たちが集まると言われています。」
「ということは、ここにある墓っていうのはみんな冒険中に命を落とした人たちだったのね。」
「はい、そういうことになります。冒険者はどっかの旅の途中でモンスター等にやられて生涯を終わる人しかいません。ですので、こういう場所が作られたといわれています。」
「なるほど、ちなみにこの墓に何かはいってたりするのか?」
僕は御剣に質問した。日本では遺骨などを入れる人がいたりいなかったりしたはず。あんま墓には詳しくないけど。
「そうですね、その人が使ってた防具や武器を埋めてる人もいるらしいですが、基本的に死んじゃったら何も残ってない方が多いので、空っぽの場合が多いですね。僕の先祖さんのお墓も何も入ってません。」
「骨とか遺骨とかは入れないんですね。」
早絵が質問した。
「そうですね、死んじゃうと基本モンスターの餌になる場合のほうが多いですから。装備等もスライムが食べたり、盗賊が盗んだりしますので。」
「どうして、死んだ死んでないとかわかるんだ?」
一度旅に出て基本的に戻ってこない人もいるはずだ。どうやってその情報を手に入れるのかが気になった。
「それは……。」
御剣はカバンからかカードを取り出した。
「このギルドカードでわかるんです。このギルドカードは僕らが持ってるカードのほかにも一個あるんです。それはギルドで大切に保管されています。そのギルドカードが消滅したら……。」
「そういうことか。というかギルドカードは所有者が死んでしまうと消えちゃうんだな。」
「そうですね。もし、残ってしまったら顔写真があるので代わりに使うことはできないかもですが、それでも悪用される可能性を考えての物なんでしょうね。その分証明書としては一番高いものになります。」
「じゃあ、絶対なくしちゃだめね。」
「その通りです。再発行にはかなりの手続きとお金がかかるのでしっかり管理しておくのをお勧めします。」
早絵はポケットから出したギルドカードを出して、しまうところを探していた。でも体操服ってしまうとこないよな。
「私、どこにしまえばいいの?」
「まぁ、あきらめろってことだろうな。おとなしくポケットにしまっとけってことだろ。」
「むぅ。」
早絵がおとなしくポケットにしまいなおした。まぁ基本的に座ってるから落とさないであろう。
「あ、ここです。つきました。」
僕らは一際でかいピラミッドの墓の前で立ち止まった。そこには御剣家と書いてある。こういうのは一緒なんだな。
「僕のお母さんはとても立派な剣士でした。一度魔王の手下を一人で倒したともいわれています。お母さんはとあるダンジョンのトラップに引っかかって仲間を守るために命を落としたといわれています。」
「立派なお母さんだったんだね。」
「はい、そうです。僕のあこがれです。」
御剣はそう言った。憧れか。道理でそんなに強いわけだな。
「では……。」
御剣は目を閉じて手を握り祈り始めた。僕らもそれに見習って目を閉じて手を握った。
(……きっと御剣は友達ができたよ!みたいなことを言ってるんだろうな。僕も、家族にはこっちの世界でちゃんと生きてるよって言ってあげたいもんだな。)
ちょっと目を開けて早絵のほうを見るとまだ何かを祈っているような感じがした。うっすら目を開けながらみんなが終わるタイミングを計った。
(僕……こういうのは苦手だな。)
僕は心からそう思った。
墓参りが終わり御剣とは別れた。
「ねぇ、希心。」
「どうした早絵。」
「私達が前いた向こうの世界ではちゃんと私達の墓ってあるのかな。」
「どうなんだろうな。一切確かめることできないしな。」
「なんか不思議だよね。私たちはこっちの世界で生きている。でも向こうの人たちからしたら私たちは死んでいる。ほんと不思議よね。」
「それは確かにな。」
「向こうの世界ではちゃんと私たちのこと覚えてくれてるのかな。」
早絵は少し落ち込んだ顔をしていた。
「きっと覚えてる奴がいるさ。そういうもんだよ。」
フォローになってないと思うけど僕なりにフォローをした。
「ほんと、希心っぽいね。……さぁ帰ろうか。」
「そうだな。」
僕らは家に帰った。帰る前にパンを買っておいた。明日の朝ご飯のために。ちなみに今日の晩御飯はパンとインスタント麺である。異世界にきてほんとインスタントしか食べてない気がするけどな。そういうことは気にちゃダメだ。




