第02話 質屋でウハウハ!?希心vs質屋の店主!
今度、僕は町を歩いている優しそうな雰囲気が漂ってる狐姿の亜人の親子に声をかけてみた。
「すみません、ちょっといいですか?」
「ええ、かまいませんよ。」
「この辺りに質屋ってありますか?」
「質屋ですか……そうですねぇ……」
若干狐の母親の顔色が悪くなった気がした。
「ママ! あそこの店”ひちや”じゃないの?」
「うーん、あそこはちょっとねぇ……。」
さらに顔色が悪くなった。なんかいわくつきの店なのかな?
「あの……そのお子さんがいった店というのは?」
「一応質屋なのだけど、店主さんがねちょっとね。」
「一体どんな店主なんですか?」
もしかしてキチガイとか?それともエロ親父とか? それだったらめんどいな。
「ほとんど喋らない故によく外出しちゃうんですよ。」
「えぇ……。」
それは確かに面倒だな。質屋って普通喋り上手な人が店主をやるもんかと。
「でもね! とっても優しいんだよ! お菓子くれたりたまに遊んでくれたり!」
「子供にはとても評判が良いみたいで。そのほかの質屋だと次の町にいくしかないですね。」
「そうですか……。ならその質屋まで案内してもらえますかね?」
きっと優しい店主ならどうにかなるだろう。さすがに次の町に行くとしてもお金なきゃ乗り物も乗れないし何よりおなか減った。早いとこ、お金を……。
「いいですよ。私たちの目的地の真正面ですし。では行きましょうか。」
「ありがとうございます。」
僕は亜人の親子と共に質屋に向かって歩き出した。
僕がなぜ亜人の親子に話しかけたかというと、亜人の人たちにもちゃんと言葉が通じるかどうかが心配だったからである。もし亜人と意思疎通できなかったら質屋に行ってその店主さんが亜人だった時、コミュニケーションが取れない……ってなるのを防ぐためなのだ。一応計算してるつもり。……別にほかの人たちが怖そうだったからじゃないからね!
「そういえば珍しい恰好をしてらっしゃるのですね。」
「そ……そうですか?」
「えぇ。そんな恰好をしてる方は初めて見ましたよ。どこか遠くからいらっしゃったのかしら?」
「あ、この服は僕の母親が作ってくれたものなんですよ。」
「あら、あなたのお母さんはとても器用な方なのですね。」
「はい、そうですね。」
とっさに嘘をついた。うまくつけてたかな? それはそうとこの世界には学生服ってのがないのかな? ならこれも売ればお金になるかもだな。
「着きましたよ。」
「すみません、わざわざありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ色々とお話ししていただきありがとうございます。」
「バイバイ!めずらしいふくきたにいちゃん!」
「うん、じゃあね。」
僕はその子の頭を撫でてあげた。あ、しっぽ降ってる。喜んでくれたみたいだ。
僕は亜人の親子と別れ、質屋に入っていった。
「…………………。」
お店を入った目の前に店主であろう男の人が立っていた。
「あの、すみません。売りたいものがあるんですがよろしいでしょうか?」
「…………………。」
……ほんとになにもしゃべらないな。大丈夫なのかな?なにも語らないなら大丈夫ってことだろう。とりあえず僕は財布から1円玉から500円玉まで1枚ずつ取り出した。
「これらを買い取ってほしいんですけど。」
「…………………!!」
店主の顔色が変わった。お、これは期待できるかも。
「……どこでこれを手に入れた!?」
おぉ!急に喋った!あんまり喋らない人が喋るとビックリするよね。
「えっとぉー……。」
とっさに何も思いつかない! どうしよう! もしかしてピンチ!? これはまずい!
「これを買い取らせてくれるんだな! すぐに用意してやる! ちょっと待っててくれ!」
店主は奥に入っていった。ふぅ、なんとかピンチ脱出! なのか?
待つこと数分。店主が戻ってきた。
「よし、まずこの銅色のコインは銅貨コイン3枚と交換しよう!」
「あ……はい……。」
これ完全に相手のペースになっちゃったなー。10円玉は銅貨3枚になった。
「そしてこの銀色のコインは銀貨コイン3枚、穴が空いてる銀色コインは大きさが若干小さいため穴銀貨コイン5枚で許してくれ。」
100円玉が銀貨コイン3枚、50円玉が穴銀貨コイン5枚っと。やっぱり中心に穴が空いてると価値が上がるんだな。
「そしてその金色のコイン。これは金貨5枚でそしてその穴が空いてる金色のコインは穴金貨4枚でどうだ!」
「は……はぁ……。」
えっと500円玉が金貨5枚で5円玉が穴金貨4枚かぁ。5円玉の出世がすごいな。
「そしてこの一番軽いコインは少し興味があるから銀貨8枚でいいかな?」
1円玉が銀貨8枚。これも大出世やね。
「なんか疑問点や質問等とかあるか?」
「あ……い……いえ……。」
「よし、取引成立だな!」
僕は穴金貨4枚、金貨5枚、穴銀貨6枚、銀貨1枚、銅貨3枚を受け取った。
「またこのコインが見つかったらぜひ我が質屋にきてくれよ!」
「あ……はい……わかりました……。」
僕は恐る恐る店を出た。結構な額手に入るかなと思っていたのだけど予想以上に手に入ってしまった。おかしい。ある意味嬉しい誤算だ!一番最初に聞いた店主さんから聞いた話だと穴金貨なんて出回ってるの見たことないっていってたしな。
「……これ、どうしようか。」
うーん、この世界にも銀行的なのがあるのかな?とりあえず腹減ったし、最初に行ったお店に行こうかな。お礼も兼ねてね。
僕は最初に言った店に向かって歩き出した。