第01話 異世界転生、そして所持品チェックじゃー!
「……ぉ……ぁ。」
ん? よくは聞こえないが遠くのほうで話し声が聞こえる気がする。
僕はあの時刃物で刺されて意識を失った。ということは病院に運び込まれて意識を取り戻したってところなのかな?いやー自分でも驚くぐらい体力あったんだな。刃物で刺されても生きていられるのか。もうあの痛みは味わいたくないけど。
そういえば刺されたところに痛みや違和感を感じない。どうしてだろう?とりあえず目を開けてみようか。病院にいるなら真っ先に天井が見えるはずだよなー。
僕はそっと目を開いた。
「……はぁ!?」
僕の目の前に広がっていたものは病院の天井……ではなく青空だった。雲一つない晴天。ちょっと待て!? なにこの病院! 天井ないの? なに(患者様に空を見せたいから天井取っ払いましたー)的な? 頭行かれすぎてんだろこの病院! 雨とか降ったら患者全員びしょぬれじゃん! 馬鹿じゃないの?
とりあえず僕は首を動かし周りを見た。
「……え?もしかしてここって……外!?」
そう僕が意識を取り戻したのは場所は外であった。周りはビルに囲まれている。まるで刃物で刺された場所に似ていた。しかし若干ビルの色や窓の配置具合が違う気がした。ということはあの場所ではないのであろう。
「とすると、ここどこなんだよ!」
とりあえずわからないことがあったらゴーグルだよね!ってことで僕は胸ポケットの中にあったスマホを手に取った。
「……ビルがあるのにここ田舎なのかよ。」
いつも電波マークがついているところに圏外と書かれていた。これじゃあゴーグルのマップ検索は使い物にならない。
「とりあえずここから移動してみるか。スマホの電波ももしかしたら戻るかもだし。」
僕は唯一道が続いてる方向に歩き出した。
「……はぁ!?」
本日2回目のはぁ!? である。それはそうでしょ……。目の前通過した者たちを見れば。動物の耳みたいなのを頭につけて、動物のしっぽみたいなのがお尻から生えてる。どう見てもアニメとかでよく出る”亜人”って呼ばれてるやつだった。普通の人間もいたが亜人も10人に一人? 一匹? いるみたい。
「これは……認めるしかないか。」
ここは、この世界は、僕は今まで生きていた世界、地球とは違うことに。
そして、刃物に刺されて死んだことで異世界転生をしてしまったことに。
「はぁ……さて、これからどうしようか。」
落ち込みながら僕は考えた。異世界にきたらまずやることって何だろうな。うーん。現地の人とコミュニケーションをとるとか? いやそれより先に……
「所持品のチェックをしようか!」
結構大きな声で言ってしまった。周りに誰もいなかった……よね?
とりあえず僕は手に持ってた学校指定のカバンを開けた。中には、
●教科書(数学、物理)
●ノート5冊(ほぼ未使用)
●筆記用具(シャーペン2本、消しゴム、シャー芯の替え、多色ボールペン、ハサミ、のり)
●スマホ予備バッテリーとコードと電源プラグ
●定期券
●その他ファイルとファイルにはさがってたプリント類多数
ぐぬぬ……。使えそうなものというとハサミとかかな? 一応武器になるだろうし。あとはシャーペンやボールペンの類とノートぐらいかな。なんかメモとるときに使えるかも。あと自分の制服の中に……
●学生証
●スマートフォン
●財布(千円札3枚、500円玉2枚、100円玉4枚、50円玉1枚、10円玉3枚、5円玉2枚、1円玉2枚)
●おもちゃの銃(BB球入り)
うーん。こっちの世界でも円なのかな? 円じゃなかったら金なしになるなー。いや同じだったとしてもこの金額じゃきついだろ。
とりあえずこの世界にきて何か副産物がないかなと期待してみてみたけど何もなかった。
「これは……コミュニケーションを取りに行くか……あんまり喋りたくないけど。」
僕はビルの隙間を抜け、大通りに出た。
「それにしても、露店が多いなぁ。まるでゲームの世界みたいだな。」
僕は露店を見ながら歩いてた。売ってるものを見てみるとリンゴやミカンみたいな果物系やキャベツやキュウリなどの野菜系はしっかりあった。ただ……。
「あの……すみません。」
僕は店の軒下に入り、優しそうな女性の店主に声をかけた。
「いらっしゃい。どうかしたの?」
「あの……後ろについてる銅コインって見せてもらうことできますかね?」
そう金額の後ろに書いてある文字。それは円ではなく銅貨コインってなっていたのだ。なんだよ銅コインって。
「え!? ……えぇかまいませんけど……。」
店主は不思議そうな顔していた。それはそうだろうね。現実世界で100円見せて、って言ってるようなものだからね。不思議すぎるわ!
店主さんは4枚のお金を持ち、見せながら説明してくれた。
「まず、この茶色っぽいのが1銅貨コイン。これが一番下のお金ね。そしてこの銅貨コインの中央付近に穴が空いてるコインが1穴銅貨コイン。この穴銅貨コインは10銅貨コインの価値があるのよ。」
「ほんとに中央付近なんですね。」
僕に見せてくれた1穴銅貨コインは中央よりやや右上部分の場所に穴が空いていたのだ。
「そうね。穴をあける技術があまり発展してなくてね。中央に穴が空いてれば空いてるだけ質屋とかに持っていくと高くついたりするけど基本的にこれくらいずれてるからあんまり期待しないほうがいいと思うわよ。そして……。」
今度は違う色のコインに目の前に差し出して。
「これが1銀貨コイン。この銀貨コインは銅貨コイン100枚分。つまり穴銅貨コイン10枚分の価値があるわ。一般庶民は基本銀貨コインを3枚ほどもって買い物に出かけることが多いのよ。そしてその銀貨コインの中央付近に穴が空いてるコインが……。」
「穴銀貨コインですね。多分、銀貨コイン10枚の価値がある……ですよね。」
「そう、その通り。流れで分かったの?」
「まぁ、そうですね。」
だってそれ以外考えられないじゃん。もしここで15枚の価値でーすとかだったらこのお金考えたやつ殴ったるわ!
「ちなみに、これ以上のお金ってあるんですか?」
「その穴銀貨コインの上に金貨コインってのがあるわよ。その上に穴金貨コインってのがあるのだけれどもほとんど持ってる人を見たことがないわね。」
「なるほど……すみません勉強になりました。今度お金を持ってるときに買い物にくるのでその時はまたよろしくお願いします。」
「そうですか。また来てくださいね。」
僕はその店を後にした。よかったー。優しい店主さんで。お金ないのにちゃんと説明までしてくれた。でもいいこと教えてもらったな。
「とりあえず、質屋を探してみようか。もしかすると……。」
僕はニヤニヤしながら質屋を探し始めた。