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この世界のシナリオを  作者: ISASI
第1章 始まりの始まり
6/11

第5話 帰る場所

 何だろうか…息がし(づら)い…。口が塞がれている分けでは無い…だけど…こう…呼吸器官が塞がれているような……喉!そうだ!これは喉が苦しいんだ!少し考えれば解ることだろ!口が塞がれてないのに苦しいなら、空気の行き来する場所つったら他に有るだろ!


 鼻だ。


 違う!今は喉が押さえられているんだよ!

 だけど…誰が?何のために?

 俺を嫌う人間か?

 俺を嫌う人間なんて居る(はず)がない!

 じゃあ他に………。俺に恨みが有る人間か?

 恨みを買うような事はしてないはずだ!多分!

 思い当たる節は…。



-----



「ねぇねぇ大翔(はると)君!大翔君て…どんな娘が好み…なの?」

「君とは違うおっぱいが大きい娘かな」

「…」



-----



「大翔!昨日俺の妹が泣きながら帰ってきたんだ。お前…何かしたのか?」

「ん?妹?あのおっぱいの大きくない子の事か?」

「…」



-----



 うむ、やはり思い付かん。

 あ!てか見れば良いんじゃね?

 俺ってば天才だってばよ!

 良し開けるぞ!開けちゃうぞ!

 見れば一目瞭然とは言ったものだな!


 えい!


「しねぇ…よんのじがため~…」


 白くスベスベな太股が俺の首を閉めていた。


 これはこれで…。



―――――



「寝ながら4の字固め何てしないでくださいよ…」

「いやぁ~ごめんごめん。夢の中でとてつもなく腹立つ奴が出てきてさ~余りにも頭にきたから、頭を4の字で固めてやったのよ。そしたらソイツさ私の名前じゃない女の名前呼んで喜んでのよ!キモチワルかった~」

「へ~。夢の中で何て名前で呼ばれてたんですか?」

「それがね~夢だから曖昧なんだよね~。リコール?アルコール?分かんないや」


 まあ、夢だからしょうがないか…。

 いやいや、それより重要な事があるだろ。


「そうですよ!貴女の名前!!名前は何て言うんですか!」

「あれ?名前言ってなかったっけ?私の名前は!…名前は………名前?」

「名前は?」

「……分かんないや!」

「は?」


 ああ、そう言えば。



-----



『え?だって私…私…わたし?』

『どうしたんですか?』

『ごめん私って誰?』



-----



 とかあったな。記憶喪失なのか?


「あの…もしかして記憶が無いんじゃ…」

「うん!記憶喪失っぽいね!」

「ぽいねって…」


 はあ…。まあいいや…取り敢えず帰すか…。


「あの、帰る場所は有るんですか?」

「は?覚えて無いのよ?分かるわけ無いじゃない。バカじゃないの?」


 何だ?この上から目線は…。何と腹立たしい事ですか!

 腹立った。ちょっと意地悪言ってやろう。


「ああ!そう言えばそうでしたね!すっかり忘れてましたよ!じゃあ出てけ」

「え?」

「は?」

「今…何て?」


 ここで、ある程度真顔でやれば…。


「あ?聞こえなかったのか?その頭の両端にある耳は飾りか?出てけって言ったんだぞ?もう一度は言わすなよ」

「ちょっ、え、え?」


 戸惑ってる戸惑ってる。

 何だよ、可愛いじゃんかよ。


「え、え、えぇぇ、うっ……うわあぁぁぁぁぁぁぁん!」


 !?


「ちょっちょっと!」

「意地悪じないでぇぇぇぇ!」


 とてつもなく予想外な反応でちょっと戸惑った。

泣くところを文章にするのは難しいぞえ。

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