第10話 その頃
小説を執筆してることを忘れてました。
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「さてと…」
気付いたら知らない少年の部屋に居た。そんでもってその少年は私の為に服を買ってきてくれると言う。なんと優しい事だろうか、見知らぬ女の世話をするなんて、私だったら絶対にしない。
まあ、そんな事は良いとして。
「いったい私は誰だ?」
うむ、本当に思い出せない。1つ分かることは体の節々が痛いことだ。きっと高いところから落ちたか、もしくはバイクか自動車に轢かれたかだ。後者に関しては骨折の恐れもあるから無いか…。なら前者は?
あり得ない、後者と同じく骨が折れているはずだ。もし折れてなかったとしても打ち身くらいはあるはずだ。
それに。
「切り傷か…な?」
切り傷にしては至るところにあった。何かが擦った痕にしても可笑しい。服の破れていない内側にもあるからだ。
しかもそれはどれもが浅い訳では無かった。体を動かして分かったが背中にも傷があり、視認する事は出来ないが多分これが一番深い傷だ。
傷を確認するため背中を強めに布団の上に叩きつけると、傷口の表面と傷の最終地点までに痛みが走った。予測だが1cmは深さがある。
「なかなか痛たいな…」
確認するためとはいっても強くし過ぎたと後悔している。これが中々に痛い。
「そんでもって…何で学生服なんだ?」
ぼろぼろの布切れみたいになった学生服は至るところに焦げた跡や切れた跡、それに破れた跡がある。
なんじゃこりゃ。
「なんじゃこりゃ」
思わず口に出して言う程の不思議がそこにあった。ぼろぼろの学生服…。
「ん?」
スカートのポケットに何かが入ってた。
「野木村探偵事務所?」
ポケットからは変な装飾のされた名刺が出てきた。そこには「野木村探偵事務所、社長・野木村智樹と書いてあった。
「誰だこいつ…ん?おっ」
名刺を裏に向けると、そこには電話番号が書いてあり下には有川歩と付け足してあった。
もしかしたら、本当にもしかしたらこの人達が私の事を知っているかも知れない。
だけど、どう聞くか。「私の事知ってますか」「私は誰ですか」か?
まあどちらにしろ。返答は「どちら様」か「存じ上げません」の2択かな。
「ん~」
どうしたものかな。