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アクセサリーアタック

次の日、約2週間続いたお菓子攻撃は終わりを告げた。


お菓子が、ない。ついでに言うと手紙もない。

手紙がないということは、スイーツ大王は私の下駄箱を開けた…、すなわち今日もお菓子を届けに来てくれたということだろう。多分手紙を読んで持って帰ったのだと思う。なんかわざわざ用意してくれてたのに申し訳ないことをした。


まぁ何はともあれ、これで私の平穏な日常が返ってくる。

スイーツ大王!結局誰だか分かんなかったけどありがとうございました!




「チカ~、これ可愛くない?」


「かわいい!あ、でも私、こっちのピンクの宝石が付いたハートのネックレスの方が好きだなぁ…って、高っ!これはさすがに手が出せないや」


昼休み、ユウコと女性向け雑誌のアクセサリー特集を見ながらきゃいきゃいと騒ぐ。こうゆうのは実際買わなくても見るだけでも十分楽しい。


「おいヨウ~!なによそ見してんだよ!ちゃんと俺の話聞いてたか!?」


「あ、わりぃ。聞いてなかった」


「てめぇ!」


クラスの真ん中で楽しそうにじゃれあっている男子たち。その中心には日笠くん。相変わらず絶やすことなく無邪気な笑顔を浮かべている。


「(かっこいいなぁ…日笠くん)」


昨日二人だけで話していたことが嘘のように日笠くんが遠い。切ない…。

そんなことを思いながら、ついじっと日笠くんを見つめてしまう。


「え、」


すると、少しだけ日笠くんと目線が重なった…、気がした。


「なんて、気のせいだよね…」


「どうしたのチカ」


「ううん!なんでもない!」


はぁ…、日笠くんと仲良くなりたいな…。






次の日、下駄箱の前で私は固まっていた。


「嘘…でしょ…」


昨日同様お菓子はなかった。なかった…けど、代わりに見るからに高級そうな紙袋が一つ。中には肌触りの良いケースに入った可愛いハートのネックレス。

それは昨日、ユウコと一緒に見ていた雑誌に載っていた私がかわいいと言ったネックレス。


キーンコーンカーンコーン


予鈴の鐘が鳴る。

ハっと我に返り、少し迷った後にネックレスを鞄に突っ込んだ。

教室に向かいながら考える。これは多分スイーツ大王からだ。そしてスイーツ大王は同じクラスの人の可能性が高い。いや、待てよ。昨日私がこのネックレス可愛いと言ったのは昼休み。ほかのクラスの人もたくさんいたはずだ。同じクラスだとは言い切れない。でも多分同じ学年なはず。


「…はぁ…」


一難去ってまた一難。

スイーツ大王…、いや、アクセサリー大王?ネックレス大王?なんかごろ悪いしスイーツ大王でいいや。スイーツ大王は何がしたのだろうか…。いや、もう何となくわかってる。多分、私のことが好きなのだろう。勘違いだったら恥ずかしいけど、もうそれ以外考えられない。だってあのネックレス、たしか5万は軽く超えてたはず。そんなものプレゼントしてくるなんて好き以外に何があるの…?誰か教えて!


でもこれじゃあまるでストーカーだよ…。こんなことしなくても、直接言ってくれたらいいのに。



放課後、私はまた一人残って手紙を書いていた。もちろんスイーツ大王にだ。さすがにこんな高価な物は受け取れない。丁重にお返ししよう。


『受け取れません。お返しします』


長い時間悩んだ挙句この短文。まぁいっか。手紙を鞄に入れて立ち上がる。


「如月さん」


「日笠くん!?」


突然声をかけられ驚き、声をかけてきた相手が日笠くんだったことにさらに驚いた。ダブルパンチ。


「また残ってたんだ。何してたの?」


「ちょ、ちょっと数学の宿題を…。日笠くんは?」


咄嗟に嘘をつく。ほんとは宿題なんてほぼ毎回やってない。直前にユウコに写させてもらっている。


「俺?俺、は…、忘れ物」


「また?日笠くんて意外と忘れんぼなんだね」


日笠くんの意外な一面を発見してうれしくなる。なんか可愛い。


「うん、そうかも。じゃあ俺バイトあるから!また明日」


「あ、うん!バイバイ」


短い逢瀬だった………。でも日笠くんとまた二人で話せた。


「へへへへへ」


思わず笑みがこぼれる。

さて、私もさっさとネックレスと手紙を置いて帰ろう。

また日笠くんと話せるといいな。






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