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詩のサークル

和風四作詰め合わせ

作者: 齋藤 一明

 妻問いの 船止め哀し 天の川


 いきなりですが、川柳でございます。

 年に一度の逢瀬心待ちにしていた彦星さん、待ちに待った許嫁に会える日となりました。

 織姫嬢が待っているのは、天の川をへだてた対岸でございます。

 たまには彼女が会いにきてもよさそうなものですが、彦星さんの村には古風な習わしが残っていたのです。

「女に自宅を教えるではない。後々面倒だ」

 ご苦労されたお方がおられたのでしょう。ですが、男が忍んで行くのが習わしでございました。


 いそいそと船着場へやってまいりますと、なんと、うち続いた集中豪雨のせいで茶色い水が轟々と地響きを立てているではありませんか。

 今夜を逃せば一年という月日を悶々とせねばなりません。なんとか袖の下を使ってでも織姫嬢の元へ行きたい。

 苛々、悶々……、彦星さんは悶え狂ったのでございます。

 しかし天候不順には勝てず、一縷の望みをかけて川端に立ちつくすのでございました。



 かと思えば、天気にめぐまれた土地もございます。


 嘴の 黄色きツバメ 天駆ける


 ようやく巣立ちをした若鳥が、おもうさま空を駆ける様子を俳句にしてみました。

 若いという言葉に、強い憧れを抱く歳になりました。

 無鉄砲、常識破り、躍動感。

 若いということはそれだけで素晴らしいのですが、渦中の人には実感できないようです。

 青春期に、もっと自分を見つめるゆとりがあったら……


 ……タラは北海道でした。もう手遅れです。


 

 アジサイを這う カタツムリ見て 粋な奴よと アマガエル


 梅雨に似合うといえばアジサイですね。雨の滴をポトポト垂らすあじさいを、これまた雨が似合うカタツムリが這っている。

 雨上がりの場面ですが、それを下でアマガエルが見上げて感心している。

 オモトの葉にでも乗っていると、一幅の絵になるように思います。

 ちょっと小粋に、都都逸にしてみました。



 青空に 虹の帯する 白雨かな

 木の香をのせた 風を吹かしむ


 白雨でございます。日が照っているときに短い時間だけ降ってくるあめ。

 雨がやみますと、空に大きな虹がかかります。暑さを一瞬でも忘れますね。

 そして、雨は風を連れてきます。

 木の香をたっぷりふくんだ風がそよそよ吹けば、一層清々しくなります。



 こんな情景を想像すれば、少しでも清々しくなりませんか?

今回は、純和風に攻めてみました。


川柳

俳句

都都逸

短歌


どれも日本文化の誇りです。

できの良し悪しはお赦しいただくとして、皆さんもいかがですか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なつぜみの すがたはあらず あかるさの こずえのそらに かなしきは恋 沈む闇 手招き揺れる 燈の花 (燈花会……夏の夜の奈良公園周辺の地面に配置した、幾万の蝋燭の仄明かりを味わうイベン…
[良い点] いろいろな味が楽しめ、また添えられた散文でより楽しめました。 [一言] 不勉強で申し訳ないのですが、「ですが、男が忍んで行くのが習わしでございました。」は「ですが」より「ですから」のほうが…
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