2章 リク
どうやらオレはきれいごとを抜かすくそどもから説教を受けるらしい
いい度胸だ、この唯一神に物申そうとは! フハ、フハ、フハハハハ......ああ、愉快でしかたないよ、今から偽善口調で正義を述べる者が苦痛に顔を歪ませ、本性をさらけ出し、罵詈雑言をかますところを想像するとな!
ガチャリっていう音が聞こえ我に変える アハハ自我を失ってたよ、楽しみすぎて、唯一神の我は見下した表情で腕を組み、どしりと構え目の前の男に目を移す
「んー君が高田陸くんかあ...... 君が騒ぎ起こしたせいで自己紹介できなかったし、まずは僕のこと話すね、僕は前川一成、28才の独身、これから君の担任になるの よろしくね」
オレは目を疑った、今起きていることが現実なのか自問自答したほどだ あのマイペースな口調、何を考えてるかわからない得体のしれない笑顔、目の前の男は確かに前川だった。なぜ鉄パイプでオレを半殺しにした男がここにいるのか 考えれば考えるほどわけがわからない
「ねえ......聞いてる?」
オレははっと我に返る 前川はきょとんとした表情でオレをじっと見る
「オレを覚えているか?」
「んー......知らない 君ほど濃い子は人生ではじめてだよ」
「人を鉄パイプで殴ったこともか?」
「鉄パイプ......? たっはっは......」
「何が......おかしい!?」
「いやさ、いつも僕と弟の直樹は間違えられられててね......こんなところで......しかもあの事件の被害者が生徒だとは...... あはは傑作、運命ってあるもんだねえ」
ケラケラと笑いながらオレをからかうのに、しびれを切らし、つかみかかる
「だーかーら...... 人違いだっての......」
「てめえは......その弟そっくりだ......人を馬鹿にしやがって......きにくわねえ殺してやらあ!!」
オレは拳で前川の溝をめがけて拳を出すが当たる前に吐いた 脇腹を蹴られたようだ オレはヴヴヴと唸りながら倒れた
「悪く思わないでね、突っ掛かって来たのは君、これ正当防衛だから」
「教師のくせに......!」
「まあ、とりあえず聞こうか、何で佐藤先生を殴ったの?」
「てめえらクズどもに...何もいう気はねえ...」
「会ってまもなくクズ呼ばわりされるのは始めてだよ
、まあ、聞いても何も答えないなら退学にしちゃうからそのつもりで」
「てんめえ......」
「やめとき、君じゃ僕には勝てないから、それにね、悪さをするのに理由も答えられず反省もしない君になにかを物申す権利はないから、もうかえっていいよ、明日までに理由言わないと退学にしちゃうんで」
前川は去っていった