1章 リク
唐突に持ち上げられた前川のノボルたちへのいじめ問題、前川はオレを除外したいがために、気に入らないオレを庇う者はノボルへのイジメの加担者と判断し、闇に葬り去るつもりのようだ。 今までなら誰しもが前川を監督として立てるであろう、しかし今は違う。誰しもが前川のねじ曲がった人間性に怒りで震えているだろうし、こいつらはオレを憎みながらも、4か月間サッカー部を続けてきた。 オレの指導方針に従い、全国1を獲るために走り続けてきたのは誰しもが同じであるのだから だからこそオレは心配だった 、前川やノボルのしたことはただの逃げだ、厳しい練習に耐え続けてきたこいつらは自分の責任を放棄したあげく、責任を再び得るためにノボルたちの情けない感情を利用した前川に屈したくはないはずだ だが、こちらの言い分を受け付けない前川相手に勝算の目星は何一つとしてない、オレは辞めるしかないらしい、あいつらは助かる道は残されている。 前川を認める、それが選択肢が残されている以上今まで培ってきた努力をパアにはしてほしくない だが皮肉なものだな、前川の登場によって壊れかけてたチームが再び結束して、オレにも友と呼べるタダシがたしかにいたことを知ることになる、それがこんな時にな、破滅へ向かう状況で何とも皮肉なものだ、皮肉すぎる 前川は揺らぐオレたちに下劣な笑みを浮かべ、展開していく
「さて、君たちが高田君が間違っていることに今自覚すればいいんだよ、そうすれば健やかに、揉めることもなく楽しくボールをけれるんだから」
オレたちのやってきた全てを否定するような発言にタダシは怒りの形相で前川つっかかる
「ふざけんな!オレらはそんなことのためにリクのくそ野郎に従って苦しんできたじゃない!少なくともてめえよりかは、リクについてく方がましだってんだよ!」
「じゃあ学校辞める?」
あまりにも趣味の悪すぎる前川にオレはこぶしで吹き飛ばしたかった、だが抑えろ、抑えるんだここで誰かが殴りつくような真似をすれば前川はそれを理由にサッカー部そのものを潰しかねない、一つのチームのキャプテンとして監督として最後まで任務を全うしなければならない オレは監督として、キャプテンとしてだ 意を決してオレは迷うあいつらへ最後の監督命令を語りだす
「お前たち、前川先生のもとにつけ」
そういった直後ヒロシにぶん殴られる
「てめえふざけんな!今になって前川を認めろってのかよ」
「じゃあ聞く、このまま全てが終わってもいいのか?」
「ああいいんだ、お前に監督を押し付け、そのせいでお前は煙たがられ続けてきたのに、あいつはしゃあしゃあと監督をやるとかぬかしやがって、あいつは考えもしねえんだぞ!?日々辛い練習を勝つために続けたオレたちの向上心や、お前が周りから白い目されてずっと孤独に戦いつづける苦悩なんて何にも考えちゃいねえんだ! オレはそんなやつについてくならこんな部活やめてどこの学校にでも行ってやらあ!」
「お前個人の意見を安々とチームに述べんじゃねえ!!!!」
怒声が学校中に響き渡る、前川でさえも委縮する表情を一瞬ちらつかせ、全員の
視点がオレとヒロシに集中していく
「誰しもが選手権に向け歯を食いしばり耐え忍んできた、だがお前個人の感情で周囲が同調し止め続ける者が続出したらどうするんだ? チームに残りたいというものもいれば残りたくないというものもいる、お前だけじゃない、みんな迷っているんだよ その言葉は簡単に周りの決意を揺るがしてしまう、勝手な発言をするな、お前のいまやってることはノボルと同じだ!!」
ヒロシは黙り込んでしまう、監督として最後までオレは責任を果たし続ける
「オレがいようがいまいが前川が監督になろうがなるまいがお前たちの優勝したいという気持ちには変わりはないはずだ。つまらない感情論は切り捨てろ前に進め、立ち止まるなここで止まればオレたちの積み重ねてきた物は崩れ去るんだ、お前たちは自分のやってきた努力に嘘をつくことになるんだよ後悔したくないなら立ち止まるな前に進み続けろ、以上」
それでもヒロシは全く納得できまいとつっかかるがタダシが制した
「やめろ、ヒロシ、リクが正しい オレたちは試合で勝つためにリクについていったんだ それはここにいるやつらが全員だ あいつはオレたちの積み重ねてきたものを無駄にはしたくないんだよ、その気持ちを無駄にしたくはないだろ?優勝してあいつに勝利報告を届けてやろう オレらがリクにしてやれることはただそれだけだ そうしないとリクは報われねえだろ」
「くそったれ!!、おいリク!おめえこそ立ち止まんなよ お互いサッカーを続けて、また一緒にサッカーしよう」
オレは泣きたかった ヒロシはオレをかばってくれたが突き放した、本当はすごいうれしかったんだ、ヒロシがああいってくれて、だがオレは一人の人間である前にチームの監督なのだ ああいうしかなかった オレはヒロシにもちろんだと握手を交わし前川に向き合う
「前川先生 聞いた通りです オレは前川先生に監督の権利を譲り渡し学校をやめます、チームを任せます、では失礼します」
前川は不服な顔でもちろんだよとだけ答えた 本当の最後にチームに向かい合った
「オレはおめーらに課してきたことは間違いじゃないと思っている 謝る気もないし、チームに必要なことをしただけだ、でも自信を持ってくれ、みんながやってきたことは間違いなくプラスになる みんなが優勝報告をしてくれることを心から願っているよ あと、ヒロシキャプテンはお前がやってくれ 誰よりも仲間思いのお前ならみんなついていく 必ずな」
「任せろ、絶対に優勝してやる」
「じゃあな がんばれよ」
オレは去り際に振り返らなかった 今泣いてることがばれてしまえば、チームはまた揺らいでしまう オレは最後まであいつらと対等ではいられないのだ だが今のチームならオレがいなくても戦っていける オレは後ろからありがとうございましたと声を聞き確信していた でもオレはこの時サッカーの原則を忘れてしまっていた 試合終了の笛が鳴り響くまで何が起こるかわからないということを 危ないリク!その声が聞こえた瞬間オレは頭から血を流し倒れていた つぶれていく視界の中覚えているのは必死の表情でオレに駆け寄るチームメイトと血のしたたる鉄パイプを手に憎しみの笑いで顔をゆがます前川だけ 気づけば病院にいた 1日寝込んでいたらしいそうだ、選手権、選手権はどうなったんだ オレは病院のベッドに誰かがおいてくれた自分のケータイで選手権速報をあわてて確認する 背筋が凍った 目の前が真っ暗になった 水城中学相手チーム棄権により不戦勝 オレはあの時の絶望により神になることを決めた 唯一神となり2度とあいつらのような報われない人間を出さないために 愚図をごみをこの世から抹消する、オレは正しい 正義正義正義正義正義正義正義正義 素晴らしい環境を作り上げる少年サッカーの唯一神 オレは天才ストライカーでサッカーの神 高田陸 下種を滅ぼす唯一神なり オレは今生徒指導室で高らかに笑っていた
これで1章は完結です!次の章はカケルとリクが再開します 1章で回収されなかった伏線などを2章で拾いあげていきます これまで読んでくれた皆様本当にありがとうございました! これから先も是非読んでください! 2章は2月後半執筆予定 ちなみに本編ではしょっているキャラクターの裏設定をマイページの活動履歴で公開しています!興味のある人はみてくれると嬉しいです