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脇役謳歌~できそこないヒーロー  作者: uda
*騎士とメイドの物語*
9/47

dokidoki彼女の部屋

 その後は特に目立った出来事も無く、気がつけば夜も遅くなったので自然と各々の部屋で寝ることにした。

 

 そして、現在静まり返ったリビングのソファーの上で六原は寝転がっている。

 いきなり来た怪我人をかくまう部屋があるなんて、考えて見ればおかしな話であった。今日ゴロゴロしていた部屋は実はワーの部屋であった事実に、六原は、彼女のベッドを使っていたのかということに複雑な心境でにさせられたことを思い出す。。


--嗚呼、ロマンのカケラも無いな。せめて月島のだったら少しは嬉しいねぇ。


 というのは口が裂けても言葉に出来ないので六原は胸の内にしまった。

 六原は傍にある机の上に置かれている毛布を掛けることも、そして目も瞑ることなく只ボーとしていた。


 部屋にある蛍光灯は消され、小さな電球だけが灯されたうっすらと暗い部屋の中、再びワーさんから貰った新しいジャージに着替えた六原はズボンのポケットに入れておいたケータイを取り出す。

 開いたケータイの画面時刻を確認するとソファーの上に寝転がってから軽く一時間は経っていた。


――んじゃ、そろそろ動きましょうか。


 ゆっくりと六原はそして、足音をあまり立てないようにしながら廊下に繋がる扉ではないもう一方の扉に向った。

 これからやろうとしていることは、ワーさんの目から見ればよくて逢引、悪くて只の夜這いに見えるのではないか。とふと脳裏を過ぎったが、慌てて忘れようと思考を振り払う。


 どのみち、明日から学校である。大丈夫うまくできるさ。等と自分に自信を付けながら六原は扉の前に立った。中にいるであろう人物には前もって連絡はしている。


 少し前、二人で話をしたいと言った時のことを六原は思い出した。

 ワーが風呂に行っている際に月島に後でお前の頼みについて話があるから時間を取れないかと六原は訊ねた。

 本当ならその時にでも話せばよかったのだが、いつワーが風呂から上がってくるか分らなかったのかということがあった事と、せっかく月島達が鍋をご馳走してくれた後のこの少し穏やかな空気を壊すのが申し訳なく、もう少し落ち着いてからにしようという六原なりの気遣いであった。

 この提案に対して月島は承諾し、なら、ワーが寝静まってから私の部屋に来てくれないか。とリビングの扉を指差した。


――つまり、いきなり女の子の部屋に誘われたと言うことだ。こんな風に言うとすごくいやらしく聞こえるねぇ。まぁ、そう聞こえるのはオレ的には大変良い事であるがね。


 さてと、行きますか。と何故か少し気合を入れながら。六原はマナー的に扉に小さくノックをした。


 数秒後、どうぞ。という月島の声がする。六原は「お邪魔します」と小声で言いながら、扉を静かに開け、すぐに部屋の中に入るとすばやく扉を閉めた。もちろん物音は立てない。


――よっしゃ、侵入成功だぜぃ。


 思わず、六原は胸元で拳を握る。

 その何とも奇妙な行動に呆れながら月島は目を細めた。


「なんだい、その動き。まるで泥棒みたいじゃないか」

「いや、ワーさんにバレたら何を言われるかわかんないから」

「……それもそうだね」

「納得してもらえたようで何より」


――来ましたよ。女子のお部屋。たまらんわぁ。


「……どうしたのだい」

「いえ、別に」


 振り返るとデスクのそばにある椅子に月島は腰をかけてこちらを見ていた。デスクの上には教科書が広がっている。


「スマン。まだ勉強中だったかな」

「いや、いいよ。大体区切りが付いたところだから」


 行く時間ぐらい言っておけば良かったと思う六原の目には開いていた教科書、ノートを丁寧に片付けると月島の姿が映っている。

 いつも通り長い髪を後ろで結った髪形をしているが、服装は違っていた。


 寝間着なのだろうか。思春期の男の子にとっては目の前の凛とした少女の緑ジャージといった姿は色々と考えさせられるものであった。


――ネグリジェとまではいかないが。かわいらしいパジャマを、着て、欲しかった。


 六原がくだらないことを考え、少し落ち込んでいる横で月島は本当に勉強のこと等気にしていないように淡々と教科書を閉じるとデスクの横に掻けていたバッグに詰め込む。


 六原は周囲を観察しながら、片付きすぎているなと思った。普通よほどの綺麗好きで間ない限り、少しはどこか片付いていないものがあるのかと思うのだが、月島の部屋にはそのような箇所は見当たらない。

 だから、もともと、この部屋に机と椅子とベッド、そして、本棚ぐらいしかないという事もあるがそれを含めても、六原はこの整いすぎた部屋はどこか寂しげに感じた。


「女性の部屋をじろじろと見るものではないよ」


 恥ずかしがる様子もなく月島はさらりと語った。


「あ、嗚呼、それはスマン」

「それにそんなところにボーと突っ立っていないで隣に座ればいいじゃないか」

「……エッ」


 月島のセリフに、思わず六原は言葉に詰まらせた。


「マジで!」


――えっ、何で?そんなに月島さん積極的なんですかね。死ぬの、オレが?


 教材をしまい終わった月島は椅子から立ち上がると近くのベッドに腰掛ける。


――ベッドの横に隣同士で座る男女。……もう、死んでもいいかなあ。


 そして、月島はどうぞと空いた椅子に座るように促した。


「どうしたのだい」

「いえ、べつに……」


――知ってたし、一瞬でも月島と同じベッドの横に座われる何て思ってなかったから全然平気ですよぉ。畜生。


「うぃ」


 言われるままに月島と向かい合うように椅子に座った。


「それで話とはなんなのだい」


 いきなり本題に入るジャージ姿の月島。色気のカケラもなかった。

 部屋に入った際の興奮を冷ますのには十分な姿で六原は冷静になっていく。


 時計を見るとそろそろ夜も遅くなりそうな時間帯である。


--あまり夜更かしするのも悪いので手早く終わらせよう。


 六原は椅子の前で足を組み、メガネの縁を押さえるような動きをする。そして、一度コホンと声に出した咳払いをすると口を開いた。


「良い話と悪い話どっちから聞きたい」

「話す前に正直に言っておきたいのだけど……」


 淡々と月島は言った。


「六原さんの自慢げに言うその顔にイラッと来る」

「ちょ!」


 表情を崩し、いつものように六原はヘラヘラと笑った。


「いや、だって一度言ってみたいだろう」

「すまないけど、よく分らないな、君の頭が」

「マジかよ!……嗚呼、やめてね、そんな冷たい視線で見るの。ちゃんと真面目にやりますから」


 まったく、少しぐらい余裕があったほうが人生楽しいのにな、と思いつつも六原は頭の中で調べた情報を整理して話し始めた。


「一応、今日調べる限りの事は調べ上げたよ」

「何についてだい」

「月島、キミについて、そして、キミがいた世界の状況に関してもかな」


 あとはと付け加えるように六原は最後の一つを言う。


「レギオンについて……」


 小さくだが、あまり表情に変化の無い月島はゆっくりと溜息を吐いた。


「そう」


 短く答える、月島。


――嗚呼、やっぱりやめておくか。


 これから、いろいろと自分が調べた事に裏づけをしようと思った六原であったが、聞く気が失せた。

 なぜかと問われれば六原も良く分らないが、一瞬、目の前の女性の表情が悲しく見えたからなのかもしれない。それがどうして悲しんだのか気になったが、それ以上にこれから彼女の事で暴いた事実をぶつけることが嫌になった。


――それに月島に聞かなくても別の誰かに聞けばいい。


 だが、それでも六原は一つだけ訊ねておきたかった。


「呪いは明日には解けるんだったな?」

「そうだよ」


六原は先ほどまで考えていたのとは別のプランを提案した。


「なら、明日学園に行ってくるとするよ」

「学園に行ってどうする気の気なのだい」


――まぁ、半日で考えた計画だけど、コレしか方法が浮かば無かったしねぇ。


 本当なら、六原としてはじっくり情報を収集し、作戦を立てた上で挑みたかったのだが、相手はこちらの首に手が回るところまで来ているのと六原が負傷のためここから出れなかったため、しっかりとした作戦が立てられたなかったのだ。

 そして考えた作戦は下手をすれば六原自身がまた危険な目にあうかもものであった。しかし、そのぐらいヒーローには付き物だと前向きに思うことにし、六原は覚悟を決め計画の内容を話した。

 それは実にシンプルな捻りの無い計画。


「辰野に会ってちょっとお前を見逃してもらえないか話し合ってみる」

「……いきなり斬られるかもしれないよ」


 月島は六原にとって予想通りの反応で疑問を投げ掛ける。

 確かに、昨日突然現れ、こちらを討とうと真剣になっている相手と話し合い等できるのかと思うのは当然かもしれない。

 しかし、月島がそう考えるのは辰野スバルという人間を深く知らないからである。

 彼の友人でクラスメイトの六原は大丈夫だと言った。


「アイツとは友達だからよく知っているけど、辰野君は何だかんだで優しいからね、いきなり斬りかかっては来ないよ」

「だけど、昨日はいきなり襲ってきたよね」

「いや、多分アレはあのメイドだよ」


 辰野の付き人のようなメイドを思い出す。あの時に首筋に当てられたナイフの冷たい感触が蘇り身震いした。


「あのさ、辰野について月島はどれくらい知っているのかな」

「敵って事と、近距離戦の攻撃、強化の魔法を得意としているってところぐらいだね」

「じゃあ、性格とかは知らないって事だろ」


 どういうことだい?と投げかける月島に簡単に説明する。


「アイツ、辰野スバルはあんな乱暴な口調だけど正義感が強くてね。正々堂々とか平等が好きなんだよ。だから、昨日の襲ったところだけど・・・」


 一応想像だけどと付け加えたところで六原は昨日の辰野による襲撃の事の発端を話した。


「あのメイドが不意打ちをしようとしたところを辰野は止めようとしたんじゃないかな。だが、間に合わず不意打ちしてしまったので、正面から堂々と現れて一騎打ちを申し込もうとしたって思うんだよ」


 普通なら、あの敵の姿の見えない状況で一方的に辰野達が攻撃すれば六原たちはやられていたのだ。なのに姿を現した、その理由が、辰野 スバルが本当に正々堂々が好きだという証拠であった。


「しかし、話し合いに応じたところで上手く丸め込めないかもしれないだろ」

「そこは五分五分と言ったところかなぁ」


 けど、月島をこれから無理矢理上手く丸め込んで必要な情報を聞くことや、説得するよりは簡単だろう。と六原は思ったが、伝えず代わりに別のことを言う。


「これでも、あの野郎はオレに多少借りがあるからね。それに話し合うことができるならまだ交渉の余地があると思うんだよ」


 そして、聞いておかなければいけないことを六原は月島に問う。


「一応、簡潔に、とりあえず、聞いておきたいけど、月島はまだ魔法の国に戻ってまたレジスタンスみたいな活動をしたいのかい」


 たどたどしい言葉を繋げた質問で彼女の想いを聞く。月島はしばらくの沈黙の後に小さな声で答えた。


「……ワタシは、したくはないと思っているよ」


 なら大丈夫だ。と言うと親指だけ伸ばし自分自身を指差しながら笑顔で六原は言った。


「このオレに任さなさい!」


――決まったね、オレ!


 これで歓声でもくればいいのだが、月島の反応は全く逆であった。


「……」


 何も言わず六原ををジッと月島は見つめる。その視線に僅かに否定的な色を感じた。


「やめたほうがいいのか」

「……」

「無言か。なら、オレは明日予定通りに動くだけだ」


 少しの間空気が凍てついたように固まった。

 お互い何も言わない中、再び訪れた沈黙を破ったのは諦めたように溜息を吐いた月島であった。


「頼んだのはワタシだから、止めれないよ。……いや、そもそも私の為に動いてくれているキミを止める必要なんて無かったのかもしれないね」

「まぁ、そうだな。だって、コレは君を救うことになるからねぇ」


――ヤバイ。オレカッコいい。


 と内心、自画自賛する六原に月島は口元を薄く微笑む。しかし、月島の思ってもいない返答に六原は驚くことになった。


「嗚呼、コレを解決すればキミはヒーローさ」

「え、あ……」


 予想していなかったセリフに六原は戸惑い視線を月島から逸らしてしまう。

 すると、視線の先に見慣れないものを見つけた。

 部屋に入った際は本棚の影になって気が付かなかったが、壁に一本の銀色の竹箒が立てかけられていた。

 箒は見たことも無い銀色の細い枝を密に束ね、先端にはリングがつけられ、先には黒いナップザックが取り付けられていた。


「魔女の箒?」

「ん?それはこの箒のことかな」


 見たままの感想を六原は口にした。月島は立ち上がると箒を手に取る。

 六原としては目の前にいる魔女と呼ばれる少女に箒とくれば大体何なのか理解しているのであったが興味を引かれ聞かずにはいられなかった。


「なぁ、もしかしてその箒って空でも飛べるのか?」

「もちろん。それに名前もある。名付けて『魔法の箒』だ」


 そのまんまじゃないか!とツッコミかけたがあまりにも真面目な顔で言われたので六原は気が引かれた。


――しかし、魔法の箒かぁ。いいね!何というか凄くファンタジーな感じがするよね。


「六原さん」


 月島はベッドから六原の脇を通り過ぎ、カーテンを開けた。

 窓からの景色はベランダに続くガラス窓が鏡のように反射している為よく見えないが、周囲に建つアパートの光によって深い闇のように暗くはなく、ぼんやりと明るかった。

 月島は外の景色を伺った後、振り返る。

 少しだけ口元を緩めると語りかけた。


「今夜は月が綺麗みたいだ。良かったら六原さんも空を飛びに行かない?」


 突然の誘い。六原は特に疑問を思うことなく目を輝かせた。


「おお、マジか。行きますよ! けど、あれ? オレでもその箒に乗れるのかなぁ」


――なんつーか、オレは月島が使う魔法に対して才能とかがない。なんて事を言っていた筈だがね。


「もしかして、魔力に対して心配しているのかい。コレはそういったものはいらないよ。コツさえあれば誰にでも使える物だよ」

「じゃあ、喜んで乗りたいです」

「では、場所を移すとしようじゃないか」


 薄く微笑む月島は六原の横を通り過ぎると本棚から大学ノートのような一冊の本を取り出す。よく見れば黒い表紙は厚みを帯びており薄い辞典のようにも見える本を月島はゆっくりと開き、ページを捲り始めた。


「ここでは飛ぶのは少し狭いからね。ふさわしい場所に行く為に、転移魔法を使おう」

「月島ってたしか、杖壊されたよな。魔法使えるのか」

「……ふふ、あの杖の代わりとまでは行かないけれど、それができるのだよ」


 笑うと跪き、床に箒を置く。そして、月島は開いたページを床に貼り付けるように設置する。そして床に押し込むようにすると一度だけ開いたページから光りがこぼれる。


「すげぇな」


 瞬く間に本から幾つもの光りの線が伸びる。一瞬の内に以前一度だけ見たことのある魔法陣が完成する。それは裏庭から移動した際の魔法陣であった。


「世間では魔道書と言ったほうが早いかな。インスタント式の魔法陣の本だよ。まぁ、簡易な魔法は陣なしで使えるのだけど、今回の転移魔法のような難しい魔法を扱う場合はが杖に比べて面倒なのだけどね。さてと、靴も一緒に飛ばすとして……」


 月島の言葉に従い靴も転移させる為に魔法陣から一本だけ光る線が伸び、部屋から出て行く。


「さて」


転移する準備が終わったのか六原の前で跪いたまま月島は箒を魔法陣の上に置くと片手を差し伸べた。


「招待しようか、『魔女の踊り場』にね」


――好きだなぁ、魔女と言う言葉がねぇ。というより、自分の魔女と言う存在にノリノリじゃないですか。


 まぁ、そんな所は嫌いじゃないけどね。というのは思うだけでやめておこう。会話よりも先に今は早くこの箒に乗ってみたいのであった。だから、六原は月島の手を取った。


「なら、楽しませてくれよ。けど、大丈夫なのか騎士とかオレの呪いとかは」


「あそこはこの町から少し遠いから勇者はいない筈だよ。呪いはあの場所にもこの部屋と同じように結界があるからある程度の空間なら問題ないはずだよ」

「それなら安心したけど、いいのかこんな夜遅くに」

「なに、心配要らないよ。だって、魔女の夜はまだ長いのだから……では、行こうか」


 微笑みながら声をかける月島にかっこいいなと思ってしまう。


 魔法陣が光りを強める。目を瞑ってと言う月島の言葉に従い目を瞑った。


「さて、それじゃあ、さっそく空を飛んで見ましょうか」


 そして、六原と月島は『魔女の踊り場』に跳んだ。

 跳ぶ前、扉が無理矢理こじ開けられる音と、ワーさんの「主、こんな夜中にこんな変態男と一人歩きは……」という叫び声が聞こえた事は知らない振りをしておこうと六原は思った。






――ワーさんとは出会ってまだ一日しだけど、かなり信用されていないよなぁ。……本当の敵はワーかもしれない。


 と思っていると光が晴れる。同時に、部屋にいたときとは違う臭いと温度の低い空気が肌を覆う。


「さぁ、着いたよ」


 繋いだ手を離され、目を開けるとそこは広々とした草原であった。周りには暗闇の中僅かに吹く風に身をうごめかせる木々に覆われ、ぽっかりと開いたこの草原は広場のように思える。

 周りには街灯なんてものはもちろん存在しないがかといって目の前が真っ暗という訳ではない。街灯が無い為かまるで光を放つような月と星が六原たちを照らしていた。


 僅か数秒で六原と月島は全く違う場所に移動したのであった。


「魔法ってスゲェなぁ」

「このままだと足元が汚れてしまうよ」


 改めて魔法に対し感嘆の声を漏らす六原の隣に立つ月島は足元を見るように言う、足元には僅かな光りを放つ魔法陣が二人を囲む。

 その魔法陣のお陰で裸足の二人は足元を地面に触れることは無かった。 そして、二人の足先にはそれぞれの靴が置かれていた。


「本当に靴も転移させたのかぁ。すごいなぁ」


 お互いが靴を履くと魔法陣は傍にあった切り株を中心に消えうせ、代わりに足元にやわらかい地面の感触がした。どうやら切り株にあらかじめこちらに移動できるように魔法陣が描かれていたようだ。


 どうやら、魔法陣にもいろいろと法則があるみたいだと六原は考え、今度、転移魔法について後で詳しく聞いてみたいと思いながら六原は隣の月島が動き出したのを感じた。


「ようこそ」


 いつの間にか芝生のような短い草の上を月島は歩きながら、六原の前に立っていた。

 月明かりの光が彼女の背を照らし一層神秘的に見える。


「ここが、『魔女の踊り場』さ」


 箒を抱えつつ片手を広げて自慢げに言う彼女の表情に、嬉しそうだねぇ。と六原は思い。少し幻想的な雰囲気のするこの広場で早速、空を飛ぶ箒の使い方を学び始めることにした。

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