なぁ、オレを救ってくれよ
*鬼と祓い屋の物語 18*
*祓い屋・天野のおはなし*
畳が広がり、ふすまで囲まれた巨大な大広間のような部屋。薄暗い部屋の隅に背を向け、天野は巨大な和室のなかで乱れた呼吸を整える。
部屋には天野の姿しかなかった。不破と名乗る六原の知り合いの式神である忍者のような服装の少女『水月』とははぐれてしまい、仕方なく一人でカグラのもとに向かっていたのだ。
着ていた白装束は何故か今や薄汚れ、右腕はだらりと垂れ下がる。
薄暗い視界の中、天野は左手に握る日本刀の切っ先を正面に構え直すし、もう一度周囲の気配、鬼の存在を探る。
鬼特有の少し肌寒い感覚は、確かにこの部屋からは感じられない。なので、この部屋には鬼はいないということになるのだが、
「一体どういうことだよ」
天野一人しか見当たらない広い部屋の中声を漏らすと不意の床を蹴るような音が聞こえる。
素早く音に反応した天野は刀を真横に構え直すとほぼ同時、光に反射する扇状の軌跡が襲いかかり、天野は冷静に軌跡に両手の日本刀で防ぐ。
「ぐっ!」
右腕の痛みがひどくなり天野は思わず顔をしかめた。
聴き慣れた刃同士が擦れあう音と共に刃に掛かる力を押し返す。少し遠くの方で畳の上に何かが着地したようなトスンという音がした。
「お前は鬼か、それとも……」
先程から襲い来る何者かに天野は静かに問いかける。もう少しでカグラのもとにたどり着くことができると思ったのだが、この謎の見えない襲撃によっていつの間にか目的の場所から離れたこの大広間に押し込められていた。
無論、前のような速度の攻撃であれば天野は追い詰められることはなかったが、それとは比べ物にならない、天野の目では追えないほどの速度の攻撃が時折放たれ、結果として天野は右腕にひどい痛みを受け、さらに苦戦を強いられているのであった。
明らかに倒しに来るのではなく時間稼ぎのような動き、そして、鬼の気配は感じない。ということは、相手は鬼ではないのかという考えが天野の頭を巡り、では一体誰だと疑問を感じながら、続いて襲い来る斬撃を刀で弾き返す。
「分かっているのかよ。こうしている間にもカグラの身は危険に晒されているんだぞ!」
誰かもわからない者に対して、必死の呼びかけも何も返答はなく、思わず天野は唇を噛み締めた。
どうするべきかと天野は悩んでいると、不意に、この場に聞きなれない電子音が鳴り響く。
「やっと、時間ですかー」
タイマーのような音が部屋に響くと同時に少女の声が聞こえる。どこかで聞いたことのある声だと思った瞬間にまるで霧でも晴れるようにぼんやりと目の前の景色が一部歪み、ひとりの少女が現れる。
黒装束に身を包み、口元を赤いマフラーで覆っている少女の姿は確かに天野が知っている人物であった。
「水月!」
「はいはい、水月ちゃんですよ」
鬼の不意打ちではぐれた筈の少女『水月』が目の前に現れ、思わず天野は叫ぶと水月はまるでいたずらでもバレたかのようにてへと舌を出した。
「なんで、なんでだよ」
「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ」
先程まで仲間であったはず者に天野は問いたださないわけにはいられなかった。だが、水月は答えることなく、マイペースに右手忍者刀と左手の携帯電話のような者を懐に仕舞うと一枚の大柄のハンカチを取り出した。
「詳しいことはこの人に説明してもらいましょう」
一見、無地の白いハンカチ。しかし、水月が裏返し畳の上におくとハンカチの片面には円に囲まれた奇妙な図形が描かれていた。
「この人? 誰のことだ」
「それは会ってからのお楽しみってことでー」
言いながら水月は左手でハンカチを抑え、右手で装束の帯に隠していた木の欠片を取り出すと欠片をハンカチに描かれている図形の中央に叩きつけた。
「それでは紹介致しましょう」
水月の声とともに、奇妙な図形。魔法陣は杖のかけらに反応し輝き出す。
突如を目の前で起こる聞いたことも、見たこともない不思議な光景に驚きを隠せない天野が呆然と見ている中、魔法陣から巨大な卵が現れ、ぴしりと卵の殻にヒビが入る。
「はーい、今回の作戦の企画者、六原 恭介さんだよー」
まるで司会者のようなノリの声がする中、卵の殻が崩れ落ち、
「はい、どうもー。みんなのヒーロー、六原 恭介です」
天野と同じ白装束に身を包み込んだ少年。六原 恭介が場違いな明るい声とともに姿を現した。
*脇役・六原 恭介のおはなし*
――よっしゃ、何とか間に合ったか。
余裕を醸し出すようなセリフを言いながらも六原は無事に天野の前に現れることができたことに内心ホッとしていた。
本当であれば、適度なところで防衛戦をした後、こちらに現れるはずであった。しかし、予想外の鬼の強さに負傷したため、急きょ、チノワを潜り、元の場所に戻ったあとに急ぎ待機していた不破の武器たちの治療と針沼から買った回復魔法用のシップ(一枚五千円)を貼り、ある程度、傷が回復した後こうして現れることになったのだ。
とはいえ、完治はしておらず六原の右腕は未だ木の棒で作られた簡易なギブスに回復用のシップにくるまれている。
「どうだ。驚いたようだねぇ」
口元をあんぐりと開け、驚いている天野に六原は軽薄な声をかける。とすぐ隣に立つ水月が不満気な声を上げた。
「六原さんってば随分遅かったじゃないですか」
「すまないねぇ、面倒な役を押し付けて。怪我はなかったかな」
「それは、向こうもまだ本気じゃなかったみたいなのでなんとか無傷だったけど、いやーもう少しで本気を出すみたいでヒヤヒヤしていましたよ」
HAHAHAHAと水月と共に笑い合う。
その声は天野の怒声によりかき消された。
「オマエらぁああ!」
怒気の込められた大声に思わず、驚きビクリとビビる六原に向かって天野は叫ぶ。
「何故、何故! 鬼側についた!」
「え?」
「六原さん。天野さんには私からは何も言っていないから。たぶん、勘違いしているんだと思いますよ」
「嗚呼、そうだったか」
「何言ってんだ。答えろ!」
突如の仲間の裏切りに今にも斬りかかってきそうな天野を少し恐れつつ六原は返答する。
「えーとな。別にオレは鬼側についたわけじゃないぞ」
「なら、何で、俺たちの邪魔をする」
六原はカグラが囚われているであろう下を一瞥した後口を開いた。
「それは、彼女のためなんだよねぇ」
「彼女だと? どういうことだ」
たぶん天野は彼女のことを月島ではなく、カグラと勘違いしている。いや、させた六原はそこでようやく天野の右腕が力なく垂れ下がっていることに気がついた。
「その腕、どうした」
「いや、お前の方こそギブスなんてつけているじゃないか」
「まぁ。オレのことはいいんだよ」
油断して鬼にやられたなどというのは六原としてはカッコ悪いので言わずにいると隣の水月が不思議そうな声を出した。
「あれ、六原さんの命令じゃなかったの」
「どういうこと」
「いや、主からの命令で六原さんがどうやら右腕を一本折ったみたいだから、言い訳しないように天野さんも折っといてと……」
「あの野郎。余計なことを」
――あくまで対等に戦えってことかよ。
変な気遣いを起こし不破に感謝していいのか起こったほうがいいのか悩みながら六原は腰のウエストポーチを外す。
「天野」
「なんだよ」
「とりあえず、コレ使え」
言いながらウエストポーチを投げ、天野は受け取り、黙って中から残り二枚となった湿布を取り出した。
「お前は知らないかもしれないが回復促進の効果を持つシップだ。痛みぐらいは薄れるはずだよ」
「……一応、お礼は言っておく」
天野は素直に袖をまくると紫色に変色してきた傷口に湿布を全て貼り付ける。その姿に思わず六原は嘆息した。
――罠かも知れないってのは疑わないのかねぇ。大方、まだ味方かも知れないだろうが。と思っているのかな。そういうところが、コイツの良いところであり、悪いところだんだよなぁ。
だから、六原は最後に天野に確認する。
「なぁ、天野。ひとつだけ答えてくれないか」
「何だよ」
「お前はカグラちゃんの元に向かってどうする気だ」
「救うに決まっているだろう」
当たり前のように天野は答える。そして、大体天野が彼女を救うという考えを予想できていた六原はかわりに具体的な内容を言う。
「救う、か。それは牛頭たち、鬼の軍勢を倒してカグラちゃんを助けた後、ついでに何かしら理由をつけてお前たちの組織に匿うという意味でよかったかな」
「……」
天野は何も答えない。だが、そうなのだろうな。という確信は六原の中ではあった。
天野とカグラ。二人の情報をある程度知っており、色々な物語のような事件に巻き込まれているから予想できている。箱庭のような家に隔離され、異端とされる者。そして、外の世界を夢見てしまうカグラ。
それはまるっきり、天野の生い立ちと同じであり、だからこそ彼女に共感を覚え、救ってやりたいと思ったのだろう。
「おそらくカグラの力が鬼によって奪われたとか適当な理由と組織の圧力をけしかけ、カグラを屋敷から外に連れだろうって作戦なのかな」
「答えるのはひとつだけじゃなかったのかよ」
「嗚呼、そうだったね。じゃあ、別に答えなくていいよ。まだ、質問はするけどねぇ。むしろここからが重要だ」
「お前、いい加減に……」
しびれを切らしかける天野に気にせず六原は質問する。
「あ、天野君には、す、好きな人がいるのですか?」
なぜか周囲の空気が凍りついた気が六原にはした。となりで黙って聞いていた水月は「うわぁ」と嬉しそうな悲鳴を上げながらもなぜか少しだけ六原から離れる。
「何故、頬を赤らめるんだよ」
「そりゃあ、こんな話をするのは緊張するじゃないか!」
「そんなこと今は……」
「気になって仕方ないんだ。だから、答えてくれ」
詰め寄るように問いかける六原に戸惑いを隠せない天野。もはや先ほどまでの緊迫した空気はなくなっていた。
「えーと、はい、分かった。水月、分かっちゃいました」
「どうした、水月さん」
「六原さん。言い方もそうですが、少し今のセリフは誤解を生みやすいですのでもう少し考えて話したほうがいいですよ」
「今のセリフ? ……嗚呼そういうことか」
ようやく、自分の発言が一般的にあらぬ誤解を受けるものだと理解した六原は軽く否定した。
「んな趣味、オレにはないですよ。けど、質問には答えて欲しいのだけどねぇ」
それでも再度問う六原に根負けしたのか小さな溜息とともに天野は答える。
「……いないが」
「じゃあ、誰かと付き合う気はないのかい」
「まぁ、そうなるな」
「お前のことを好きな女性がいるのにか」
「な! そんな訳無いだろうが。俺みたいなやつを好きな女性はいないだろうが」
驚き、何を馬鹿なことをとでも言いたいように天野は六原の言葉を否定し、六原は天野に気づかれないように拳を握り締める。
――どうどう、落ち着けぇ。まだ、怒るわけにはいかない。
小さく深呼吸をし、気分を整える。これから言うセリフは感情に身を任せて言うにして、少々他人の人間関係に踏み込みすぎるために落ち着いていかなければならない。
握りしめた拳をゆっくりと解き、代わりにニヤリと笑みを浮かべると天野に語りかけた
「いやいや、何を言っているのかな。少なくとも今この辺にいる高峰 スミレ、結城 ラン、夜ヶ月 スイレンの三人。後言うなればお前の同居人やクラスメイト合わせて六人は君のことを好きだと思っているのだけどね」
「は、はぁ? んなわけ……ないだろう」
思い当たるフシがあったのか最後は力なく天野は否定する。
「ちなみにカグラが君に惚れかけていると言ったら信じるかな」
「ふざけんなよ。なんでも異性が俺に惚れるなんて馬鹿げたこと」
確かに日常的にはおかしなことなのだろう。話だけを聴くならば誰も信じられない。しかし、彼女らの天野に対する反応や態度は誰も目から見ても惚れているとしか思えないものであった。
「そうかい。そう思っているのか。まぁ、今日のところはそのぐらいにしておくか」
天野に彼女らが惚れているということを知らせるにはいい機会なのだが、天野の先程の反応を見るにこれ以上色々と暴露するのも気が引け、六原は大人しく引き下がる。
「いきなり踏み込んですまんな。では、質問を変えようか。もし、お前があの六人の内、誰か一人と付き合い、それ以外と縁を切れるのかな」
「それは……皆、大切な仲間だと思っているから無理だ」
――仲間か。そうだよな。何ともお前らしい優しい答えだよ。
こんな優しさが持っている奴だから、彼女を、武内カグラを鬼たちから救うことが出来るのだろう。
だが、行き過ぎた優しさは不誠実になる。
「好きと嫌い、愛しさと憎しみは表裏一体。いつどう転ぶかわからないものだからね」
独り言のようにポツリとつぶやく。
天野は分かっていないのだろう。今の天野の人間関係は長くは続かず、いつか誰かを選らばといけない。
そして、先ほどの会話で今のところ天野は自分の立場を理解もしておらず、理解する気もないということがよくわかった。
――嗚呼、やはり、月島の方がもっと上手く教えるはずだ。
おかげで気持ちの決心はできた。
快くお前を足止めすることができると思いながら緩めた拳を強く握り締めると一度六原は一度ニヤついた目を伏せ、真っ直ぐと天野を睨みつけた。
明らかな敵意を込めた視線に天野は素早く反応し、左手の刀を構え直す。
「いい反応だねぇ。けど、刃物はやめにしないか。こちとら丸腰だ」
先程まで装備していたナイフと拳銃は既に向こう側に置いてきていた。下手に物騒な装備をしてしまえば目の前の相手にあとに残るような大怪我をさせてしまう
「もっとも、お前をこれから足止めするわけだがね」
「そんな状態でか」
「嗚呼、そうだ。もしかしたら、倒しちゃうかもしれないけどね」
いつ通りの口調であるが目元は笑うことなく六原はゆっくりと移動しこの部屋唯一の出入り口の前に立つ。水月も作戦通り、自分の役割を果たすために姿を消し、この場から去る。
そして、もう一度六原は目をつぶり、見開くと天野は驚きの声を上げた。
「六原、お前……」
瞼から開かれたその二つの瞳は赤く爛々と輝いていたのだ。
「お前、何で鬼に……」
「この少年を助けたければ私を倒していくことだな」
「な!」
六原の口から紡がれたのは既に彼の声でない。低く年帯びた声は六原の声とはかけ離れていた。
「人の心に付け入りやがって」
「すべては主上のためだ」
「六原、目を覚ませ!」
内心六原は笑みを浮かべた。
――残念ながら目は覚めているんだよねぇ。
わざと鬼に取り込ませている六原の体は、少しだけ熱っぽく、しかし、何故か心地よい。
また、以前、魔法使いの集団と戦う際につかった首輪のように自己回復できるような機能はないがそれでも常人にはない怪力。場合によっては鬼独自の判断で動くことができるといった能力があった。
かといって、鬼に体を乗っ取られそうになれば水月がキチンと処理してくれるという打ち合わせになっている。
「どうする?目の前で鬼に取り込まれた知り合いを見捨てるなんてこと貴様にはできないのであろう」
しかし、黙っておいたほうが天野を足止めするには得であるので少し操られたようにしてみようと思い六原は自分にとり憑く鬼に語りかける。
――では、オレが鬼に操られている方向で頼んますよ。くれぐれも大怪我はさせない方向でお願いします。
(……約束は守ってくれるのだろう)
――もちろん。きちんと言っているから大丈夫だ。
約束は六原にとり憑いていた鬼の主上である牛頭を天野達払い師の手よりこの場を見逃すことである。
「しかし、払い師よ。これで対等であろう。貴様も本気を出していいのだぞ」」
相対する天野は悔しげに顔をしかめると刀を鞘にしまう。
「いいぜ、みせてやるよ」
目を閉じ、開いた天野の目は六原と同じように真紅に染まり上がっていた。
向こうもようやく本気になってみたようである。
とはいっても向こうは鬼に憑かれているわけではない。六原の知っている情報ではそれは鬼の血を取り込む実験を受けた天野にしか出せない力らしい。
「さっさとお前の目を覚まさせてやる」
「はははは、いいねぇ。救ってくれよ、ヒーロー君」
嫌味ったらしく笑みを浮かべ、飛びかかってくる天野に向かって六原の体は拳を構えた。
*鬼幹部・赤鬼のおはなし*
ソレは泥のようにぬめり、灰のように崩れやすく、墨のように黒かった。
間近でソレを感じている赤鬼は改めて酷いものだと思った。
鬼に魅せられ、取り憑かれる条件としてひとつだけ必要なものがある。
ソレは心の闇。要するに怒りや、憎しみが負の感情が必要であった。
なぜ必要なのかと問われても、赤鬼自身そういうものだと学んでいたので深く考えたことはなかった。知っているのは、心の負の感情が濃ければ濃いほど、つけいりやすく、力をつけやすいといったことである。
そして、目の前のソレは、六原にとり憑いた赤鬼は実に居心地がよく、力も伝わりやすかった。
ようするに彼の心は異常な程にひどくすさんでいたのだった。
作務衣服の人の子にこの少年、六原恭介と名乗る少年を紹介された時は、自分が右腕を折った相手なのにも関わらずヘラヘラと笑っていた事を赤鬼は思い出す。能天気で、何も考えていない、なんとも取り付きにくい奴だと思っていたが、とり憑き、彼の内面を、深く見れば見るほど彼の心はすさみ荒れ果てており、赤鬼を驚かせた。
少年の、六原 恭介の心は嫉妬で覆い尽くされていた。妬ましさが吹き荒れる心は天野の前に現れた際にひときわ強くなる。
一体何故、同族にそれほどまでに嫉妬を向けるか鬼は知るはずもない。彼が何度も失敗を繰り返し、その隣では成功している彼らをいつもそばで見ていたことなど……
赤鬼としても今目の前にいる鬼の天敵、天野を一発ぐらい殴りたいという気持ちは同じである。しかし、その理由は鬼の敵だからであり、人である六原が何故、仲間でありそこまで、人外の彼にはよく分からない。
――なぜそこまで、するのだろうか。
自ら赤鬼に「オレにとり憑け」と言い。その為に人の敵である主上を見逃すといった仲間達に対しての裏切り行為を働く。目的を聞いたがカグラという人間の女を救うという結果に変わりなくむしろ、主上を逃がすことによって自体を悪化させるかもしれない。
そして、本人曰くお前みたい人外には慣れていると、鬼に恐怖することもなく普通に接するのだ。
――このような人もいるのだな。
鬼はとり憑いた少年、六原 恭介に少しだけ、ほんの少しだけ興味が沸いた。僅かではあったが、それはこの赤鬼にとって初めて人間に興味が沸いた瞬間であった。




