第六話 シヨン復興
穂月視点です
なんか人と魔族が大勢こちらに駆け寄ってくる。
無意識に熾音を背で庇う。
「悪意は感じないけど……」
「あぁ」
独り言のつもりがギスターに答えられていた。
「魔王様と勇者様にございますかっ!?」
勢い込んで尋ねてきたのは、骨格のいいおじさん。
「そうだよっ!久しぶり、ヒークホップ隊長!」
レオが元気良く声をかける。
「おぉ!本当だったか。魔王様が素晴らしい指揮をしていたとこいつが言っていたもんでな。まさかとは思ったが……」
ヒークホップ隊長が緑の髪の少年のかたを叩く。
「えぇ、風が教えてくれたんですよ。魔王様たちの会話を」
えー、それ、盗聴し放題ってこと。すごいな。
勇者として多少勉強させられたけど、人間は魔族のことあまり知らないし、魔界に来てからはあんまり日が立ってないしで、知らないことはたくさんある。
シヨンでは人間と魔族が共存してるってことも知らなかったしな。
会話を聞いていた人々がザワザワと話している。
まぁ、今まで何もしないってか、きっと人を殺すイメージしかなかった魔王が助けてくれたら驚くよな。
「で、これからどうするおつもりで?」
ヒークホップ隊長が熾音に聞いた。
「穂月……」
見上げてくる熾音。
「あー。とりあえずここで復興の手伝いするかな?城に居ても本読んでるだけだったし」
「穂月、光魔術と闇魔術の中には創造魔法があって、家とか作れるの」
軽く言う熾音の言葉に驚く。
「見てて?」
そういうと熾音は目を閉じた。
ゆっくりと椅子が浮かび上がってくる。
周りの龍の粉が少し消えた気がした。
「すげーな」
熾音は嬉しそうに笑う。
「でも、マナが沢山必要だから。龍のマナを使ったの。」
つまり、無限ではない、と。
「えーっと、ヒークホップ隊長、家って何軒くらい必要ですか?ってかシヨンの建築……家の元の形全部知ってる人っています?」
なぜか敬語になって聞くと熾音が答えた。
「私、全部わかるの。だから穂月はサポートを。龍の粉を私のいれる感じ。」
なんか、さりげに難しそうな注文。
龍の粉を見る。
粉を宙に浮かべる。
熾音の上に降らせてみるとスーと音もなく熾音と一体化した。
町が現れ始める。
人は避難しているから、危険はない。
わずか10分で街が現れていた。
煉瓦造りの綺麗な街並み。
「ついで……」
そう言って、すぐ近くに小さめの城を建てた。
小さめといっても、おそらくシヨンの人全員入るサイズだ。
「別荘みたいなの。あと、この家はとても強く作ったから何かあった時の避難所に使ってください」
そう熾音がいうと人と魔族から歓声が上がった。
ご感想くれた方ありがとうございましたっ!
嬉しくて一日に二話かいてしまいました。
また、ご感想ください☆彡