1話/堕ちた悪魔
『愛って...なんなのだろう』
誰もが疑問に思う言葉。
それは悪魔だって疑問に思うことだろう。
実際、その疑問を持っている悪魔がいる。
ほら、見えるだろう。
あの、幼い心を持った薄汚れた悪魔が。
ユリア...彼はこのトレビアス教会で暮らしている少年だ。
今は朝の祈りを捧げている。
彼は清らかな心を持ったキリストに使える者だ。
「神様....今日も平和でありますように」
そう彼は祈りを捧げ、外へ出た。
空は眩しいくらい真っ青で、とても“平和”って感じの空だ。
「今日も....綺麗な空ですね」
彼はそう呟き、微笑んだ。
そして教会の近くの森を散歩することにした。
[チュンチュン、チュン]
森では小鳥達が鳴いて、小さな合唱をしているようだ。
「ふふっ....上手な歌唱です」
そう、返事もしない鳥に声をかける少年。
そして、彼は広場のようになっているところへ出た。もちろん森だ。
そこは彼しか知らない、秘密の場所なのだ。
[バサバサッ]
急に鳥たちが音を立てて羽ばたきだした。
少年は不思議に思い、そこへ近づいてみた。
すると、大きな片方しかない翼を持った少女が倒れていた。
「悪...魔....」
彼は一瞬戸惑ったが、その少女を軽く抱き上げた。
「大丈夫ですか?しかりしてください」
これが、悪魔の少女と天使のような少年の出会いだった。