魅惑の策略
「第一回、チキチキ転入生について考えよう!会議を開始します!!」
「イェーイ!!」
場所は雅と灰の共同部屋。主の一人である灰はほまれの部屋に避難中。なんでも、僕らの会話についていけないそうだ。失礼なやつだ。
そして、この会議の言い方が某テレビ番組のパクリじゃね?という問いは心の中に仕舞っといて。だって言ってみたかったんだもん!
「それで、王道君についてはどう?近くで見てもやっぱり王道?」
「ホントにこんなやついるんだー!?ってくらい王道。でも、正直今となってはあんまり関わり合いたくなかったな。疲れる…。」
確かに、見るからにゲッソリしてるし…ちょっと痩せた?そんなんじゃ総受失格だぞ!まぁ、僕の読みは当たってたみたい。王道は傍観に限る。…今更お互い手遅れだけど。
一個だけ訂正するなら、神楽君は確かに王道だけど惚れたのが会長ではなく啓斗なことかな。ちょっとだけ王道からそれてるよ。王道なのはオッケー。でも、僕が一番気にしてるのは…
「総受いけそう?」
「いけるでしょー!!バッチリ!」
ブイッとピースサインしてるけど、総受なのは啓斗だからね?肝心な本人の了承は取れたから、ガンガン僕の計画を進めさせてもらおう。ほまれと神楽君は良しとして、あとは生徒会をおとしてくれればバッチリ!そのときは、啓斗の大好きな声優さんのCD全部揃えてあげるよ!
「問題なのは王道君の制裁が始まったことだな。」
急に真面目な顔になったと思ったらそんなこと。王道だったら当たり前じゃん。何?最近一緒にいたから情が湧いちゃったの?自然なことかもしれないけど、腐男子としてはそこは乗り越えなくてはならない壁なのだよ!
「俺の親衛隊は動くことはないけど、生徒会…特に会長のとこが厄介だな。」
「それは同感。一番過激で統制とれてないし。」
まったく、でかい集まりなのに放置なんて。いろんなやつが反感持つわけだよ。
僕に被害はないだろうけど、神楽君の近くにいたら危ないかもなぁ。そのときは灰を身代わりにしよう。
「一番恐いのはほまれだけど…。最近機嫌悪すぎるんだけど!俺なんかした!?雅わかる?」
えぇ、わかりますとも。わかりすぎるくらいわかりますよ!要するにほまれが嫉妬してるんでしょ?啓斗のお鈍サン!ほまれには悪いけど啓斗にはチャラ男総受フラグがすでに立ってるから、僕はそれに逆らわず啓斗受けを極めるのであります!!
「きっと反抗期なんだよ!」
なんて口では適当なことを言ってみる。
「そっかぁ…。そうだよな!」
……。納得するあたり、単純というか素直というかアホというか。ほまれも大変だな。
「だから、今は王道クンに突っ走って、たまにほまれを構ってやればいいじゃん?」
「なるほどー。」
僕の趣味は譲れないけど、今のが最大級の譲歩。感謝してよねぇ、ほまれ。なーんてね。そう、僕って性格悪いの。自分でわかってるだけ良いと思うけど、直す気はさらさらない。そしたら楽しくないでしょ?
「そういえば、僕素晴らしい超レアな写真を入手したんだけどー…見たい?」
「見たい!!」
ふっふっふ、これは極秘ルートから手に入れた写真なのだよ。だから、タダで見せるわけにはいかないのだよ。
「ここで見せても面白くないから、図書館に隠してきた。」
「何やってんの!他の人が見つけたらどうするわけ!?」
まぁ、その時は学園中がパニックだな。だからそんな目で見るな。啓斗が一番に見つければいいだけでしょ?
「医療とかそっち系のところに隠したから。」
「もう隠した後!?」
「そう。だから、誰かがもう見つけちゃってるかも?」
「させるかぁっ!!」
そう叫ぶなり啓斗は部屋を出て行ってしまった。いやー計画通り。完全保存版のデータを入手出来るなら職員室隠し撮りくらい退学覚悟でやりますよ!まさか数学教師×体育教師なんて。職場でイチャついちゃばれるのも時間の問題だぞー。っていうか、本気で僕が大事な写真を図書館に隠したと思ってんのかな?思ってくれていいんだけど、実際はそんなことしないから。手元にちゃんとあるから。頃合い見計らって電話してあげよう。さっ、準備準備。
灰はしばらくほまれの部屋で待機だ!!
信じらんないっつーの!萌写真を公共の場に隠すなんて!…あ、本の題名聞いてくるの忘れた。
図書館の中に入ると放課後なこともあり、人がほとんどいない。たしか医療がどうとか言ってたよな?ということは一番奥だな。なんだ、一様雅も考えたんだな。一番奥となると更に人はいないからな。
……えぇー。なにこれ。本棚三つまるまる医療関係ってこの学校馬鹿じゃない?…全部調べるしかないか。端から順に調べていき二段目の途中までいったとき
「こんなとこで何をしてるのですか?」
「えっ?」
やばっ。副会長じゃん。それはこっちの台詞なんだけど。生徒会は?絢ちゃんは?え、ほったらかし?めーずらし。思わず素な声が出てしまったじゃん。
「なーに?俺が勉強しちゃダメなわけー?」
勉強なんかしてないけど、それしか言い訳思い付かなかったんだよ!
「…勉強ですか?医療の?」
「ちょっと読んでみようかなーとか思っただけだから!すぐ帰るしっ!」
心底意外そうな顔しなくたって。そんなに俺が勉強するのが意外か!これでもそこそこの成績キープしてるんだから、そこそこ勉強してるんだよ!
「最初はこれから読んだらいいですよ。説明がとても丁寧です。」
そう差し出されたのは予想通り医学の書。勉強すると言ってしまった手前受け取らないわけにはいかず、拳ひとつ分くらいある厚さの医学書を受けとった。その瞬間腕に感じた重力と同じだけの圧力が心臓にもかかった気がする。このままじゃ心労で死んじゃうから!
「あー…ありがとー!それじゃぁ、俺急ぐから!」
初めて図書館で本を借り、肩が外れそうになりながらも次の日から毎日それを持ち歩き読んでいる俺は、相当律義だと思う。感想求められたら困るしな。
…やばっ、医学に目覚めそうかも。
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遅くなりましたm(_ _)m
気付いたら小説家になろうも
スマホ対応になっていて
とても感謝しています!!
これからも更新頻度は亀より
遅いです(T_T)
それでも応援していただけるかたは
末永くよろしくお願いします♪