腐った繋がり
はぁあ〜い。あのあと部屋に戻ろうとしたら再び灰のブリザードが再来したため泣く泣く放課後まで耐えた雅ちゃんだよー。丸くてプヨプヨした有名某キャラクターではないよ!!大乱闘のあのゲームでは吹っ飛ばされやすいよね、……どうでもいいですか、そうですか。
それにしても、ハニーったら淋しがり屋のウ・サ・ギ・さ・ん☆なんだから!でも、そんなところも大好きよ〜!!
「愛してくれてありがと、ダーリン。ここで床と同化できたら部屋の中でずっと触れ合っていられるよ。」
「いゃん、ハニーったら押し倒したりして積極的!心の声を聞いてくれるとこなんか愛を感じちゃう!!だけどバックよりも正常位のほうか好、痛いっ!!本当痛いから!やめてー、頭グリグリ踏まないでぇ!!」
ちょっと無言で痛めつけるのはやめて!!そんなプレイお好みじゃなくてよっ!
いやっ、ほんとにめり込みそう。傷物になったらどうするの!?お婿にいけない!!
「ギブギブギブギブ!!もう無理、解放してー!早く昼休みの映像を編集したいのー!!」
その一言で頭の上に乗っていた足の温度がグンと下がった気がする。あー、地雷踏んだぁ……?
明日の晴れ空が見れるといいな。
一方そのころ。
「なんでお前らがここにいるんだ!?」
叫んだのは、もっさりヘアーの絢ちゃん。そしてここは俺の部屋。まぁ、正確に言うと俺らの部屋だけど。そんでもって目の前ではおいしすぎる展開!!絢ちゃんが会長に抱き着かれてて、それを副会長と一匹狼が睨んでて、双子会計がブーイングしてて、ワンコ書記と爽やか君が羨ましそうに眺めてる。
今まで文章でしか読んだことのなかったものが、リアルに見れるんだよ!?チャラ男バンザイ!!
……ハッ!!俺チャラ男だった。ここは乱入しなければ!
「俺の絢ちゃんにベタベタしちゃダメ〜!!」
ベリッと会長から絢ちゃんを引きはがすと、会長が俺を人を殺せそうな目で睨んでくる。これがいわゆるあれか?顔面凶器?え、違う?そうですか。絢ちゃんを見てみるとわずかに見える顔の部分が真っ赤に染まっている。あれ、今日そんなに暑いっけ?それともあれか、会長に抱き着かれて嬉しかったのに俺が無理矢理剥がしたから怒ってるのか?ごめんね、絢ちゃーん!もうしないから!!遠くで眺めて萌えを堪能するから!!
「いつまで絢に触ってるつもりですか?」
再びベリッと音を立てて俺と絢は剥がされ、そのまま絢は副会長の腕の中に。そして絢に後ろから抱き着いたまま、俺を睨みつける。
いいっ!!嫉妬丸出しの副会長!!これだけでご飯三杯いけます!!
「おい、そこの頭悪そうなやつ。」
「おい、そこの頭のネジも下半身も緩そうなやつ。」
……、それは俺のことか!?たしかに今はチャラ男設定だけど、本当はそうじゃないんだぞ!!頭だって普通に良いしー。TOP10から落ちたことないから!
緩そうってのは、そうなるように仕向けてたんだけど……ぶっちゃけ実際そんなに経験豊富ではない。と言うより全くもってない。
……そんな目で見るな!!しょうがないじゃないか!初等部からここにいるんだからそんな機会ないんだぞ!!それでもここに染まってないのは俺の腐男子としての執念だな。ここ、褒められるとこ。
「「無視すんな。」」
キレイにハモってらっしゃるのは双子会計。名前は矢勝空と海。ちなみに空が兄で、海が弟。見分け方は首に黒子があるのが海、ないのが空。絢はそれを知ってるのか知らないのか一度見ただけで二人を見分けられるようになったらしく、いたく気に入られている。素晴らしき王道。
「それって俺を呼んでた〜?ごめんねぇ、気づかなかった。」
クルリと二人の方を向くと、わかりやすく機嫌を損ねたみたいだ。黒子がない方、つまり空が口を開く。
「僕たちが声をかけてあげたっていうのに、何なのその態度!?」
黒子のある方、海も口を開く。
「全くだよ、下半身緩男のくせに!!」
「俺にはちゃんと岳知啓斗っていう名前があるの〜。そんな呼び方じゃ反応してあげないんだから。」え、喋り方がキモいって?ふっ、これもチャラ男への一歩なのだ。
双子は俺への興味が無くなったのか、副会長に捕われている絢に絡みに行っている。えー、ちょっと寂しい気もする。
でも、戯れてるところ萌え〜。
「啓斗様、顔が緩んでます。」
おっと、イケないイケない。あまりの素敵さについつい頬が緩んでしまった。ほまれがいてよかった。
「きゃぁぁぁああ!!!!、萌えすぎて鼻血出そう!!鼻強くてよかった!!」
大画面の前でつぶやいているのは、先程床と一体化させられそうになっていた雅。
さっきの場面を深く語ってハニーとの愛をわかってもらうのもいいんだけど、ちょっと刺激が強いし、なんて言うか……この世の文字じゃ表せないような効果音が必要だからここでは省略。
まったくもう、ハニーったら激しいんだからぁ。
「あれっ、もう帰っちゃうの!?」
画面には帰ってしまいそうな生徒会御一行。えー、もうちょっと見たかったんだけど…。しょうがない、生の声を聞くとするか。
生徒会が帰るとそのままほまれも帰り、啓斗と絢がそれぞれの部屋に戻ったのを確認してから携帯を取り出し電話をかける。『もしもし!?ナイスタイミング!!今凄かったー!鼻血出そうだった!!!』
コンマ一秒で電話に出た啓斗の声が電話越しなのに部屋中に響く。ナイスタイミングなのは実際に僕がタイミングを見計らっているのだから当たり前なのだが、そんなこと啓斗は知らない。知らなくていい。
「やっぱり彼は王道なの!?」
『さっすが雅!!わかってるね!!うふふな状況だよ!!!
それよりさぁ、いつになったら灰とくっつくの?俺ずっと楽しみにしてるんだけど。』
また、この話題か。啓斗と話すといっつもこれだ。王道を生で見た感想を聞きたかったんだけどー。今なら興奮して大丈夫かと思ったけど、僕らのことも忘れてなかったらしい。僕はハニーからの愛でお腹いっぱいだから、のーさんきゅーよ。それに、
「言ってるでしょ。僕も灰もノンケ。腐男子=ホモは必ずしも成り立つわけじゃない。むしろ成り立たないほうが多いってことは、よ〜くわかってるでしょ?」
僕はれっきとした腐男子だけど、ホモではない。バイでもない。普通に女の子が大好きだ。いや、大好きってほどでもないけど。女の子と萌えだったら迷わず萌えをとるよ!!はい、頭の中完全に腐っております軍曹!!
そのあとは少し情報交換をしてから電話を切った。確かに僕は隠しカメラとか付けまくって学校のことに詳しいけど、啓斗の空気で感じとってきた情報も新たな発見がある。新情報としては啓斗の親衛隊副隊長がある隊員に口説かれているらしい。萌えであります!!
神楽君だけでなくコチラもようチェックだな。
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灰クン怒らせたら恐いっぽいです…。
雅よく生きてこれたなぁ。