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感動のご対面



やっぱりね、そうだと思ったんだよ。こんなに予想通りに進むなんて神様を信じてやってもいいくらい。副会長に寮の管理人、寮長、担任、クラスの一匹狼に爽やか君。片っ端から落としていく神楽君は萌えな神なんじゃないだろうか。僕は君のことを名前で呼んだりしないから。だって、傍観してたいのにうっかり目立って腐男子受けにはなりたくないからね。そのポジションは啓斗のものだし。


「キモい独り言を言ってんじゃねーよ。」


「キモいなんてひどいなぁ。僕、こんなにかわいーじゃん。」


小首を傾げギャグのつもりで言ったんだけど、灰は顔を背けてしまった。なんだよ、失礼な奴だな。僕だって親衛隊できる並にかわいいっつーの。ただいま時間は昼休み。うまいこと啓斗が神楽君を食堂まで連れてきてくれたおかげで、『ドキッ、生徒会との接触』イベントが生で見れるかもしれないチャンスだ。神楽君は目を輝かせ、ケチャップたっぷりのオムライスを口いっぱいに頬張っている。チョイスまで王道とはさすがだ。その隣には啓斗が居座っていて、前には一匹狼こと陸内冬仕リクウチトウジと爽やか君こと田口太陽タグチタイヨウが神楽君を見ながら食事をしている。あれを見て食事が進むのが謎だが。

啓斗が口の端についたケチャップを指で拭い舐めとっている。それを見た神楽君は真っ赤な茹蛸状態。かつらで素顔が見えないのが残念だ。


そこでお待ちかねの悲鳴が食堂中に響き渡った。来ました生徒会!!先頭をきってやってきたのはもちろん副会長だ。持参してきたヘッドホンをつけ、『王道君と同じ気分を!』と思い頼んだオムライスが冷めるのも気にせずに、そこそこの距離で見える展開に目を懲らす。

神楽君の情報を渡す代わりに啓斗には盗聴器を付けてもらったので、会話はバッチリ聞こえる。


『絢、こんなところにいたんですか?教室に行ったらいないって言われたので迎えにきましたよ。』


どうやら、教室にこの御一行で行ったようだ。教室内はパニックだったに違いない。あー、見たかったなぁ。


『おい、コイツがお前の言ってたお気に入りのやつか?』


おそらくこれは会長の声だ。僕らが萌えないはずがないこの俺様っぷり。惚れ惚れするね。


『そんな言い方、いくら会長でも許しませんよ。』


穏和な副会長が珍しく感情をあらわにしている。それが面白かったのか、会長はさらに神楽君に突っ掛かる。


『凪に気に入られるなんて、お前何したんだ?』


『べつに。笑顔が気持ち悪いって言っただけ。』


そういえば一回『会長×副会長』の噂を流そうとしたことがあったなぁ。灰に止められてやめたけど。おしかったなぁ、やってみるべきだった。

神楽君の発言により、食堂中の空気が凍りつく。陸内君は会長を睨みつけてるし、田口君は状況についていけないみたいで生徒会を目を見開いて見ている。啓斗は言わずとも、萌え悶えているんだろう。顔がキモい。それを破ったのは会長の笑い声だった。周りは何が起こったのかわからずポカンとしている。


『お前面白いな。いいぜ、俺のセフレにしてやる。』


クツクツと笑いながらの上から発言!!僕の心はときめいています!惚れたりはしないけどねー。

その一言にキレた神楽君は会長をグーで殴り飛ばした。きゃぁぁあ!僕の心は神楽君でいっぱいです!!(腐的な意味で)あらゆるところから沸き上がる悲鳴もいいアクセントになっております!!


『ふざけんなっ!!誰がお前なんかのセフレになるか!!』


『そーだよ、会長。絢ちゃんは俺のお気に入りなんだからぁ。副会長も取っちゃだめ〜。』


今まで黙ってこの状況に萌えていた啓斗だが、さすがに存在を忘れられては困るので口を挟んでみる。すると会長は今気付いたように、啓斗を睨む。


『お前誰だ?俺はコイツが気に入った。邪魔すんじゃねぇ。』


『いやん、会長俺のこと知らないの〜?絢ちゃんと同室者でクラスメートで心が通じ合った仲なの!!』


語尾にハートマークが付きそうな勢いで言う啓斗に、若干やり過ぎのようにも感じるが、テンションが上がるのはよくわかるよー!!ってか、上がらなかったら腐男子の名が廃る!!


『……それ、どういう意味ですか?』


『さぁ?ごそーぞーにお任せしまっす。』


『ちょっ、啓斗!!凪、勘違いするなよっ!何にもないから!!』


真っ赤になって否定する神楽君の姿は小動物を思い出させる。

その反応は受け取り手にとってはどうにでも解釈できるな。副会長たちがそれぞれどのように判断したのかは知らないが、どうやら違う方向に解釈したらしい。


『…僕の絢になんてことを。』


『ふん、まぁそんなの関係ないが。』


そう言って神楽君にキスする会長。食堂内が修羅場と化しました。

ほんっとに楽しいな、やっぱ生だな!ミラクルワンダーでステキよー!!


「雅、声がうるさい。それにさっさと食え。」


「ごめんね、ハニー。これは浮気じゃないんだよ?ただ、自分の欲求を満たしたいだけなんだ。」


「ごめんね、ダーリン。勘違いして。でも、もうちょっと控えて欲しいと思うんだけど。」


「それは言わない約束だろっ!ハニーと同じくらいこれも大事なんだ!!」


「ダーリンの浮気者!!妄想でも三途の川でも流されてしまえ!!」


テーブルにめり込むほど強く頭を叩きつけられ、意識が朦朧としているところにかろうじて『先に戻る。』という声が聞こえてきた。

看病してくれないのかよ、ハニー……。言葉に出すと本気で三途の川に流されそうなので黙っておく。

今日は灰の機嫌をとらなきゃいけないかなぁ…。高くつくから嫌なんだけど、今のところBLトークは灰にしかできないしぃ。啓斗のところにこっそり行ってもいいけど、それが周りにバレたら王道君を傍観するどころか巻き込まれそうだし。腐男子総受なんて笑えなーい。チャラ男は別だけど。


「あっ!!」


そこで今までの状況を思い出し、周りを見回すと生徒会御一行と王道君達が見当たらない。最悪だー!!灰の機嫌は悪くなるし、王道展開を見逃すし。マジ泣きたい。


教室に戻るとやっぱり啓斗も神楽君も帰ってきていた。だが、ここで関わりをもってはいけないので、さも気にしてません風を装って自分の席につく。隣には温暖化真っ青なくらいの冷気をまとってらっしゃる灰さんが。放置するとこうなっちゃうんだよね。もぅ、この淋しがり屋さんめっ☆……自分で言っててキモイなこれは、さすがに。


「灰さーん。機嫌直して。じゃないと僕泣いちゃう。」







はい、完璧なるシカト。『……。』すらありゃしない。腕にギュッと抱き着いても無反応。……しょうがない。


「今日から3日間BL本とおさらばします。」


そこで灰はようやくこっちを見てくれた。実際これはかなり痛いけどしょうがない。もう一回言うけどしょうがない。僕、こんな空気醸し出してる人と同じ部屋で生活できない。

なんとか灰の機嫌をとれたようだし、午後の授業はサボって食堂の出来事を編集して保存しようかな。




.

キャラが定まっていないー

ブレないように気をつけます!

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