書く前からの悪戦苦闘
エッセイ第三弾
異世界恋愛の着ぐるみを被った推理もの。
あるいは。
推理ジャンルのコスプレをした異世界恋愛もの。
つまりは、春の異世恋推理'26(個人企画、主催:琥珀様)に合わせての新作。
自作の推理において、すでに書きあがって完結している四作があり、そこに登場する定番のキャラがいるけれども。
何が問題かというと、また、この四人組を探偵役として事件を書くのか、という。というのも、この四人組にも人生があるし、時間も流れています。
否定するわけではありませんが。
どこぞの孫のいる学校や、頭脳は大人な子供がすくすくと育っていってる時空空間は、殺人事件が日常風景と化していませんか。
ひるがえって作者自身。
そういう事件に遭遇したことは、一度足りともない……幸運なことに。あるいは、当然なことに。
さて。
繰り返すしますがあの四人組、時間も流れて、それなりに身分も立場もあるようになって。
それで、また、この四人組で書こうとしたら。
身分も立場もあって、そうそうに会うこともなくなった「仲良し四人組」がそろった時に、運よくたまたま丁度よく、殺人事件……。
はっきり言おう。
そろった時には必ず殺人事件が起きる四人組――君ら、もう二度と会おうとするな、むしろ、会うな。
もう、そうとしか言いようがなくて。
いや、わかってはいます。そういうご都合主義だって必要だってことは。
でも、二度三度、四度、「まあ、なんてことでしょう☆」と、それなりに理由付けて誤魔化しつつ殺人事件シリーズを書いて。
五度目……?
自分の常識が、NO! を叫びました。
はい、復唱! 自分はそういう事件に遭遇したことなんて一度足りともありません!
となると必然的に、次の殺人事件は別のキャラで、と。
でもですね。
急に、推理するような探偵キャラを一から創造するだなんて、あまりにも大変すぎる。ヘタすると、世界も一から考えないといけない、となると、さらに倍率ドン! と大変がすぎる。
キャラを使い回そう――そう考えるのは自然のことでした。
過去作を眺めて、事件に遭遇しそうなキャラクターに「君にきめた☆」と照準を合わせ。
さて、どんな事件にしようか、とつらつらと考えることしばし。
それなりに古い世界観での殺人事件。
高い塔から真っ逆さまの転落事故――うむ、映える。
そういえば、「バルコニーの手すりが壊れて」の事故を装った殺人事件なんか、古典も古典だな。使い回されすぎて、バルコニーから落ちて~、となった瞬間、あ、殺されたんですね、と察するまである。
…………うん、転落事故、良いんじゃない? 転落ワードが出た瞬間、読者からしたら「あっ、察し」ってなるよね。
よし、今回の殺人事件は、転落死にしよう。
はい、こうやって、安易になんとなく「状況」が決まりました。
で、キャラクター。
事件に遭遇するそれっぽい過去作キャラを選別しましたが。
舞台となる国、登場する新たなキャラクター。さらに言うと、過去作ではそのキャラの属する国名……出してなかったよね、っていう。
ふっ。
兄弟とか王子とか「この国」とか、身分と関係性だけでキャラと立ち位置を語り、あえて名前を省いて書いていた弊害がここに!
まあね、ざっくりぽややんと、アルナシィオン国は英語っぽい名前。ロワゾブルゥ国は物語由来とフランス語っぽいの、キグナスバーネはラテン語もじり、ベニスィーはベニスの商人関連から、とか。
ざっくりと、なんとなーくの語呂合わせ、語感で名前を付けてて……。
今度は、なに由来にして名付けをすれば???
新作書こうと思ったら、名前を付けると言う一大作業が発生するという。しかも、ざっくりぼんやり考えたストーリーにおいて、なんとなんと、王子が二人も!
困った、呼称が王子だけだと区別つかねぇ……王子☆王子、二人はかわいいキュアじゃないんだよ、ややこしいんだよ。
呼び方に差別化を……よし、一人は名前に加えて第一王子呼びにしよう、そうしよう。で、もう一人は名前にすれば、わかりやすい……はず。
でもって、できるだけ文体は軽く。人為事故、悪意あっての事件を扱うから、どうしてもシリアス展開になってしまう。
だからこそ!
ミステリにこそ笑いを!
文学作品じゃないんだよ、そんなクソおっもい人生の真理とか、人生観さえも変えてしまうような感動物語、そんなのを読みたいわけでも、書きたいわけじゃないんだ。読後に胸糞悪さだけが残る話なんかいらねえんだよ!
ただ、おもしろかったー、で終わる話が良いんだ。
ライトで良いんだよ、ライトで。
いや、知ってる。
最初っから悲惨な人間関係の泥沼からの鬱結末、絶望を越えての悪意の坩堝による自己崩壊、最後の希望と見せかけたどん底のバッドエンド――心に残る名作の数々、あるある。
それを好む一定層、当然いる、わかる。
でも。
自分にとって、名探偵はヒーローなんですよ。犯罪を暴き、罪を照らし、罪を犯した悪人には罰を。安全で明るい未来のための推理であり解決なんです。
名探偵がせっかく解決したのに――救いのないバッドエンド。
いやむしろ、名探偵が真相を暴いてしまったが故の、すべてのどうしようもない事情が日の下に晒されての悲惨な結末。
自分でない方が執筆されることに関しては、何も言いません。たとえバッドエンド推理ものでも、前述した通り、それはもう心に残る名作だってあります。
ページをめくる手が止まらず、次へ、次へと読み進み、最後に心を抉って終わったくせに、面白かった、と余韻に浸る作品があるのは否定しません。
しかしながら。
し・か・し・な・が・ら!
はい、ここの逆説の接続詞は声を大きくして読んでください。
自分で書く推理もので、笑いがないのはいやだ! 名探偵の勝利=ハッピーエンドでないと、いやだい、いやだいっ。
自分の心に住む幼児が泣いて暴れます。
というわけで。
文体は軽く重くならない一人称で。
心にいつもコメディを! を標語に。
スローガンは明るいライトミステリ、で。
困った時は古典とか七五調とかを引っ張ってきたら何とかなる。
そう、七五調とか~~調って便利なんです。
今エッセイも、最初は「書く前から試行錯誤」って思ったのですが。
六・六、です。なんかリズム悪い。有名な、命短し恋せよ~、は、七・七の新体詩。なので、六・六・をなんとか七・七にしてリズム良く、と変えてみました。
重くなりそうな時は、七五調とかそんな感じで流して誤魔化します。
ただ古典周りはちょっと注意。古すぎる言葉はメジャーではなかったりする>< ええ……鏡花水月ってマイナーだったの……?
というわけで、はい、復唱しましょう。
ミステリこそ笑いを!
楽しく笑って読めるコメディチックミステリを!
……あ、異世界恋愛ミステリだから、恋愛も忘れずに(小さい声)。
本当に、恋愛のハードルが高い(遠い目)。
そして、なんでか気づいたら、妙にシリアスチックになってる不思議。本人は、コメディを目指しているのに……。
いや、わかってる。今回、笑いが少ない理由、分かっているんだよ。
ずばり、道化がいない。
今までのミステリシリーズ、一人だけ転生者の知識持ち(転生者だとは言ってない)だったから、わざとネトスラ言わせたり、メタいこと言わせたり、乙女ゲーネタ言わせたりして、笑いを取りにいってたのに。
今回、主役格グループのキャラを一新しました。そして、全員が真面目くんになってしまいました。
道化がいない!!!
笑いが……笑いが……なんか異様にシリアスな話になってしまって……なんでぇ???
失礼、「書く前から」のエッセイでした。
軌道修正。
こうやってキャラと事件(転落死)が決定すれば、次に悩ましいのが……死体役。そう言えば、主催の琥珀様のエッセイに死体役表があったな、それ見て考えようか、と読み返し。
・クソ妹が死体で発見
・ドアマット姉が死体で発見
・姉の元婚約者が死体で発見
・クソ父が死体で発見 ←←←←←これだ!!!
・クソ義母が死体で発見
・ドアマット姉の唯一の味方の侍女とか執事が死体で発見
とまあ、こんな感じで決めて書き上げました。
「花盗人の落花 ~必殺! あんたこの転落をどう思う?~」
ジャンル:推理、全十六話。
個人企画「春の異世恋推理'26」参加作品。
推理ジャンル、まぁまぁ過疎ってますが。総合ランキングとはまた違った趣の作品が多いので、掘り出し物探しに良いジャンルだと思います。
総合ランキングに飽きたな~、って方!
推理ジャンル、おすすめしますよ!!!
さて。せっかくエッセイに触れたので。
毎度のことですが、ミステリ書く時に自分が参考にしているなろうのエッセイが、これです。
作者:琥珀様
「誰にでも書ける殺人。あるいは異世界恋愛とミステリって案外相性よいのでは?」
「ChatGPT先生と一緒に書こう、異世界恋愛ミステリ!」
作者:アヒル探偵様
「ミステリテンプレ・あるあるをツッコむだけのエッセイ」
上記三点、いつも参考にさせてもらってます。
せっかくなので、なろうのマイおすすめミステリ(簡易版)を上げさせていただきます。
作者:琥珀様「侯爵令嬢カタリナの婚活」
描写が華麗で素敵です。雰囲気がものすごく良い。しかも心理描写が丁寧。
作者:アヒル探偵様「欲しがり義妹毒殺事件」
開幕三行、五行で義妹死亡、早いw コミカル!
異世界恋愛との親和性からのオススメ。
イチオシは別作だけど、入りやすさはダントツでこれ。
作者:菱川あいず様「殺意のRPG」
ドット次代のゲーム風世界観でのミステリ、すごい。お気に入りは「死の呪文」。
作者:Yomi様「悪役令嬢と少年探偵」
処刑台からのホットスタートが素晴らしい! 描写からヒントアイテムとかさりげなく散りばめられていて、すごい!
作者:陸 空海様「悪役令嬢殺人事件(似非みすてり)」
異世界恋愛ミステリのど真ん中、って思いました。アリバイ、証言を組み立て、偽証を理由込みで暴いて、かっこいい。
これぐらいで。上げていくとキリがないので、ええ。
それでは、とりとめのないぐだぐだエッセイにお付き合いいただき、ありがとうございました。
そして書く前からじたばたする書き手の方、おられましたら、はい握手!(がっちり!)
最後に。おすすめ、ものすごくおすすめ! 総合ランキングじゃなくて、推理ジャンルに絞ってのランキングで、絶賛連載中!
作者:アヒル探偵様 「ズルいズルい!」義妹の嫉妬が的確過ぎてものすごく便利でした」
端的に楽しくて笑えておもしろいので、おすすめ!!!
広がれ、読む人の、輪ーーー!




