1話┊︎不思議な夢
「うぅ…」
目覚めた時、私は自分の部屋にいた。
あれは夢だったの…?夢にしては鮮明に覚えている。
あの人たちは誰だったの?怖い……
胸がどうしようもなくざわつく。
ただの夢のはずだ。ただの夢のはずなのにな
ーーどうしてだろう
あれをただの夢で終わらせてはいけない気がする。
そんなことを考えていたらいきなり扉が開く音がした。驚いて扉の方へ振り返るとライラが立っていた。
「あら、おはようございますお嬢様。」
「あ…おはようライラ。今日も元気だね。」
ライラは私の専属メイドだ。私が幼い時から仕えてくれていて歳が近いこともあって仲良くなった。
ライラはいつも元気で優しくて大好きだ。
「お嬢様、今日はのんびりしていられませんよ。」
「え?今日何か予定あった?」
「今日は王太子殿下とのお茶会ですよ。しかも今日はいつもより時間がないんです。」
「あぁ、そうだったね。」
そういえば今日はお茶会の日か。前に会ったのもお茶会だったからレオリック様に会うのは久しぶりだな。
「よし、準備しようか。」
ーーパンッ
ライラが手を鳴らした瞬間メイド達が5、6人数え切れないほどのドレスとアクセサリーを持って部屋に入ってきた。
「さぁ、みんな、今日もお嬢様を大陸一美しい方にするわよ。」
「ねぇライラ、今日はなんだかいつも以上に気合いが入ってない?」
「当たり前です。今日はお嬢様が誕生日を迎えられて初めて王太子殿下に会うお茶会ですよ。」
「……そうね」
憂鬱だなぁ…夢のことで頭がいっぱいでお茶会のことすっかり忘れてた。でもお茶会よりもあの夢が気になって仕方ない。それでもあの夢のことはどれだけ考えても一人で答えは出せないなと思った。
ーー結局あの夢はただの夢だったのか
ーーただの夢で済ませていいのか
何も分からない。私に出来ることは何も無いな。
考えても分からないならしょうがない。諦めも大切よね。切り替えなきゃ。
それにしても今日はライラたち本当に気合入ってるな。綺麗にしようとしてくれるのは嬉しいけどレオリック様とは毎月会ってるし毎回豪華なドレスを着る必要はないと思うな。でもレオリック様が王族だからやっぱそうはいかないよね。
「お嬢様、こちらの緑のドレスと深い青のドレスどっちがよろしいですか?」
「えぇ、そうねじゃあ…こっちの青のドレスにする。」
「はい。では次は髪を整えましょう。」
「そうね。」
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「出来ましたよ。是非鏡で全身を見てみてください。」
「わぁ…」
鏡に映る私に思わず自分で見とれてしまうほどに綺麗だった。人ってメイクの仕方だけでここまで変わるのね。
「ありがとう。」
そう言うとライラは嬉しそうにくしゃりと笑った。
ライラの笑顔を見るとつられて私まで笑顔になれる。
「もう時間なので行きましょう。」
「うん。行こう。」




