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突然

突然


それは突然やってきた。


「パス! こっち!」


「あがれー!」


「今日もすごかったな! さすが隼人、次期エース!」


俺は昔から、サッカーが大好きだった。

ただ走って、ボールを蹴って、チームと一緒に点を取る。それがたまらなく楽しかった。


「次期エース」と呼ばれるのも嬉しかったし、俺もチームのためにできることを精一杯やってきた。


でも――ある日。


「隼人いけー!」


試合中、連携がばっちり決まりボールをゴールへ蹴り込もうとしたその瞬間。


嫌な音がして、激しい痛みが体を貫いた。

気づけば俺は地面に倒れていた。


「痛い」

その言葉以外、何も考えられなかった。

チームメイトが駆け寄ってくるのが見えたのを最後に、意識が遠のいた。


目を覚ますと、そこは病院のベッドだった。

足には包帯が巻かれていた。痛みはだいぶ引いていて、「少し休めばまたサッカーができる」と本気で思っていた。

 

「……え? 今、なんて?」


「非常に残念ですが、もう二度とサッカーはできないでしょう」


できない? ……何を?

意味が分からなかった。


医者の言葉を理解するのに、かなり時間がかかった。

それは深刻な怪我で、手術をしても軽く走るのがやっとだという。


――何がいけなかったんだろう。


俺は何か間違ってたのか?


手術前、チームメイトや顧問の先生が見舞いに来てくれた。

みんな、俺がもう走れないことを知っていたからか、「またサッカーやろう」なんて誰も言わなかった。


サッカーができない人生なんて、意味がない。

いっそのこと

─────歩けなくなってしまえばいいのに。


それでもリハビリを終えて、なんとか「普通に歩ける」くらいには回復した。

久しぶりに登校した学校は、以前と変わらず賑やかで……まるで、何もなかったかのように思えた。


でも、ホームルームが終わると、同じ部活の仲間がユニフォームを手に教室を出ていく。

その背中を見ると、胸の奥がぐっと締めつけられた。


窓の外に見えるグラウンド。

ほんの少し前まで、俺はあの場所にいたはずなのに

今ではまるで、別の世界みたいだった。


「……帰るか」


気が抜けたように教室を出て、下駄箱へ向かっていると、ふと耳に音が届いた。


ギター、ピアノ、そして――ドラム?

最初はバラバラだった音が、次第にひとつの音楽になっていく。


……と思ったら、急にドラムが変な音を出しはじめた。


素人の俺にもわかる。これは――下手くそだ。


「どこからだろ」


なぜだか気になって、音のする方へと歩き出す。

 

辿り着いたのは、学校の端にある第2音楽室だった。ほとんど使われていない場所で、幽霊話まであるような部屋だ。


「まさか幽霊……なわけないよな」


そう思いながらドアに手をかけた、まさにその瞬間。


「わっ!」


突然ドアが開き、中から同い年くらいの女の子が飛び出してきた。


ーーこれが俺の人生を変える大きな出会いだった。

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