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エピローグ 和泉とレイの会話
和泉は、災害備蓄庫で立っている一人の兵士を確認する。赤茶色の髪、旅団の制服、部隊証は04小隊のそれ。
「ここには何もない」
と、宣言する彼女。
「ないってことは“あった”のか?」
何もないと言う事実に一瞬途切れた意識を繋ぎ合わせ、この後に及んで軽口を叩く和泉。ここが死場所とは思えなくなってしまった。
相手はまだ黙ったままだ。
「確か、レイと言ったな、なぜここに?」
自然体で立ったままのレイは、呟くように言う。
「命令だから」
まぁそうだよな、そう返す和泉。
「あいにくここで死ぬことは出来なさそうだ」
右手をあげ、団員に射撃準備をさせる。
「一つ聞いて良いか?」
構わない、とレイが答える。
「この状況はずいぶん絶望的だが、なぜ君はそんなに余裕なんだ?」
レイは軽く微笑んだ。
「それはそっちじゃ無いか。」
和泉は突如生暖かい液体を浴びる、それが血であることを理解するのにそんなに時間はかからなかった、自分の痛覚は何も訴えていない、五感は正常、つまりこれは団員の血。
気配でわかる、全滅だ。明らかに生の気配がない。血が目にかかり、瞬きをした刹那の後、青白く光るブレードの刃先が目の前にあった。
「とんでもないな」
それが最後の言葉だった。
明日、終章を投稿して完結となります。




