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【プロットタイプ】せっかち

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。

これは読者様の問題ではなく、私の問題。


詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。


注意事項2

早口な人って、会話が時間制限のあるターン性だと思ってるんです。

栞の収集が一段落し、最後の見納めとして、瑠衣と共に文具屋『山猫堂』を訪れた。苺と入れ替わりになる様に、檸檬の栞が無くなったのを、何処か寂しげに見詰めた後、店を後にした。

これで全てが終わった。長い長い追い続ける旅が終わった。焦がれる旅は辛かったけれど、終わるとやはり何処か悲しい。

店を出て時間を見ると、午前十一時五十分だった。何をするにも微妙な時間だった。

まず、ブランは開店してない。三週間ぶりに飲みたいと思っていたが、今の私に十分は長過ぎる。あと珈琲だけでは、どうしても割高になるので、出来ればケーキのセットで食べたい。そうすると少し高く付く。そして何より、筆を持つと居心地の良さも相まって、何時間でも居座ってしまう。

そこまで徹底的に自分の心をブランから引き離した後、私は薄ぼんやりと同行者に声を掛けた。

「ドグラ・マグラ、行こう」

同行者はただ黙って視線で同意した。


こうして二人、小さな正方形の部屋の中で、珈琲を嗜むことになった訳だが、前に座る鏡花は何処かこころ此処にあらずと言った雰囲気で、目の前の光景を眺めていた。

水滴の着いたグラス。底なしの黒さを誇る珈琲。銀製の小さな水差しに入れられたミルクだけが異彩を放っていた。

普段せかせかと何かを求め、計算機の様に演算し、次々と演技を変更していく、最適解を導き出す此奴にとって、此処こそが唯一安らげる場所なのかも知れない。

「早口な子って……あぁ……私もそうなんだけど、せっかちってだけじゃないんだよね。そりゃ勿論、せっかちなのもそうなんだけど、次へ次へと欲望を展開させてる訳だけど……」

「思考の展開速度が人より早いから、それを言葉にする為に早口になるとは聞いたことがある」

「あぁ……そうなんだ……ふぅん……」

全く持って興味のなさそうな返事だった。求めていた回答はそれではないと、顔に薄らと書いてある。其れから一口だけ珈琲に口を付けると、ただぽつりと呟いた。

「焦っちゃうん、だよね。なんか……皆……話を聞くよりも、話をする方が好きな人が多いからさ。聞いてくれる人が居るとどれだけ口下手な人でも話す側に回る」

やや早口だった。何時もよりも数テンポ早く、言葉を羅列していく。

其れはそうだろう。人間の性格、感情を全て理解している訳では無いが、自分を許してくれる相手には、それなりに甘るのが人間だ。其れが行動であれ、言葉であれ、大した違いはない。

「だから、私の言いたいことを簡潔に、手早く、って思ってると、必然的に早口になるの。相手が被さる前に、言い切る為に言葉が加速していくの」

友人間とのつるみに俺が同行するような野暮な真似はしない。けれどもきっと、今よりも速いテンポで話を展開しているのだろう。そう考えると、きっと今以上に思考を回しているのだろう。

話のネタから、取捨選択、相槌に至るまで全て。其れにきっと息苦しさを感じている。

「其れと似たような事が、今心に起きてるの。

栞を買うことが無くなって、追い続ける事が無くなって、空っぽな心を埋めたくなって、本当は……ブランに行きたかったんだ。

でも、やってなかったから。あと十分が待てなかったから。言い訳重ねて此処に来ちゃった。……早口なのは“せっかち”のせいじゃないって言ったけど、やっぱりせっかちが理由かも」

そういう鏡花の言葉は、もったりとしていて、決して早口ではなかった。

鏡花って、何かで頭をいっぱいにしてないと、駄目な人間。だから何時も何かを追い掛けてる。

考える事、追い求める事こそ、目的なんです。

完全に、手段が目的になってます。

目的は本当はどうでも良いのかも知れない。


だから欲望の展開速度、自分が何をしたいか、するかの行動が物凄く早い、つまり“気まぐれ”な訳なんですが、それが分かるのは行動だけじゃない。

という話。


早口な人ってね、そもそも会話が不得意な事が多い。

自分が伝えたい事を言い終わる前に、相手から話を被せられて、話しが打ち切りになるかも。

という脅迫概念があるから。


だから出来る限り、短い時間で言葉を伝えようと、早口になる。言葉を加速させていく。

相手が口を開く前に、全て言い切る為に早口なんです。


はい。では、鏡花の行動に目を向けましょう。

瑠衣の言葉に物凄く興味無さそうに返答しました。

『あぁ……そうなんだ……ふぅん……』って。

これね、別に『アンタの話、興味無いから』って訳じゃないんですよ。

『その話題に持ってくの?』という気持ちも八割あってるけど、ドンピシャじゃない。

正解は『私の話、まだ終わってないよ。何時もみたいに最後まで黙って聞いてよ』

という心情だから、少しムッとしてる。


だから瑠衣が返答した後に、『焦っちゃう』って言ってるんです。

遠回しな『急かさないでよ』です。

だからこの会話、意味がある様でない。最後に言葉を撤回したのがその理由。手段が目的となった会話。


瑠衣って基本的に無口だから、話すペースは比較的ゆっくりです。

後振り返れば分かる通り、滅茶苦茶話す。延々と鏡花のターン。

其れは相手が『話を聞いてくれる』って思ってるから。

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