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パーフェクト・デイ  作者: ミソラ


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 周囲の人たちは新しい未来に向けた明るい表情を、近づくきらきらと輝く聖女の白い馬車に向けた。

 艶やかな白い馬車は金の装飾で飾られた白馬にひかれ、花やリボン、クリスタルで飾られている。窓の向こうにはベールを被った聖女の横顔が見える。まっすぐに顔を上げ、狂気じみた大歓声の中をゆっくりと神殿に向かって進んで行った。


 私の足はその場に縫い止められたように動かなかったが、去っていく白い馬車から無理矢理目を離し、再び人の流れが起きたところでエリクから教えられた場所へと向かった。


 *

 

「あ、見えた!」


 エリクは言っていた通りの場所に立っていた。いつもとは違う近衛の白い制服で身を包み、両手を後ろに組んで立っている。

 近衛は見目のいい貴族ばかりだと聞くけれど、エリクだって負けていない。……でも大多数の貴族(ほんもの)の近衛は神殿内の警備をしているらしい。


 ゆっくり進んでいた聖女の馬車が神殿の門をくぐり見えなくなった。


 街の方ではあちこちに露店が出て美味しそうな匂いを漂わせ、陽気な音楽に乗せて輪になって踊り出す人も出てきた。

 生まれて初めて体験する大きな祭りだけれど、ばらけてきた人々の間を進んで神殿の柵に近づいた。

 エリクと目が合ったような気がする。

 

 素敵だなあ。


 知ってる? 私、ずっとエリクのことが好きだったんだよ。神殿の中は今頃婚礼式をやっているのかな。この婚礼式が終わったら勇気を出して伝えたい。


 しばらくして神殿から離れようとした時、ゆっさゆっさと地面が揺れだした。思わず柵に縋り付く。


「地震だ!」

 

 先ほどまでの歓声は悲鳴となり人々があちこちに走り出して混乱が起きている。

 エリクの方を見ると騎士たちもなにが起こったのかわからずに右往左往している。


 そして。


 ゴゴーッと地響きが鳴り、ドンっと突き上げるような衝撃が襲った。立っていられず柵を握ったまま座り込んでしまう。

 神殿の向こう、黒い森の中の中から炎のように赤くて熱い液体が吹き出した。


「サラっ、逃げろ!」


 エリクはそう叫んで私を見た後、神殿の入り口の方に走って行った。

「エリクっ!」


 エリクの後ろ姿を見ていると炎の液体と石がバラバラと頭の上に降り注いできた。

 熱い。エリクは無事? あの神殿の中にはご主人さまたちが……。

 ああ、逃げなきゃ。でもどこに?


「婚礼式が失敗した! 聖女がなにかしたんだ!」


 そんな叫び声が聞こえた後、街は炎に飲まれ赤く燃えて闇に包まれた。

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