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パーフェクト・デイ  作者: ミソラ


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 儀式が終わり、神官たちによって女神の像の後ろにある、クリスタルで象嵌された白く大きな壁が開く。

 まばゆいばかりの光が降り注ぐ聖堂とは対照的に、奥に進むほど暗く黒く、淵へと続く道が現れる。


 ここからまたわたくしは一人で進む。

 指の先には小さな白い粒。


 淵に身を投げる寸前に即効性のあるこの毒を飲めば、淵の底に到達するまでに私の命は潰え、生贄の役割は果たせない。


 ごめんなさい世界。恨むわ世界。

 幾人の少女を犠牲にしてきたのか。どれほどの哀しみの上に成り立っているのか、あの高揚した人達は理解しているのか。


 淵までの道を半ばまで進むと後ろから走ってくる足音が聞こえる。


 焦茶の髪、鳶色の瞳。

 

 どういうこと?

 

 わたくしは奥の淵に向かって走り出した。


 追いついてきたリヒャルトはわたくしの首に手を伸ばす。


「違う! 間違っているわ、リヒャルト!」

「間違っていない! 間違っているのはこの世界だ!」


 わたくしは、リヒャルトには最後まで清廉な存在でいてほしかった。神の怒りを受けるのはわたくしだけで充分だ。世界を崩壊させる罰はわたくしが一身で受けるつもりだったのに。


 そう、この世界は間違っている。この世界に未練はない。もう終わらせる。

 恋を知る前に決めたこと。ごめんなさい。もう引き返せない。世界が終わればあなたの命も家族の命も、数多の人の命を奪う。


 その罪はわたくしの罪。


「戻ってください、リヒャルト!」

 淵に向かって走りながらわたくしは叫んだ。

 ドレスが足にまとわりつく。ぜいぜいと肺を痛くするほど走っているのにリヒャルトは追いついてきた。

「こんな解決法しかなくてすまない。誕生日おめでとう、ルイード。」


 その鳶色の瞳は、ひどく哀しそうで優しかった。


 リヒャルトはわたくしの首に手をかけた。

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