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本社への異動はかねてから希望していて、三年経って希望は叶えられた。
当時付き合っていた彼女は『ついていきたい』と言った。
本来ならば嬉しい言葉だったし、異動することを前提にしていたから、考えていないわけではなかった。
しかし新しい部署、結果を出したいという自分に課したプレッシャーのせいで、その言葉に返事ができなかった。
引越しの日が近づくにつれ、はっきりしない俺を責める彼女の声は厳しさを増し、もう無理だな、と思った。
「ごめん。約束はできない。」と言って逃げるように離れた。
今考えれば俺って最悪……。いつもあやふやな言葉で誤魔化してしまう。
あれから二か月。全然連絡は取っていない。
彼女は同じ職場だったから会社の場所はわかる。今俺が住んでいる場所は知らない。今のところなにもない。SNSはブロックした。携帯も着拒にした。
申し訳ない。俺は逃げている。
しばらく一人でいい。
*
風呂から出てビールを飲みながら映画を観る。
ふいにスマホが震え、手に取ると知らない番号からショートメールが届く。
『結城です。先日の失礼をお詫びいたします。申し訳ありませんでした。改めて謝りたいと思います。』
悩みながら打ったであろう、どシンプルな文章に思わず笑う。でも『謝る』ってなんだろう?
あの悪夢の相手は結城さんだったんだろうかと、ありえない妄想をする。
夢の内容は思い出したくもない酷いものだが。結城さんを初めて見た時、夢の中の人物と繋がった気がした。それは間違いなかった。
そして結城さんと会ってからあの夢を見なくなった。だからどうしても関連づけて考えてしまう。
結城さんのことが知りたいという想いは膨らんできて、、頭の中がちょっと混乱する。




