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パーフェクト・デイ  作者: ミソラ


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15/73

15 意識する *良平*

 週明け、篠原から飲み会後に消えたことについて責められる。別にいいじゃないか。乗らない気分のまま行ったって楽しくないし周りも迷惑だろう。


 ……別に結城さんに逃亡されたからじゃない。

 気にはなる。少し話をしてみたい。でもあんなに怯えた目を向けられたらな……。なにもしてないのに。


 あと気になるのは飲み会の夜を最後に『あの夢』を見なくなったこと。

 おかげで熟睡できて体調はいい。ただやっぱりなにかが引っかかっていてモヤモヤする。

 普段は夢なんてすぐに忘れてしまうのに、いつまでも脳裏にこびりついていて同時に結城さんの顔がちらつく。

 

 知らない間に怖がらせるようなことをしたか? イライラして怖い顔をしていた時にすれ違ったとか。全然気づかなかったけど。


 あー、でも夢を見る前なら意識しなかったかも。


 *


 デスクに着いてメールとリマインダーをチェック。


「お前、さっきの気づいてないのか?」

 篠原、まだいたのかよ。

「なにが?」

「受付の子、左側に座ってた方の子、お前をじーっと見ていたぞ。」

 一瞬、結城さんかと思うが階が違う。

「そうか?」

「ハート飛ばしてた。」

「俺とは限らないだろ。ほら、ミーティング行くぞ。」

「え、でもさ、飲み会の時に話してた子じゃねぇの?」

「そうだっけ?」

「おまえなぁ……。それよりさ、畠中って……。」


 資料とタブレットを手に持ち、現在抱えているプロジェクトに頭を切り替えた。


 その日の帰り、少し遅くなってからエレベーターを降り一階の六基あるエレベーターホールから正面玄関に出るところに一人の女性がいた。こちらを見てもじもじしている。

 

「ほらほら、朝言った……。」

 と篠原が俺を肘でつついてくる。朝?

「受付の左側の子。」

 ああ、二十階の受付の子か。どおりで見たことがあると思った。

「お先にな、樫井。」

 篠原がにやにやしながら足早に行ってしまった。意味がわからず、一緒に出ようとした時、声をかけられた。

 

「あの、樫井さん。」

「あ……? はい。」

「覚えてますか、親睦会の時、前に座っていた秋野と申します。」

「ああ、はい。覚えています。」


 篠原に言われたから思い出したんだけど。あの時は結城さんの衝撃が強すぎて、実は他の人の顔ははっきり覚えていない。


「今度、二人で飲みに行きませんかっ!」

 真っ赤な顔をして言われたことに、ああそういうことか、と冷めた気持ちで納得する。そして少し申し訳ないと思いながら口を開いた。

 

「ごめん、今はプロジェクトが動き始めたばかりで無理かな。」

「そう……ですか。……。」

 秋野さんは少し下を向いて顔を上げた。

「わかりました。プロジェクトの成功を祈っています。」

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