表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/63

第19-3話「生きていればそれでいい」

挿絵(By みてみん)




 激戦から数時間がたった。

 早苗たちは縄で縛られた、サー・ハーマンを静かに見ている。

 違う、彼だけじゃない。他の大勢の捕虜たちも見渡すが――


「牢が足りないな……」

「う、うン……」


 ララが静かに頷くと、ラルクは身震いした。


「……敵にはBランクが1人いました。亜人にとっては、雲の上のような存在。それを閣下の武器は、赤子の様に……」

「君たちが頑張ったからだよ」

「閣下……!」


 あとは情報戦で有利だったから。

 ラルクは泣いて叫ぶのを、必死に抑えていた。


「我々が本土の人間に勝った! 完全勝利です!」

「負傷者は?」

「敵の魔術で受けたやけどや、武器の扱い不備による怪我、数名のみです……!」


 早苗がほっとして息を漏らすと、ラーサが早苗の元へ。


「……王子。これほど恐ろしい武器が、1000年後の兵器なの?」

「いや、こんなのはかわいいものだよ。未来の人類は、愚かな戦争の繰り返した……」

「これすらも()()()()()()なんだ……」


 もう、その場の誰もが理解していた。

 彼がこのまま導けば、共和国は世界一の大国になると。


「坊主……恐ろしいぜ……鳥肌が止まらねぇ……」


 ギガが腕をさすり、ラルクが勝利を噛み締めているその頃――

 ララは不安そうにしていた。


「早苗さま、大丈夫……?」

「……大丈夫。ただ、僕が作ったものが、人を殺したんだなって」


 平和ボケしている前世では、経験したことが無いことだ。

 特に――


「地雷は、やりたくなかった。21世紀でも、子供を含めて、大勢が苦しんでいる……」


 しかも、作るのは恐ろしいほど簡単だった。

 鉄の容器の中に、火薬を入れる。

 さらに電気で作った塩酸を薄いガラスの容器に入れ、地面に埋める。


(……踏んでガラスが割れたら、漏れた酸が火薬に火をつける)


 そして爆発。敵から足を、あるいは命を、一生奪うのだ。

 この規模だと、即死はしない。さらに悪質だった。


「……さ、早苗さま、大丈夫だヨ! 残った地雷は、みんなで頑張って、撤去するから」

「そうだね……」


 全ての地雷の位置や数を、覚えている。

 一つも残したりはしない……


「次は、僕らから攻める。王国に進軍するぞ……!」


 おお、と獣人たち、ドワーフたちが声を出す。

 心菜を助ける。

 彼女が死ぬタイムリミットまで、あと2週間を切っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ