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第六話 契約結婚

ベルナルド様と私はお互い赤面している自覚はあるものの、セバスさんがクスクスと笑っていました。

そしてベルナルド様ととセバスさんのじゃれ愛でしょうか?

お二人を見ているとベルナルド様の印象が変わる気がしました。


「すまんな、こいつ昔から世話好き人間なんで。」

「世話好きですよ、貴方が小さい頃から知っているのですからね。」

「....ぐっ! あーもう話しが進まん少し黙れ!」

「はいはい。」


すっとベルナルド様の後方に待機して、私に優しい眼差しを向けてくれるセバスさんは私に向かい口パクで。


『少しは落ち着かれたようで安心しました。』


と言っているように感じました。


「少々話しが脱線してしまったが、婚姻の事で君が来たことに対し向こうとは話しをつけておく。それと今後の君の処遇だが、わざわざ来てくれたものを返すような事はせぬつもりだ。」

「え? でも...私は身代わりですし。」

「身代わりね。さっきも言ったはずだ、私がそもそも体験感覚で婚姻話しをしただけだ。それにこの歳になっても恋人すらいないから、おせっかい人間が結婚させようと婚姻話しを持ってくるもんでね。そこでだ、実家に帰って君に恥をかかせるのも悪いし期間を設けて契約結婚しておくか?」


契約結婚? とそう頭によぎり、ふとこのまま家に戻させるよりは良いのかもと思ってしまう。


きっと帰っても恥どころか、ただ暗い部屋でずっと鎖に繋がり罵倒され、ペット感覚やストレス発散の玩具扱いだったから。


それよりも僅かでも、自由でいたい。

少し湧く心、自由である今の状況。

手には鎖もいまはない、けれどずっと生活していたあの環境にきっと戻るのは怖いから。


「期間限定の契約結婚としてですか?」

「そうだ一定の期間限定だが、君には私の妻になってもらいたい。ただし、君を縛っておくような状況にはしないつもりだ、社交界には出てもらわないといかんが。あと期間は二年にしよう。」

「何故二年なのです?」

「俺の人生に結婚なんてものはないんだ、家庭を持つのは良いが、もともと仕事人間が定着しているんでな。あと期間が二年の理由は大概嫌になるんだよ、俺との関係にな。」

「そうなのですか?」

「......そう、なんだよ! 君も俺を嫌いになるさ。」


氷帝の貴公子と言われているベルナルド様の少し拗ねた物言いだけど表情が崩れないから怒ってるように見えたけど。

セバスさんとのやり取りを見てた私は、この方は少し不器用なだけではと思ってしまう。


だって言葉に棘がないもの。


「期間限定の契約結婚承諾します。」

「え?」

「ベルナルド様、呆けた声出てますよ。」

「セバスうるさい、ん? いいのか? これ俺の身勝手な理由だと思うんだが?」

「...私も政略結婚などの理由もわかってはいるつもりです、ただ...期間を設けてくださるのは嬉しいです。お互い何も知らない状況ですし、私もこんなに初対面で話せて嬉しいので。」


最初は追い出されたあとなんて雪に埋もれて死んだ方が良いほどに疲れていた。

ただ謝って。もしお父様の従者がいたなら無理矢理連れ帰り恐ろしい事が待っているだけだった。


対人に恐怖感だけがあった。

セバスさんが良い人でベルナルド様は口調だけは優しいから、昔のように話せて震えもこなかったから。


接触はきっとまだ怖い。


「そうか。なら宜しく頼む。」

「はい。」

「あ、言っておくが契約結婚だからと言っても、恋人同士風だけであって君には手出しをしないから安心してくれ。」

「...え? はい。それはありがたいです。」

「ありがたいのか?」

「私...人が怖いので、接触は無理しない程度にお願いします。」


ベルナルド様から瞳を拭われて、ちょっと怖いけど嫌な気分にはならなかったから。

ついさっきのことを思い出して言ったら、ベルナルド様は少し考えつつも...そうか。とだけ言い口角が少し上がったように見えました。



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