第二話 姉の存在
雪吹雪く街道を眺めながら馬車は進んでいく、景色が流れていくのを見て自分の人生には何もないと感じる。
名前も親も姉妹である姉も、私の存在はないものと思われている。
この婚姻もただの身代わり、きっとついたそうそうに罵倒されるんでしょうね。
姉を愛し婚姻を申し込んだのに、良いんでしょうかねお父様?
家紋うんぬんに苦情が来ると思うのに。
反論してもきっと聞いてはくださることはないのでしょうけど。
お父様は私を捨ておきたい機会が来て嬉しいんですよね。
胸の痛みなんて何も感じないから不思議。
「サーラはどう思っていたのでしょうか?」
1日私の行動は制限させられていた。
たまに教養だけは身につく限りは学ばせてはくれたけれど、暗い部屋はずっと闇ばかり。
そういえば、ふらっとサーラがきたことあった気がする。
鎖に繋がる私をみたサーラは、最初驚くも。
「へえーこれがわたくしの妹ですのね、まるでペットの家畜ですのね。白い髪などぐちゃぐちゃになってますし、服だって破けてるのに良く着れること。それに月当たると魔犬のようだわ。醜いし、気味悪いのね。」
クスクスと侮蔑を言う姉に私はただ、綺麗な子だとしか思わなかった。
金色に輝く髪に青い瞳は澄んでいて、顔も一緒だと聞いていたのに別の存在のようだと思えていました。
「反論しないのね面白くないわ! ねえ名無しの妹、名前つけてあげる、今の貴女の表現ならー家畜ですしー。あ! そうだ!! ミュートが良いわ、何もない子って意味で、どう?」
いいアイデアって言わんばかりのサーラの提案に理解出来ない。そういえば名前ないんだって、この時に気づいた。
世話係さえいないし、教養を学ぶ先生は名前すら呼んでくれなかったのだと。
「ミュート返事しなさいよ!」
「.......私に発言できる権利はありませんのでお嬢様。」
あまりにも返事をしない私に憤慨しているサーラに、平坦に何も感じないせいか、お父様よりも家族でもない人種に無闇に話すなと命令されてたせいで、そう返したら。
サーラは驚きつつも、へえーって感じで口角を上げている。
その姿はお父様に似ている。
「妹がいると聞いたから見に来たけど、良いわねー貴女の存在は、いじめがいありそう。」
退屈してたのそうなよねえと告げるなり、近くまで寄ると側にある水を入れたものを私の頭からバシャと勢いよくかける。
冷たい雨のように当たってきつい。
「ふふふ、水も滴るいいゴミね! あらーこれが貴女のご飯ですの? えらく質素でいて残飯ですのねー。」
クスクスと笑うなり靴で勢いよくぐしゃぐしゃにされる。
あ! せっかくのご飯なのに。
今日一日一食ぶんが消えてしまった。
「反論うすー、もっと嘆きなさいよ!面白くないわねー!」
「......。」
なんか、もう面白くないわ!! と私の反応に飽きたようで出て行った事ありましたね。
まあー食事が今日取れないのはショックでしたけど。
生きてるだけでも感謝ぐらいには感情がありましたっけ。
姉の存在はただの子供と同じってぐらいの認識でした。
その後も何回か色々あった気がするけど、他愛もないこととして思っていた気がする。
「サーラは美しい存在価値でお父様からは大事にされているんでしょう。私に暴言吐かれていましたけど。」
まあー姉はそれだけ......愛されているんでしょう、きっと。
街並みが濃く白に染まるのを見ながら、これから捨てられるのを覚悟しておかないとかもとただ感じていた。