追われる身に
ソウルドを抜け、野宿をしていると変な時間に目を覚ました。
とりあえず川へ向かって顔を洗っていると誰かの気配を感じた。
「……誰だい?君たちは」
気配の方を向かい、そう聞く
「……流石は元魔王……よく気づきましたね……自信あっただけにガッカリです」
スタッと木の上から降りてきて、魔族の女がそう言った
「そうか、もう一度だけ聞く……誰だ?」
「私は『今の』魔王軍の四天王です」
「……四天王がこんな所に何の用だ?」
「それは……もちろん、厄介な敵の偵察です」
「へぇ?つまり君以外の残りの2人は捨て駒かい?」
まだ木の上にいる2人について聞く
「!私以外の2人にも気づいていましたか」
「最初に『君たち』と言っただろう?」
「それはそうでしたね……おかしいですね……私のこの2人は気配とか全くないんですけどね……?
なんでバレたんでしょうか?」
「さぁね、それで?何の用だ?」
「……偵察ですって、本当にそれだけ、それだけですから」
両手を上げ、降参と言った感じだ……
「君も、僕の理想とする世界の邪魔になるのかい?」
「……同族ですよ?」
「……亜人も魔族も人も、数え切れないほど手にかけたさ」
「……へぇ……あなたが作った世界平和ってあなたのパワープレイのおかげなんですね」
「……どう頑張っても、怨嗟を止めれなかったから、みんな殺して、ゼロにして、僕が消えて世界平和……って思ってたんだけど本当にあの頃の僕は馬鹿だよ」
「そうでしょうか?私としては凄いと思いますけどね……一人で世界を平和にしたなんて……勇者みたいですね」
「……ま、雑談はこれまでだ、君も僕の敵なら……わかってるね?」
「……ハッタリはやめた方がいいですよ?」
「魔王の僕に勝てるとでも?」
「力を封印した状態で私に勝てるとでも?」
「……さぁ?冷気を飛ばしてザクラとローズさんを呼ぶ手もあるけど?」
「……随分と発想力豊かな……わかりました、今はまだあなたの敵ではありません
あなたを殺すよう命じられた時、あなたの元へ向かいましょう」
そういった後「行くよ」と2人に行ってどこかへ行った
「……目、つけられたか……」
だが、あの子の言う通り、今の僕じゃ彼女よりも弱い本来の僕は殴り合いよりも魔法の方が得意なのだ。
さっさと次の街……『ハリス』に向かおうか。
透明な川に反射する朝日を見ながら、そう決心した