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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
過去の王位継承戦
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別のブロックの準決勝

「では、只今より、第1王子のウェルター様と第2王子のオルソー様の試合を始めます」


「兄上、全力で来てください」


「うん、もちろんだよ、オルソー」



なんて2人は話しているが、会場では


「……流石に出来損ないのオルソー様が勝てるわけないか……」


という雰囲気で1色となっていた


このオルソーという男、魔王の養子である。


黄色い髪に黒い線が何本も入る独特な髪をしている

誰が教えたでもなく、いつの間にか覚えていた『雷魔法』を扱うが……兄と姉は魔剣を手にしている。


固有スキルも、確かに目に関するスキルではあるが2人と違い破壊力などない。


固有スキルの名は誰も知らない。


わかることは、この男の魔眼は殺傷能力がないということだけだった。


故に、魔剣もなく、大した魔眼もなく、魔王の血も引いていない彼が彼の持っていないもの全てを持っている兄には勝てないと皆が思っていた……


はずだった、この世でオルソーが勝つと信じているのは、オルソー自身と、ネーヴェだけだ。


「試合開始っ!」


「行きますよ、兄上」


「あぁ、まずはオルソーからかかってくるといい」


「すー……ふー……っ!」


大きく深呼吸をしたあとカタナと呼ばれる武器を収めたまま持ち、黄色い瞳が光る。


「……魔眼『轟雷眼(ごうらいがん)

兄上、俺はこの一撃に全てをかける」


バチバチと弾けんばかりの空気の音。

雰囲気が違う弟に息を飲む兄。


最初の一撃で終わらせに来た。そう確信した


「……来い」


「剣技『晴天霹靂』!」


ふと落ちた雷のように突飛で、急な踏み込み。


瞬きすれば何事も無かったかのようなその世界で、1人、地に伏せていた。


「済まない、兄上、俺は王になりたいんだ」


「し、勝者……オルソー様……?」


戦いについていけず、唖然とし、静かなまま終わった準決勝。


奇しくも、決勝に上がった2人には、勝者へ与えられるはずの黄色い声援など当てられる訳もなく、送られたのは『底知れない』という違和感のようなものを植え付けられた、ただそれだけだった。

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