隠居生活
「……おはよう、ザクラ、アリス」
「おう!おはよう!ネーヴェ!」
「おはようございます、ネーヴェ様」
僕ことネーヴェ、白い髪に透明なツノを生やした魔王……じゃない、元魔王だ。
朝から元気な竜のザクラ
羽が生えてて、硬い鱗におおわれた体をしている
いつも通りの幼馴染アリス
結構気さくに話しかけてくる
小さな小高い丘の人里離れた辺境の地でポツンと小さな小屋が1つ。
男2人に女ひとりとアンバランスな気がするが……まぁ、彼女が決めたことだ、何も言うことは無い。
「……今日も、1日、ぼーっとしようか」
「ですね、やることがあまりありませんから……コーヒーどうぞ」
「ありがとう、アリス」
朝になって、コーヒーを入れてもらい、飲む
ザクラは話し相手と金稼ぎに奔走
アリスは話し相手や家事
僕は……特に何もすることは無い。
元々金稼ぎも家事も一人でやるつもりだったのだが……
今になって自分の考えの甘さに気づいた。
孤独は自分が思っていたよりももっと苦しかった。
「……また、今日もその紙を眺めてるんですね『氷魔王』として名を馳せていたあの頃のあなたとはずいぶんと変わりましたね」
「アリス……君は昔から僕の元にいただろう?
元来僕はこう言う性格なんだよ……あんな無鉄砲な事はあんまりしない」
『氷魔王』か、懐かしいなぁ。
白い髪と、氷の魔法、そこから来たあだ名だったなぁ。
「まぁ、確かにあなたは昔っからそうでしたね
確かに、あの時は驚きましたから……
そう言えば、そんなに穴が空くほど読んでますけど何か見つけれたのですか?」
「見つける……というか、5000年も前に起こったあの戦いで唯一残っている文献がこの2枚なんだよ?あとは『封魔の塊』っていう変な赤い石……
そんな変な石よりも僕はこの書類の方が気になるね
代々受け継がれてきた魔王の宝物庫……それの更に奥、そこで見つけた2枚のステータスが書かれた羊皮紙『成長を記す紙』
この紙に書かれたこの2人……『アグナムート ハイラーク』と『カラミス ハイラーン』
この2人に勝った勇者……想像するだけで楽しめるものだよ」
「……相変わらず、語ることになると止まらなくなる、あなたの悪い癖ですよ」
「はははっ、ごめんごめん」
「たっだいまー!肉!買ってきたぞー」
「おかえり、ザクラ」
「おかえりなさい、ザクラ」
「おう、ただいまー!」
「……アリス、手伝うよ」
「あら?ありがとうございます、ではお願いします」
そんな感じでご飯の用意をして、いつも通りに一日が終わる。
……こんな生活を続けて早100年。
……本を読み漁り尽くした。
そのおかげで世界の知識を取り込めた。
「暇だから」という理由でザクラと戦ったりした。
いつも通りザクラを打ち負かすと口癖のように
「……いやー、竜なのに負けちまった」と言う
「別に気にするなよ、僕が魔王だからだよ」
そんなこんなで100年が過ぎた時……この小さな小屋に新しい風が吹く。
見た目
ネーヴェ 白い髪に青い目
ザクラ 赤い髪に赤い目
アリス 金髪に緑の目