聖女と
「……あ、どうもはじめまして」
「あ、こちらこそはじめまして」
「……」
「……」
挨拶をするだけして、紅茶を飲む音が響く。
「……そ、その、あなたが……氷魔王ですよね?」
「あ、はい、そうですね、そういうあなたが、近代の聖女だね?」
「はい、そういうことです、名前は『ヴェール メイ テンス』と言います」
聖女と話す機会をマチアがくれたおかげで今こんな風に話す機会を得た。
「そうですか、僕はネーヴェって言うよ
……魔王討伐には行くのかい?」
「……迷っています、足でまといになるかもしれませんし」
「……僕の経験談をひとつしよう、今から……3代ほど前の聖女と戦ったことがあるんだ」
「!そうなんですか!?」
「うん……あの子は……強かったよ、本当に強かった
……死ぬかと思ったぐらい強かったよ、彼女は常識に囚われない、そんな自由な子だった……
彼女は常識に囚われない力、君は常識を超えた力を持っている……
僕が今も魔王なら君を勇者よりも先に倒したいね
僕の友達の軍も進めやすくなるし」
「……そんなに強いひとだったんですね」
「君にもそのポテンシャルは充分にあるだろうね、事実、あんな広範囲の魔法を使うだけで消えた魔族はいたわけだ、あれを一点集中して僕にぶつけられると恐らく今の僕なら死ぬね」
「ありがとうございます?」
「……まぁ、そうだね、褒めてるからそれでいいのかな?
まぁ、僕は今の魔王を倒すのが目的なんだ、迷っているのなら、ぜひ勇者について行ってくれ、僕も楽になる」
「……わかりました、勇者様に言ってきますね!」
ドアを開け、そのままどこかへ行く
「……元気な子だ……そろそろ、あそこにも行こうかな?」
次の目的地を決め、紅茶を飲み干し、部屋を出る