花の魔術師と黒鉄の杖
「とりゃ!!」
「えい!!」
「「プギュッ」」
草原に響き渡るのは、ローズとイシュタルの声と
この草原に生息するスライムの悲鳴である。
悲鳴に聞こえる鳴き声。これを聴いていたらなんかごめんと謝りたくなるな。
「これで何レベルになった?」
「5レベルです。」
「俺も5だ。 こんだけ倒してもレベル5かよ。」
俺のインベントリにはスライムのドロップアイテム
スライムゼリーが隅から隅まで埋まっている。
「そうですね。あまりにも効率が悪いすぎます。一度街に戻ってから、ゴブリン退治に変えますか?」
「いやゴブリンは10レベルになるまで我慢しよう。 デスペナルティがなんなのかわからないから怖い。」
そう、このゲーム。
学校で《世界樹》の検索欄でデスペナルティのことを調べても何も出てこないのだ。
もちろん、掲示板でも調べた。
だが、情報は得られなかった。
「取り敢えず、このスライムゼリーを換金しに行くのはいいと思う。」
「そうですね。換金には行きましょう。」
◆
「スライムゼリー86個ですね。8600ゴールドになります」
スライムゼリーは一つ100ゴールドで、
100ゴールドで朝食一回分、500ゴールドで宿に一泊分のお金らしい。
今の俺たちの金は、初めから持っていた20000ゴールドが二つの40000ゴールドそして、今回の報酬合わせて48600ゴールドだ。
換金を終えた俺たちはそのまま武器を買いに武器屋さんまで足を運んだ。
この武器屋さんは前にイシュタルと一緒に回った武器屋さんの一つだ。
「いらっしゃい。何をお求めかな?」
ドワーフだと思われるおじさんが俺たちに問う。
ドワーフは鍛冶などの物作りに特化した種族である。
そしてこのおじさんはNPCのようだ。
特定できる理由は、耳にイヤリングが付いていないからだ。このゲームではプレイヤーはイヤリングをつけている。このイヤリングは外すことのできない仕様になっている。
そしてこのおじさんNPCにしては出来過ぎだ。まるで長年近所に住んでいる親しいおじさんのような安心感がある。
俺は使う武器っていうかそれ以外使うことがないから杖にする。杖は魔法の威力を上げたりできる武器だ。
イシュタルは使う武器が違うので一応聞いておく。
「俺は杖で。イシュタルは何使う?」
「剣でお願いします。」
「なら、杖はこの黒鉄で作られたのをお勧めする。魔力の伝導率も高いし変換スピードもレベル20までなら問題なく使えるはずだ。 剣も黒鉄のがお勧めだ。軽いし、強度もある。まぁどちらも値は張るけどな。」
「ちなみにいくらぐらいなんだ?」
「そうだな、一つ50000ゴールドってとこだ。」
「高い。」
「高いですね」
「ははははは! そうだろう。全部俺が魂込めて作ってんだからな!まぁべっぴんさんもいることだし今回だけ、二つ合わせて40000ゴールドにまけてやるよ。」
「本当ですか?! ありがとうございます。」
「ありがとう爺さん。この恩はいつか返すからな」
俺たちは今日の依頼で得た4800ゴールドを残して
見事? 黒鉄の剣と黒鉄の杖を手に入れた。
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・黒鉄の杖
筋力:+2
魔力:+10
幸運:+5
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・黒鉄の剣
筋力:+10
防御:+5
幸運:+2
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「やったな、明日から狩りのスピード数段上がるぜこれ」
「そうですね。これならレベル10なんてあっという間ですよ!」
武器屋を出た俺たちは、
少し早いがキリがいいので今日は終わることとした。
「ローズ。 あの、よかったら…えっと私とですね…フレンド登録してくれませんか?!」
まさかあっちに言われるとは思ってなかった。
言うなら俺からとか思ってたのに、
「ダメですか?」
黙ってる俺をみたイシュタルは俺の顔を伺うようにそう尋ねてきた。
「もちろん。 いいに決まってる。逆にこっちからお願いしたいよ。」
俺はステータスプレートを出し右にスライドする。
そこはフレンドなどに関するものがあり、
フレンド検索、フレンドリスト、承認待ち、申請中の
四つのリストがあり、俺はフレンド検索でイシュタルのフレンドコードを打ち込む。
「申請したぞ。」
「あっ。来ました。承認しときますね。」
フレンドリストの欄にイシュタルの名前が追加されたのを確認して
互いにフレンド登録をし終えた俺たちは、
昨日と同じように「「おやすみ」」といってログアウトした。
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