天野楽とスマホアプリ《世界樹》
《Gift seed》に初ログインして、進藤さんと一緒に冒険というかデート?ぽいことをした翌日。
まぁデートとか思ってるのは俺だけだと思うが……
学校に行くと、委員長が俺にゲームをしたかどうかを聞いてくる。
「天野君。君しっかり《Gift seed》プレイしたか?面白かっただろ?レベル上げとかもうしたのか?」
「ゲームはしたけど、レベル上げもしてないし装備もない。これからってところだよ。ところで委員長《才能の種》ってどうやって開花させるんだ?」
《才能の種》昨日ゲームをやっててなにも起きなかったアイテム。これが開花することによって固有スキルを獲得できるという話だったのだが…
「ああ、あれかあれはゲームログイン二日目で開花するようになっている。 開花のタイミングは自分で決めれるから安心していい。 なんで二日目なのかというとだな、その人の行動パターン、脳の使い方考え方を基準にして固有スキルを作るから準備が必要だかららしいぞ。」
「そうなんだ、ありがと委員長。 委員長はプレイヤーネームなんなの?」
「俺か? 俺のプレイヤーネームはシュートだ。俊太からとってだ。」
「オッケー。見かけたら声かけるよ」
委員長とそんな話をしている間に、
進藤さんも登校してきた。進藤さんが登校してくると同時に委員長も自分の席に戻った。
登校してきた進藤さんはいつもと変わらず自分の席に座って本を読むんだと思っていたのだが、
こちらをチラチラと伺っている気がする。
数分もすると、
進藤さんはそれから本をパシン! と勢いよく閉じ俺の方へ歩いてきた。
「あ、天野君。おはようございます。昨日はありがとうございました。 早速で悪いのですが、今日も五時から遊べますか?」
「っっ。おはよう進藤さん。昨日はこっちこそありがとう。楽しかったよ。 あと今日も五時からで大丈夫だよ。」
進藤さんは俺が今日も遊べると言ったら、
心から安心したようにしていた。
「そうですか。よかったです。それじゃあまた後で」
進藤さんはそう告げると、こっちに歩いてきた時より軽い足取りで自分の席に戻っていった。
そして、それと入れ替わるように委員長と他の男子たちが揃って俺の方に来て、進藤さんとどういう関係なのかときいてきたが、それはなんとか上手く躱すことができた。
その時、俺はこんなにも人に囲まれることがあるのかと驚きそれと同時に進藤さんの影響力を改めて実感した。
俺はその後休み時間の間に《Gift seed》の最新情報、掲示板、自身のステータスを確認できるスマホアプリ、《世界樹》をダウンロードして登録を行った。
登録は無料で登録といってもプレイヤーネームと自分のフレンドコード、そしてパスワードを入力するだけで登録は完了する。
《世界樹》では、《Gift seed》内の通貨を使って、
装備品の販売なども行える。《世界樹》では自分でゲーム内で撮った写真を投稿したりすることもできる。
《世界樹》内の検索上位には、『第一回イベント告知。 デュオによる、バトルロワイヤル』とある。
ただのバトルロワイヤルイベントはVRMMOの初回イベントとしては鉄板なのだが、デュオとなると初かもしれない。
そして、ゲーム内時間の加速の実装はイベント一週間前に行われることも書かれていた。
ゲーム内時間の加速が追加されたら進藤さんともっと一緒にいれるかも……
デュオのバトルロワイヤルなら進藤さんと組みたいなとかこんなことを考えていた俺は、
今日一日顔を赤くしながら過ごすこととなった。
その顔の赤さは先生に風邪かと疑われるほどだった。
恥ずい。
そのせいで俺は今日一日の黒板の板書を忘れてしまい
後でクラスの子にノートを借りることになってしまった。
ノートを借りるのに人に話しかけなければならない。
そのために要した時間は実に5分。
やっとのことで借りることができたノートを開くと字が汚すぎて読めなかった。
だが今更直ぐ返すのもなんだと思い解読を頑張った。
解読の途中横を見ると、進藤さんもずっと顔を赤くしていたような気もするが気のせいだろう。
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