花の魔術師と悪夢の始まり 中編
《ユニーククエストのダブルクリアにより、ユニーククエスト『明暗の半身』を開始します》
「は?」
やっとのことでダンジョンをクリアした俺の耳と目にゲームでもいいから一回死ねと言いたげに現れるウィンドウと、アナウンスが聞こえる。
星が輝く空から黒い霧がこちらに伸びてきて人の形を象る。
「まだクエストあるのか?」
「そうみたいです。」
「ごめん、俺とミナ固有スキル使えないんだ。だから足手まといになると思う。」
「固有スキルが使えない?」
「どうゆうことだローズ。」
俺はみんなにダンジョン内で起こった出来事を重要なことだけ伝える。
入った先が影山というダンジョンだったこと、
影の軍と戦ったこと、
ユニーククエストをすることになったこと
固有スキルが使えなくなったこと
全てを聞いたみんなは何かを考えているような表情をしていた。
やがてみんなはアイコンタクトでもしたのか、
俺とミナにそれぞれプレートを渡してきた。
「それは私たちのユニーククエストで出てきた敵がドロップしたアイテムです。」
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・固有スキル『植物魔法』『氷炎』
『シャドーデミゴッド』に奪われたローズの影
影には固有スキルが閉じ込められており、このプレートをローズが使うことで固有スキルを取り戻せる。
ローズ以外に使用不可能
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これを見た瞬間俺の影が消えたこと、
イシュタルがこれを持ってることで、イシュタルたちが俺たちの影と戦ったことがわかった。
「そうか、ありがとう倒してくれて。」
俺はもらったアイテムを使用して固有スキルを取り戻す。
《ローズが固有スキルを取り戻しました。 固有スキルが使用可能になりました。》
黒い霧は未だ形を完全に作れていないようで、
まだゆらゆらと霧が動いている。
見回したところこの場は神殿のように見えるが所々崩壊している。場所の把握もして黒い霧と戦おうと構えたところ、
崩壊した神殿は輝きだし光だけ元の形を作り、
その光も黒い霧の横に集まり人の形を作り出す。
「これで準備完了ということでしょう」
オキタさんのいったことは間違っていなかった。
光が完全に人の形を作り終えた時、影も人の形を完全に作り終えた。
「ミナ行けるか?」
「行けるよ楽兄。」
「おい! さっきまでは俺ら二人だけだったけど今は他の人もいるんだ。本名出すな」
「ご、ごめんって」
「随分と仲がよろしいようで」
イシュタルさんもちょっと起こってるじゃないか。
馬鹿な妹め。
「俺とシュートでサポートに入る。アイカは何ができるんだ?」
「えっと。うまく言えないから戦ってるとこ見て決めて」
「はいはい」
俺たちの戦闘態勢は整った。
「戦闘開始だな」
◆その頃楽の姉火乃香は
「これ本当にリアルに似てるね」
「そりゃそうでしょ。これがこのゲームの醍醐味でもあるんだから」
黒装束の女はミノタウロスの攻撃を簡単に避け会話をする。
隣でミノタウロスを素手で殴っているのは、
楽の姉の火乃香だ。
火乃香は脚に風を纏ってミノタウロスを蹴る。
蹴られたミノタウロスは遠くに飛んでいき、
蹴り飛ばした遠くの方で『ドゴン』という音が聞こえた。
「でも紅葉うちの弟に負けてるよね〜」
「それは言わない約束でしょ?」
「あ〜。早く紅葉に追いつけないかな〜」
「そんな簡単に追いつかれたら私のメンタル崩壊するよ?」
「大丈夫でしょ。紅葉はさ、一応イベント2位だったんでしょ。」
「一応ね。てか火乃香私のこと紅葉、紅葉って言ってるけどゲームでの私の名前は『しのびん』だからそっちで呼んで。」
「ごめん、ごめん。でも私もこっちじゃ火乃香じゃなくて『焔』。」
「そうだったね。焔弟くんの様子は見に行かなくていいの?」
「大丈夫。大丈夫。いざとなれば七海がやってくれるよ。」
「七海って焔の妹だよね? 本当に大丈夫?」
しのびんは、手に持っていたくないを、後ろを見ないで投げ、後ろから襲ってきていたモンスターの眉間に突き刺し倒す。
「大丈夫だって。」
焔も、後ろから襲ってきていたモンスターを裏拳で吹き飛ばす。
これを見ていたあるプレイヤーはこの様子を動画に収め、《世界樹》に投稿したところバズってしまい、
少しの間この二人は【破壊者】と呼ばれるようになった。
この二人は自分たちがこんな会話をしている時、
ローズたちがピンチだとは全く知る由もなかった。
気になっていた方もいたでしょう。
楽の姉『火乃香』こと『焔』
シュートのペアだった『しのびん』の、話を書いてみました。
シュートと、しのびんが組んだのは、
ただの偶然です。一人の場合ランダムでペアが決まるあのシステムでペアになっただけです。リアルで個人的な交友は全くありません。
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