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ウェポンマスターと第一の試練

門をくぐった先には、

『聖明山』と名の通り聖堂という感じの部屋だった。この部屋の大きさは大型ショッピングセンターの敷地丸ごとって感じ。


「ここが聖明山なの?」


私の問いは広い部屋の中で虚しく響くだけ、

横を見ると、シュートやオキタさんはその光景に目を奪われている。

アイカちゃんはというと部屋の中を走り回りはしゃいでいる。


この部屋ではモンスターを一体も確認できない。

本当にダンジョンなのだろうか?


《ダンジョン聖明山へ入場しました。》


目の前にそうウィンドウが現れる。

そのウィンドウはシュート達にも見えたようで、

瞬時に戦闘態勢に入る。


《このダンジョンは試練を科します。》


試練?普通のダンジョンのように探索系じゃないの?

これに関してはシュートやオキタさんも知らないようで、何やら驚いた表情をしている。

アイカちゃんはというと、そんなことどうでもいいって感じで敵が来るのを待っている。


《第一の試練 力》


その言葉がダンジョン内に響き渡ったそのあと、

壁に、炎がつき始め部屋の中央に光が集まってきた。

光は、亀の形を作る。そしてできた亀は目を開く。

その目は金に輝きこちらを見据える。

かかってこいと言いたげだ。


「まず私が仕掛けます。その後に続いて下さい。」


オキタさんの指示により戦闘は開始された。

刀を持つオキタさんは地面を強く蹴り飛ぶ。その跳躍力はすごく一瞬で亀の上をとることに成功する。

だが亀に攻撃を仕掛け攻撃は当たるが亀は何も気にしない様子で振り払う。


続いてアイカちゃんと、私が向かう。

シュートは後方支援が主な戦い方なので後ろから魔法を込めた矢を放っている。


アイカちゃんはぬいぐるみをインベントリから取り出すと、そのぬいぐるみは意志を持つように動き出し亀への攻撃を始める。それに続いて私はウェポンリングから大剣を取り出してめい一杯叩く。だがその剣は甲羅にも届かず結界のようなもので守られている。


「何ですかあれ?!」


思わず漏れてしまうのも仕方がない。今までなら通っていた攻撃が全く効かないのだ。

どう倒せというのだろう。


「多分一定の攻撃力を下回る攻撃はまずあの結界で止められ、次に甲羅という感じなのかもしれないな。」


シュートは自分で出した結論をみんなに伝える。


確かにそうかもしれない。オキタさんの斬撃は甲羅まで通ったが私の攻撃は甲羅にも届かなかった。

攻撃力の差なのかもしれない。


「ねえ。つまりすごい強い攻撃を当てればいいってことだよね?」


「そういうことだ。」


「それじゃあ私がやるね」


そう言ってアイカちゃんはインベントリから大きなぬいぐるみを出してきた。ライオンのぬいぐるみだ。

大きさは、バスと同じぐらいの大きさ。

このぬいぐるみをどうするというのだろう。

いやまず、このぬいぐるみどこで買ったの?



先ほどからのアイカちゃんの攻撃の仕方を見る限りアイカちゃんの固有スキルはぬいぐるみを操作するとかそういう操作系の固有スキルなのかもしれない。


「いけーーー!!!ライオンさん!!!」


陽気にそう叫ぶアイカちゃんの声の後、ライオンのぬいぐるみは動き出した。

動きは本物のライオンと遜色ないと思う。思う理由は本物のライオンの動きをあまり見たことがないからだ。ライオンを見たのは随分と前、子供の頃、動物園で見た限りだ。


ライオンの爪と牙も全てぬいぐるみでできているため本物のような鋭いものでなくふわっとしているはずなのに結界を通り抜け、甲羅に届くまでの攻撃力を叩き出している。


だが、甲羅に傷をつけることに成功したのはいいがその数はごく小さな傷だ。とてもすぐには甲羅を破壊できないだろう。


「私が決めよう。」


オキタさんはインベントリからもう一本刀を取り出しそう私たちに告げる。

手に持つ刀からは、先ほどとは比べ物にならないほどのオーラを感じる。

オーラというか存在感だ。


存在感と言われてもピンとこないだろうが、例えば入社のための集団面接の時、みんな黒い服を着ているのに一人だけ赤の服を着ている人みたいな感じだ。


そんな存在感をオキタさんが持つ剣は発している。


「これは妖刀の紛い物。紛い物でもこの場を切り抜ける希望だ。」


そう言ってオキタさんは刀を構える。

その構えはどこか達人を連想させるような構えだ。

刀のこと、刀術のことを全く知らない私でもそう思ってしまうほどしっかりとした構えだ。


アイカちゃんのライオンが結界を破る。

多分結界を破る際に威力が半減するかもと考えたアイカちゃんの作戦?なのだろう。


「無名剣」


オキタさんが、その言葉を発した直後。亀の甲羅、いや甲羅のみならず全身に穴が開く。


気づいた頃にはオキタさんは刀を鞘にしまい何食わぬ顔でこちらに戻ってきた。

オキタさんがこちらに着く頃には亀のモンスターは、

光の粒子になり消えて無くなっていた。


正直見えなかった。その剣撃が。


おそらく、オキタさんは、沖田総司の使っていた『突き』を放っていたのだろう。

沖田総司の必殺技それは三段突き。

その三段突きの、正式名称は『無名剣』というらしい。

その『無名剣』は先ほどオキタさんが呟いていた言葉だ。だからオキタなんだと納得してしまう。

だが明らか亀のモンスターに開いた穴は3個以上。

無名剣をさらに進化させたのがあれなのだろう。



「さあ、次へ進みましょう。」


オキタさんの言葉に我に帰った私は達は亀のモンスターを倒した後にできた道へ進む。

どうやらシュートもあれにはびっくりしたようで目を見開いていた。


イベントでオキタさんと組んでいたアイカちゃんは平然としていた。

それを見た私は、アイカちゃんってキモが座ってるなと思ったのだった。

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