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花の魔術師と影のダンジョン

「おいこいつらなんだよ。」


影山ダンジョンをまっすぐ進んでた俺たちの後ろから、黒いもやのかかったゴブリンが大量に追って来ている。それから逃げている俺たちはなんとかこの状況を打破しようと頭を回転させていた。


「知らないよ。《Gift seed》楽兄の方が長くやってんだからそっちはなんか知らないの?!」


こんなことを喋っている間にゴブリンたちは剣や槍弓で攻撃を次々と繰り出してきている。


「うぉっ。 知らねーよ。あんなの初めて見たし、そもそもダンジョン自体初めてだっての!」


走りながら話すのはなかなか疲れる。

これならまだ、戦ってる方がマシに思えてくる。

だが、そうもいかない。


「そ、そうだった。 なら早く楽兄十八番の植物魔法使ってあいつらやっちゃってよ!」


「そんなことを言うが妹よ、ここで散り桜とか桜の木がダンジョンの天井突き破って俺たち埋もれるぞ。 あと植物狂花も周りに植物ないから無理だし……炎を付与したやつも俺たちにまで熱がきて死ぬ」


この《Gift seed》はすべて現実と同じような現象が起きる。

例えば、自然の循環システム、物と重力の関係、

その他諸々も現実を基準に作られてるものが多くある。なので危険なことをすると俺たちまで危ないのだ。


「つ、使えない」


俺もそう思ってたけど、はっきり言われるのはやっぱり傷つく。俺の魔法の弱点、それは密閉空間で力を最大限発揮できない点かもしれない。


しかも七海ことミナは攻撃スキルはないし、ここは終わったかも。


「楽兄!! こっちに部屋ある!」


「マジ?!」


先が見えないほどの暗闇の先にほのかに光る場所があるのが俺の目にも入る。

光のある場所、つまり外か、安全地帯。

ひとまずあそこまで行けばどうにかなるだろう。


「急げ!!」


「急いでるって!」


ミナのレベルが低いためどうしても俺よりスピードが遅い。なので俺はミナを担いで走ることにした。

こうでもしないと、後ろの黒もやゴブリン?軍団に追いつかれるのだ。


「ミナちょっと担ぐぞ!」


「は?? ちょっ…ええ!!!」


「口閉じとけ!舌噛むぞ!」


「ちょっと待っててててて〜」


「待てん」


俺はそう言ったのを最後に自分の中の最高スピードを出して行く。

どんどん近くなっていく光に俺はなぜか安心というより不安の方が大きくなってきている。


この不安は、買い物に行って目当てのものを買いなったはずが他のものを買ってるうちに目当てのものを買い忘れたそんな感じのモヤモヤに似ている。


だが後ろの黒もやゴブリン?軍団から逃げ切るためには部屋に入らなければならない。

俺は不安を押し除けて部屋に突入する。


部屋に入るとそこは神殿と思われる部屋だった。

壁は半端崩壊し、部屋の中央には俺たちの4倍ほど大きな石像。その周りには中心の石像より一回りだけ小さい石像が囲むように戦士や騎士の格好をした石像が並んでいた。


その石像はただの石像というわけではなく、今にでも動き出しそうなほどとても細かく作り出されているのだ。


「楽兄、これ助かったの?」


「助かったならいいんだけどどうやらそう簡単に終わりそうに無い気がする。」


「やっぱかそうだよね〜」


二人でゆっくりと後ろを見ると追いついてきたゴブリン軍団が俺たちを前に威嚇しているのが目に入る。


「ミナ、ここでこいつら倒すぞ。」


「どうやってよ。無理に決まってんじゃん。明らか普通のゴブリンより強そうだし」


「でもたかがゴブリンだ。」


そういう俺もこのゴブリンは普通のより数段強いのはわかっている。

だがここでやらないとやられるのは俺たちなのだ。


「そうだけどさ……」


「つべこべ言うな! もうすぐそこまできてるぞ!」


ゴブリンたちはゆっくりとだがこちらに近づいてきている。多分攻撃が届く間合いに入るまで手を出してこないつもりなのだろう。

こんなことを考えるゴブリンなんかいないはずだが、

これもゴブリンの体を纏っている黒いもやのおかげなのか?


「あーーもうわかっから。やるから。」


そう言ってミナはインベントリから出したのは武器ではなくブーツ。


「お前!! 逃げる気か?!」


「違うわよ、避けるのよ!」


「避ける?!」


【松瀬共矢から読者の皆様へのお願い】

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