ウェポンマスターとしのびん
ローズがシュートを連れてここから離れて行く。
「あんたいいパートナー見つけたんだね。」
「はい。彼は最高の人ですよ。」
彼は私と彼女の一対一の戦いの舞台を作り上げてくれた。が、私たちの戦いを邪魔しようとする人たちがまだいる。
「おい、女2人だけだぜ。やっちまおう」
「ダナダナ」
「うるさい、弱い人は引っ込んでて」
そう言ってしのびんはスパッとプレイヤーの首を刈り取る。この攻撃がこちらに今から向くと思うとやはり怖い。
けどローズが、私の実力を信じてくれている。それだけで勇気と自信が湧いてくる。
私進藤天音は学校内でモテてることは自分でも知っている。けど私が綺麗だとか可愛いと言って欲しいのはただ一人の男の子だけなのだ。
その男の子が《Gift seed》をしていないことを知ったあの日のことはまだ覚えている。ほんの二週間ほど前だ。
私はその日の朝海外に出張に行っていたお父さんから最近話題のVRMMOゲーム《Gift seed》を今まで一人で家にいてくれたご褒美だと言って私にくれた。
私の家には海外に出張によく行くお父さんと私しかいない。
お母さんは私が生まれたすぐに他界したらしい。
それからというものずっとお父さんが私を育ててくれた。
そんな私は幼稚園、小学校の時はとても人見知りで同年代の子達からも避けられていた。
そんな私に声をかけてくれたのは、天野君だった。
天野君は一人でいる私を何かと気にかけてくれて私に人の温もりを教えてくれた。
その後天野君は他の小学校に転校したのだが私は天野君にまたあった時、誇れる自分でいたい一心で自分を磨いた。
高校に入った時初めて天野君を見た時は驚いたものだ。明るく私に元気を分け与えてくれた天野君の面影は残っているものの180別の雰囲気になっていたからだ。
そんな天野君はあの日《Gift seed》をやっていないのを委員長に知られ、布教用の《Gift seed》を持っている委員長に無理やり《Gift seed》を押し付けられていた。
私はその時天野君と再び話す機会を得るチャンスだと思い私も《Gift seed》をやっていないといった。
やってはいないがソフトは持っていると言おうと思ったけど、委員長は私にソフトをくれた。
その時、ソフト二本もいらないんだよなとか思ったのは内緒だ。
それからは天野君と面白おかしく、時には真剣にゲームに取り組んだ。
しかもフレンド登録をすることにも成功した。
「そんな彼の期待に応えるためにも貴方には負けません。」
「そう。」
私はウェポンリングから黒鉄の操剣を取り出す。
これは私の数ある武器の中で切り札と言っていいほどの武器だ。二つの剣を宙に浮かべ私はしのびんと対峙する。
「それじゃあ、私から行かしてもらうよ!」
しのびんのスピードは異常だ。
これは固有スキルによるものだろう。
浮遊する剣を使って巧みに相手の攻撃を防ぐが攻撃には至れない。
だから、私は空いている左手の装備欄にローズの魔法を閉じ込めた魔法石を装備する。この一発が鍵になる。
「遅い!遅すぎる。こんなスピードで私に勝とうなんて5年早いよ!」
「5年って短いですね」
私はそう言いながら操剣を操る。
この剣は普通のプレイヤーだと扱うのは難しいのだが、ウェポンマスターの私には長年使ってるもののように扱える。
「もうそろそろ終わりにしていい? ちょっと飽きてきたよ?」
「こんなとこじゃ終われないんです。 魔法石解放 束縛」
この魔法は周りの草木を伸ばし相手を拘束する魔法だ。
もしもの時ようにローズがもたしてくれたとっておきだ。
「マジかこんなのあり!?」
「ローズのお守りのおかげですよ。」
「そっか……」
「これで終わりです。 あとこれ高いですけど魔法石売ってますよ。魔法は個別に入れないといけませんけど、」
「ちっ。 今回はあたしの負けだ。今度その店教えてくれよ。」
しのびんはそまま、私に倒され消えた。
ローズこっちは終わったよ。
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