花の魔術師と乱舞と武器
「んっっ。はっ!! 」
なんじゃありゃ。
凄すぎだろ。あれがイシュタルの固有スキルの力かよ。
イシュタルは周りに現れるゴブリンの首をダンスを踊るように優雅なステップを刻みながら切り落としていく。
それはまるで、風の流れそのものを表してるそんな気もする。
「どうですか? 足手まといになりませんよね?」
「ああ、逆にこっちが足手まといになるかも……」
「そんなに褒めなくてもいいです。 では上がれるだけレベル上げをしましょう。」
「お、おう。なら俺も新しい魔法使ってみてもいいか?」
「他のもあるんですか?」
「ああ、俺の魔力量だとこの魔法は一日一回しか使えないな。 いざという時の切り札の練習みたいなもんかな。」
「どんなのなんですか? 散り桜みたいに綺麗な魔法でしょうか?」
「多分違うと思う。 とりあえず使ってみるよ。植物魔法 植物狂花。」
その名を唱えると、周りにある草や花それではなく木まで急激に成長を始めた。その周りにいたゴブリン達はどんどんと干からびていきそのままゴブリンのドロップアイテム、ゴブリンの魔石を落として消滅した。
その魔石もすぐさまストレージに移動するので、あたりにはゴブリン一体もいない綺麗な森に戻る。
《レベルが上がりました》…………
《レベルが上がりました》…………
《レベルが上がりました》…………
今回の魔法一発でレベルは5上がった。
視界の左上に見えるパーティーメンバーのレベル表記をみるとイシュタルも5レベル上がったことを確認できた。
「これは綺麗とは言えませんね。なんか怖いです。」
「そうだな。綺麗ではない。しかも魔力もあと5しか残ってないからやっぱりこれは最終手段だな」
「ローズはどんどん強くなっていきますね。私なんか置いてけぼりですよ。」
「そんなことない。 イシュタルがいるから俺はどんどん魔法ぶっ放せるだけだよ。しかもウェポンマスターのイシュタルのことだ。これからこの魔石とスライムゼリーを全部売ってその金で武器を一種類ずつ買わないか?」
「なんで私がウェポンマスターだからって武器を一種類ずつ買うのですか?」
「ウェポンマスターってことは武器ならどんなものでも扱えるってことだ。それなら色んな武器を持ってた方が相手も混乱するだろうし、俺たちの戦略の幅も広がる一石二鳥だろ?」
「流石ローズです! そうと決まれば急ぎましょう! イベント一位目指しますよ〜!」
◆
「おっちゃんまた来たよ〜」
「おう、あんちゃんか。今日は何を買っていくんだ?今日は前みたいに値下げしたりしないぞ。」
「ああわかってる。250000ゴールドある。これで一種類ずつ黒鉄の武器を用意してくれないか?」
「!!!あっちゃんこの金どうしたんだ。強盗でもしたのか?」
「してないよ! しっかりゴブリンとスライム倒しまくって得た金だよ!」
「そうか、最近スライムゼリーの納品の量が異常って噂の原因はお前だったのか……」
え?俺ら有名人なの? しかも大量納品って、換金所の人たちには悪いことしたな。
「わかったあんちゃん。黒鉄の武器25種類用意してやる。ちと待ったきな。」
そう言って武器屋のおっちゃんは店の奥に姿を消した。
再び戻ってきたときには大きな袋を持って帰ってきた。
「あんちゃんこれでどうや。あっ中身は見るなよ。しっかり25種類武器は入れてある。この武器この前のべっぴんさん用だろ?しっかり使ってやれよこの武器。俺が全部一から作ってんだからな」
「オッケーだ。あとどうしてもみたらダメなのか?」
「ダメだ。あんちゃんどうにかして見ようとしそうだからあのべっぴんさん呼んだきな」
「俺信用ねーな」
「当たり前だろ」
【松瀬共矢から読者の皆様へのお願い】
『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。
感想もお待ちしております。
レビュー、をしていただけるとなお嬉しいです。