エンジェル リング ストーリーズ(5)
「啓示の君!」
「啓示の君!ハウト様!」
「あ、ああ。ヒルダ・・・さん?」
「お気を確かに!どこかお怪我をなされたのですか?」
「ああ俺は大丈夫・・・そんなことよりもヒルダさん!君は大丈夫なのか?あんなに雷に撃たれて」
翼に、魔物に、ペガサスに、以前の記憶の断片しか思い出せないハウトであっても、そんな記憶の映像はまるでなかった。現実のような非現実の光景にただ圧倒されるしかなかった。だが、なぜかヒルダの顔を見るとホッとできた。
「わたしは大丈夫です!貴方さえいてくだされば・・・」
2人はそういうと、しばらく見つめ合った。
上空から傷ついた戦乙女が、ハウトたちの元へと落下してきた。
「アリアマリー!!!!」
ヒルダとハウトがすぐさま駆け寄り、アリアマリーを抱きかかえた。アリアはうなだれて、声もか細く、すでに身体に力が入らない状態だった。
「だ、団長、どうかお逃げください。いま扉を閉めれば、魔物たちは城の門の中にまで、入れるほどの勢力にありません。」
「しっかり!しっかりして、アリア!」
「わたしは、も、もう駄目なのです。ほら・・・」
そういうと、アリアは自分の翼をヒルダと、ハウトに見せた。アリアの天使の翼は傷つき、すでに折れていた。そして徐々にその羽根から発する光が、まるで命の灯を現すように淡く消えていく。
「ア、アリア。貴方は・・・」
ヒルダはアリアを抱き抱えながら、涙を流して声をつまらせた。
アリアはハウトのほうを見て静かにいった。
「どうか、どうか、ブリュンヒルデ様のこと・・・アルテミス様のことを、お願いします。」
アリアが力を失いかけたとき、ハウトの背中に、片翼の黄金の翼を見た気がした。
「よかっ・・・た・・・貴方なら・・きっと・・・」
その言葉を最後に、アリアの全身の光が消え去り、同時にブリュンヒルデが抱えていられないほどの重力が一気にかかった。
「あ、アリアーーー駄目、堕ちては駄目!」
ハウトも懸命にその力に抗うが、遂に2人は力尽き、アリアマリーは雲海の地面に沈み込んでいった。
「アリアーーーーーー!!!!」