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エンジェルリングストーリーズ(4)

「受けてみろ、我がグニングルの槍を!」

ヒルダが叫びながら槍を放つと、槍は初速以上にスピードを増し、魔物たちの群勢に飛び込んでいった。

そして竜のようにのたうち踊り暴れて、魔物たちを次次とドリルの回転に巻き込み消し去り、最後は大きな直径50メートルほどの円を描き、スパークして巨大な爆発を起こした。

爆発した後、黒い群勢の中に、ぽっかりと大きな穴が空いた。雲海の地面に、白銀の槍が突き刺さっていた。グニングルからは、その高熱を冷やすように、水蒸気がもくもくと立ち上っていた。


「なんと凄まじい威力だ!」

「あれが戦う乙女ヴァルキリーのブリュンヒルデか!そしてあれが、神器グニングルの槍!」

「初めて目にしたな」

「ああ。その昔、魔物たちの巨大な城を、ただの一撃で消滅させた、という伝説も嘘ではないな」

「これなら、例え100万だろうと、200万の群勢だろうと敵ではない、勝てる、我らは勝てるぞ!」

「我らがブリュンヒルデ!おーーーーーーーーーー!!!!!」

ペガサスの騎士たちは、ヒルダに歓呼の声を上げた。


槍を放ったヒルダは大きく肩で息をしていた。一呼吸息を吸い、「槍よ!」と叫だ。するとグニングルの槍は、雲海の地面から浮き上がって、まっすぐヒルダの手元へと戻ってきた。グニングルの槍は、今しがた凄まじい力を放ったばかりであっても、傷一つついていない。むしろ輝きを増しているように見えた。これが神器といわれる伝説の道具の力であった。


「はーーーーーーー!」

再び、ヒルダが心で命じると、グニングルの槍に雷光が光り撃たれ、大きな翼持つ戦乙女から、2度目となる稲妻の槍が放たれた。

槍の威力はさらに増して凄まじく、いかに大群の魔物たちであってもひとたまりなかった。ヒルダが攻撃を加えるたびに、数万単位で滅ぼされていった。


およそ十数回にわたって、ヒルダは繰り返し繰り返し槍の一撃を加えた。

「はー」

再度槍を使おうとした時であった。

「やめよ、ブリュンヒルデ!」

後ろから突然羽交い締めにされ、ヒルダは驚いた。槍に雷が落ちることなく、呼び集めた雷雲は霧散した。

「は、離してください!」

「ならんブリュンヒルデ!いや、ヒルダよ!貴様このままでは死ぬぞ!これ以上、槍を使うな!」

「ア、アポロニアン様、良いのです。ま、まだやれます!あの群勢を呼び寄せたのはわたし。わたしの命にかえても、ここは!」

「ばかな!貴様の、自分の翼をよく見てみよ!」

雷を集め続けた結果、彼女の翼はところどころ炭化しており、元の美しさはすでに見る影もなかった。おそらくはアポロニアンが止めなければ、後1、2回のうちに彼女の翼は折れ、地上へと落下していただろう。天使の翼は天上人の証で、翼を失うことは地上に堕ちることであり、二度と天上界の一員に戻ることができないことを意味していた。

「・・・構いません!例え堕天の身となり果てても、ラグナはわたしが守り抜きます。」

「冷静になれ。頭を冷やして、あれを見よ!」


ヒルダが下方をみると、複数のペガサスの騎士たちと、城から打って出た翼の戦乙女たちが、後に続くように果敢に魔物たちの群勢に立ち向かっていった。

「ヴァルキリー!どうして?まだ攻撃を命じていないのに!それにペガサスライダーも!アポロニアン様、どうかお止めください。」

「いかにグニングルがあろうと、貴様だけであの群勢には敵わぬ。それよりヴァルキリーを呼び戻せ!城を固めさせるのだ。このままでは、魔物たちの虜とされ、城は手薄になり防御は無きに等しくなる。それではラグナが堕ちる。貴様の指示が無くば、ヴァルキリーは統制を欠いた烏合の衆も同然。貴様の蛮勇で、一兵も失ってはならぬ。」


ペガサスの騎士たちは弓や剣で、戦乙女たちは槍で、魔物たちを打ち滅ぼした。ペガサスライダーやヴァルキリーなど彼ら天使は、天界を支える力の源、ライタルストーンの光りの加護を受けて不死身である。天使の力は岩を割り、水をも切り裂くスピードをもつ。いかに魔物が強力でも天使の敵ではない。だが、それが無限の闇の渦となって集団化すれば話は異なる。魔物たちは、およそ数千体が一斉に天使1人を取り込み身うごきできないよう取り込んでいった。黒い塊があちこちに出来始めた。


「わかりました。わたしの愚行は後で罰を。今から指揮をとり、城を堅守いたします。」

「今はそのようなこと考えるな。虜となったヴァルキリーたちのことは心配するな。ペガサス騎士団が必ず助け出す。今は城を守りきり、魔物たちをこの聖域から追い出すのだ」

「はっ!!!!」














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